獏の棲家 公演情報 獏の棲家」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.3
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★

    そんなにイタさやコワさは感じなかった
    想像していた不思議系な話ではなかったかなぁっと。

    割と普通(失礼)の不幸話(と言い切ってもいけないですね)だったと思えた1時間20分

    ネタバレBOX

    なんか眠気も出てきたこともあり、自分の評価では星2.5ぐらいでしょうか?
    (小品感があったかなぁ・・・と)

    父親の不倫→離婚→一家離散という過去を持つ、現不動産屋勤務でホストに金を貢いでいる真鍋薫が、舞台となる不動産物件=現更地=5200万円にて、購入検討するカップル=いろいろと因縁のある方々(笑)と繰り広げられるお話でした。

    主人公の薫が不安をおぼえると、
    獏の不気味な唸り声が聞こえるという設定(であってるかな)でありました。

    大人の寓話という割りに教訓は・・・浮気ってよくない?
    悪い男に騙されるな?という感じも自分は受けなかったです・・・。

    オープニングの紙絵芝居は楽しめたが、これも小品感出してたかしら。

    真鍋 薫:一家離散に結婚を約束した男に式場キャンセルされて以来、ダメンズウォ~カ~(?)化して、現在は歌舞伎町のNo.1ホストを目指すぜ・・などと言ってるヒモ化した彼氏に金を貢いでいる。キャバクラ勤務の経験もあり。 実は舞台の更地は元々住んでいた家があったところでした・・・。
    梶 俊介:真鍋と共に不動産に勤務し、今回の更地も共に担当してるガタイの良い男性。薫に振り回される係(^^;)
    立石 澄夫:薫の元彼=結婚式ドタキャンした男(キャンセルは母が勝手にやったと弁明)会社潰してしまい借金に追われ、当座の300万円を都合してくれたカオルが妊娠したコトもあり結婚の約束をしてて、そのカオルが買いたがってる家を共に見に来て、かつての恋人である薫と再会し共に暮らそうと言い出すような男です。
    カオル:家が資産家らしい金持ちのお方(^^;)って、なんでそんな背景でキャバ嬢やってたのかしら?惚れた澄夫と結婚するために家の購入や妊娠(虚言でした)を告げてるが、ホスト通いもしてて九條とも見知った仲(^^)
    西野 晴美:となりの奥様、いろいろと好奇心の強いお年頃(^^)けっこう面白い狂言キャラともいえました。

    オープニングは巨大な本=タイトルは今作の題のまんま=の前で繰り広げられる、在りし日の真鍋の平和な家庭(弟がいたが離散時に別々に引き取られて別れ別れになったようです)→に父の愛人が乗り込んできて獏が食い荒らして暗転です。
    で更地での展開になります。
    で蝉の声がする暑い日にホストの梶君連れて薫りが登場し、隣の奥様やらカオルやらが加わっての展開となり、結局梶君と別れ、カオルは別件を探し。この更地は他の方(以前見に来られた方)が購入し、隣の奥様に別れの挨拶を済ませて、再び確認にと購入者が更地に来るのを迎える時に、薫はまた獏の唸り声を聞いて終劇です。

    もし無事に二人結婚してたらと、薫が立石と共に更地で行う幸せな家庭ごっこが寓話的だったかな。
  • 満足度★★★★

    スラップスティック&リーンカーネーションホラーコメディー
     ひとまず、コメディーっぽい作品なのだが、テーマは、浮気である。コメディーで浮気とくれば、もう定番。演劇ファンには、既に目に蛸ができるほど観飽きたパターンであるから、そこから先、どう勝負してくるかが、焦点だ。
     だが、今作、幾つか重要な捻りがある。基本的にカラッとしていない。喜劇の定法として、ドライなタッチは、観客を笑わせる為に最も大事な要素の一つだ。そんなことは重々、承知しているであろう、この作家、敢えて、自分の描きたい世界・世界観を描いている。(追記後送)

  • 満足度★★★★

    不気味な咆哮
    “家には獏が棲んでいる”という設定が面白く、獏の存在が不気味に効いている。
    現実にはあり得ないほどいくつもの“びっくり再会”が重なるという不自然な展開も、
    コメディ仕立てにしたことで笑って受け入れられる。
    コメディ要素の割合や配分は、もう少し工夫の余地があるような印象を受けた。
    隙なく振り切れた演技を見せる中山絵里さんが面白い。
    衣装や照明が繊細でとてもよかった。

    ネタバレBOX

    冒頭、幸せな4人家族の人形劇は、父親がよその女と出て行ってしまうという展開に。
    その長女薫(希久地沙和)は、今不動産会社で働いている。
    腐れ縁の彼氏に金をせびられながらも別れたくない一心で尽している。
    担当する狭小建売住宅はまだ更地だが、それでも内覧が引きも切らない。
    ある日内覧に来た客の男は、かつて薫と結婚の約束をしながら
    勝手に式場をキャンセルした澄夫(安達俊信)だった…。

    獏は、そこに住む人の夢を全て食べつくすと、次はその住人を食べてしまうのだという。
    だから人は100%の満足をせず、常に夢を持っていた方がいい…。
    そう同僚に語る薫自身は、絵に描いたような同じ過ちを繰り返し
    結婚の夢を抱いては打ち砕かれている。
    そして彼女が結婚を夢想する度に、どこからか不気味な咆哮が響き渡る。

    コントのように無理やりな人間関係と展開が、過ちを繰り返す愚かさを浮き上がらせる。
    終盤、薫が語るひとつの事実が、痛ましくも衝撃的だ。
    夢とはイコール“望んでも手に入らないもの”であり“他人への勝手な期待”なのだろうか。
    喪ったもの、欲しいものを誰かが囁くと簡単に騙される薫は、きっとまた騙されるだろう。
    どこかで解っていながら“騙されに行く”姿は、何かコワい気さえする。

    隣の奥さんを演じた中山絵里さんが隙のない振り切れた演技で大変面白かった。
    中途半端だったら白けただろうが、徹底ぶりが素晴らしい。

    衣装の変化で、隣の奥さんの力の入り方や
    時間の経過が判る辺り細やかで良かったと思う。
    獏の咆哮が響くたびにドラマチックに切り替わる照明も良かった。


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