蜜柑とユウウツ~茨木のり子異聞~ 公演情報 蜜柑とユウウツ~茨木のり子異聞~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★

    脚本、演出、出演者すべてが豪華!
    ストレートな評伝ものではなくチョットひねった設定。
    普段あまり詩には馴染みがないわたしでも楽しんで観ることができました。
    近い時代の方だけに知ってる名前もチラホラ登場。
    戦争や女性の生き方、芸術、思想。
    大切なものをたくさん受け取ることができた作品でした。
    そして何より最愛の人への想いかな。

    ネタバレBOX

    る・ばるの3人はみなさん可愛らしく、年を重ねるお手本にしたい。
    客演では木野花さんが素敵でした。
    岡田ファンとしては恋人役を演じての感想を伺ってみたい(笑)
    アフタートークは和気あいあいとして楽しかったですが、長田さんはお若いだけにチョット振り回され感が(笑)
    谷川俊太郎さんが「似てない人が演じるのも似てる人が演じるのもイヤ」とおっしゃったというエピソードが好きです。
  • 満足度★★★★★

    日本製ストレート・プレイの財産
    茨木のり子さんの人生の重要な出来事を、それらにまつわる彼女の詩とともに劇中劇の形で辿っていくのですが、茨木さんの詩と、役が発する言葉、つまり長田さんが書かれたセリフのひとつひとつが胸に強く響き、後半は涙が流れっぱなしでした。

  • 満足度★★★★★

    る・ぱるの代表作
    いつもの作風とは違ったけど、演劇の可能性を教えてくれる、素晴らしい作品でした。長田さん、これからの円熟が楽しみです。客演の木野さん、小林さん、素晴らしかった。
    多少幻想的だけど早い時期にその仕掛けがわかる(というかわかってしまう)のはよいのか悪いのか。
    さらに磨きをかけて再演してほしいです。

    ネタバレBOX

    る・ぱるのお三方はやはりアテガキ的な役割分担。「キガカリ」以外は同じ名を持つ通りすがり?の幽霊、ということだけど、途中で代わる代わる生前ののり子を演じているのだから、ここはのり子の幾つかの側面を象徴する存在としてもよかったのでは。
    個人的には、この作品を見て茨木のり子ってあんまり好きでないなーと思ってしまったのが残念でしたが、それは作品の問題ではありません。評伝ものは自由であっていい。ただ、人物を知りつつ劇中の詩作をきいていると、どうしても浅く感じてしまいました。
    むしろ木野さん演じる岸田衿子のせりふに印象的なものが多かった。
    狂言回し的な役割だからでしょうか。岸田氏に関心を持ちました。
    小林さんはもう見ると涙腺が緩むように条件反射ができてしまっているのだけど、やはり素敵でした。
  • 満足度★★★

    ちょっと違和感が……。
     グループる・ばるの芝居は以前にも観たことがあるが、ちょっと雰囲気が違っていた。というのは実在した人物の評伝っぽい作品なのに、リアリズム的な作りではなかったからだろう。
     でも、一番の違和感は茨木のり子の造型かな。茨木ファンとしてはイメージが壊されたような気もしている。役者陣の中では木野花がよかった。

    ネタバレBOX

     劇場に入るとまず舞台上の「倚りかからず」の椅子に目がいき、茨木のり子の部屋だとすぐわかる。しかし、「のり子」を三人にしてしまったことで、茨木のり子の輪郭が崩れてしまったように思う。
     本質的なことじゃないけど、松金さんタバコ似合ってなかった。
  • 満足度★★★★★

    お見事な構成に唸る
    大好きなる・ぱるが、才ある劇作家である長田さんの書く芝居を上演するということで、かなり期待して、劇場に向かいました。

    ただ、恥ずかしながら、茨木のりこさんの詩に全く不案内でしたので、人間関係や、背景を理解できるかしらとやや不安でもあったのですが、それは全くの杞憂でした。

    茨木のりこさんの経歴を全く知らない私でも、実にわかりやすい構成で、それでいながら、芝居の進行に従い、観客を、知らず知らずに、茨木のりこファンにしてしまう、長田脚本の手腕に、感服しました。

    キャストも、皆さん、熟練の手業師ばかりで、久しぶりに、じっくりと、舞台を堪能させて頂けた気がしています。

    ネタバレBOX

    茨木さんの業績や作品を全く知らない人間にも、わかりやすいエピソードを散りばめて、芝居を通して、人間として、女性として、詩人としての茨木さんを、舞台上に再現する技術が、素晴らしく巧みだったと思いました。

