獏の棲家 公演情報 異魂「獏の棲家」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    不気味な咆哮
    “家には獏が棲んでいる”という設定が面白く、獏の存在が不気味に効いている。
    現実にはあり得ないほどいくつもの“びっくり再会”が重なるという不自然な展開も、
    コメディ仕立てにしたことで笑って受け入れられる。
    コメディ要素の割合や配分は、もう少し工夫の余地があるような印象を受けた。
    隙なく振り切れた演技を見せる中山絵里さんが面白い。
    衣装や照明が繊細でとてもよかった。

    ネタバレBOX

    冒頭、幸せな4人家族の人形劇は、父親がよその女と出て行ってしまうという展開に。
    その長女薫(希久地沙和)は、今不動産会社で働いている。
    腐れ縁の彼氏に金をせびられながらも別れたくない一心で尽している。
    担当する狭小建売住宅はまだ更地だが、それでも内覧が引きも切らない。
    ある日内覧に来た客の男は、かつて薫と結婚の約束をしながら
    勝手に式場をキャンセルした澄夫(安達俊信)だった…。

    獏は、そこに住む人の夢を全て食べつくすと、次はその住人を食べてしまうのだという。
    だから人は100%の満足をせず、常に夢を持っていた方がいい…。
    そう同僚に語る薫自身は、絵に描いたような同じ過ちを繰り返し
    結婚の夢を抱いては打ち砕かれている。
    そして彼女が結婚を夢想する度に、どこからか不気味な咆哮が響き渡る。

    コントのように無理やりな人間関係と展開が、過ちを繰り返す愚かさを浮き上がらせる。
    終盤、薫が語るひとつの事実が、痛ましくも衝撃的だ。
    夢とはイコール“望んでも手に入らないもの”であり“他人への勝手な期待”なのだろうか。
    喪ったもの、欲しいものを誰かが囁くと簡単に騙される薫は、きっとまた騙されるだろう。
    どこかで解っていながら“騙されに行く”姿は、何かコワい気さえする。

    隣の奥さんを演じた中山絵里さんが隙のない振り切れた演技で大変面白かった。
    中途半端だったら白けただろうが、徹底ぶりが素晴らしい。

    衣装の変化で、隣の奥さんの力の入り方や
    時間の経過が判る辺り細やかで良かったと思う。
    獏の咆哮が響くたびにドラマチックに切り替わる照明も良かった。


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    2014/09/11 04:50

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  • 沙和さま

    コメントありがとうございます(*^_^*)
    薫はイタいけど愛おしいキャラですね。
    こちらこそ素敵な作品をどうもありがとうございました(^o^)/

    2014/09/17 02:26

    コメント、ありがとうございます!
    こんなに物語や薫について読み取っていただけて、本当に嬉しいです。
    ご指摘どおり、コメディ部分等まだまだの点も多々あります。これからも、その先を目指して精進して参ります。
    本当にありがとうございました!

    2014/09/15 18:03

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