    茨木さん一人の人生を追うのではなく、輪廻転生で、何度も生まれ変わっている幽霊の、紀子(きいちゃん)と、典子(てんこ)を、成仏の水先案内人として登場させることで、より、茨木のり子という人間の、描写を鮮明にしています。

    3人ののり子をる・ぱるの3女優が演じ分け、主人公の、女としての恋情、人間としての不条理と闘う姿勢、詩人としてのプライドなどの、細やかなエピソードを積み上げて、最後は、「気がかり」とあだ名されていたノリコが、無事成仏できるらしき、エンディングの見事さは、最近の芝居の中で、群を抜いた、素敵な幕引きでした。

    何役も演じ分けた小林隆さんが、最後は、庭のミカンの木の精として、登場し、「気がかり」だったノリコも、「木がかり」に変身したのかもしれません。

    るぱるのお三人はもちろんのこと、小林さんや木野花さんなどの、共演者の好演も手伝い、観劇中、ずっと、心がほのぼのとさせられ、終わっても、しばらく席を立ちたくない余韻が残りました。

    照明の光の優しさも、終始、胸に残りました。
  • 満足度★★★★

    る・ばるは三人
    だからでしょうか。

    ネタバレBOX

    茨木のり子の男前に敬意を表して本人を登場させず、この世に残した彼女の気掛かりを一応本人の幽霊とし、彼女と同時刻に死んだ読み名がのりこの二人を気掛かりを取り除く手助けをする役割と彼女の側面を描くための幽霊として、る・ばるメンバー三人に分担させることとして、彼女の詩を引用しながら彼女の生涯を描いた話。

    三人で束になってかからなければ太刀打ちできないと考えたからこそ幽霊物にしたのでしょうが、そこまで卑屈になることもなかろうにと思います。幽霊物は嫌いです。

    平和に関する政策に反応する大衆の動向への夫の発言は意味深長でした。結局、憲法を無視する政党に投票しているのは大衆です。公約の裏を読み取れない大衆の愚かさに私も憂慮しています。

    目次まで作っていたということは、彼女は遺作集を発行したかったわけでしょう。だったら、編集者に発見させるのに幽霊を使ってまで手間を掛けるほど見つけにくいところに仕舞い込むことはなかったのではないかと思い、そもそものストーリー展開に疑問を感じました。

    男の人は、編集者たちが缶コーヒーを飲んだ瞬間に幽霊だと思いました。夫の幽霊の割には彼女の対応からはそうも思えずちょっと不思議に感じていましたが、まさかミカンの精だったとは驚きました。長田さんの感性、女子ロマン力故でしょうか。
  • 満足度★★★★

    しみじみとする
    娘時代を戦争に奪われ、終戦を経験し、愛する夫とも早くに死別した女性の苦しさ、悲しみ、切なさがしみ出すように伝わってくる。一番辛いのは得られなかったものよりも、あったものがなくなる喪失感なのだろう。
    少し不思議で、微かに怖さも感じつつ、哀しくて切ない。。それでも、最後の最後にほんのりと希望を感じさせてくれる作品。

    る・ばるのお三方は、もうとにかくかわいらしくてチャーミング♥ なんでこんなにチャーミングなんだろう?
    木野さんの佇まいも素敵♪
    朴訥とした風情の小林さん、真面目だけどコミカルな感じの野添さんもいいなぁ~
    岡田さんはやっぱり、悪ぶっている谷川俊太郎さんの役が一番はまっていたね。

    ネタバレBOX

    ノリコには気がかりなことがあり、亡くなった後も向こう岸に渡れずに幽霊となって自宅で暮らしている。そんな彼女は「気がかりさん」と呼ばれている。
    自宅には、なぜかふらふらと居着いてしまった二人の幽霊の女性、管理人の保さんも一緒。
    [終戦→お見合い→結婚→夫と死別→一人暮らし→最後の日]をこの四人で延々と繰り返している。
    壁の掛け時計は午後5:23で止まったままだ。この時間に彼女は一人ベッドで死を迎えた。
    やがて、ノリコは思い出す。自分の「気がかり」を。
    そしてようやく、光差す彼岸へと渡ってゆくことができた。。
  • 満足度★★★★

    真摯に生きた女性。
    茨木のり子さんの詩は始めてこの舞台で知ったのですが、とても心に直接響いてくるものばかりでした。
    亡くなった彼女の気がかりとは・・・・・。
    魂になった3人の女性がかわるがわるにのり子を演ずる演出が面白く、のり子さんのイメージを固定させずに、観客に自由に彼女を想像させたと思います。
    ラストが、とても素敵です。

このページのQRコードです。

拡大