満足度★★★★★
濃密な会話劇
ブエノスアイレスの刑務所に収監されている囚人の会話劇。
基本的には二人芝居で、ストーリーテラーの役割が二人、さらに場面転換と思われる時に出てくる歌い手1名、計5名でストーリーを紡ぐ。上演時間は休憩10分を挟み4時間という長編である。
また、「不思議地底窟 青の奇蹟」 という劇場は初めてで、地下なのにさらに暗幕で囲っている。地上に出るドアは両開きの綴蓋(とじぶた)で、正に監獄のイメージ・雰囲気だった。
自分はこの作品を映画(同名、1985年制作)で見たが、その意義深さを感じるには、まだ若すぎたかもしれない。
満足度★★★★★
無題1243(14-282)
12:30の回(晴)。11:50受付、12:02開場(靴は脱ぎます)、入ってすぐ幕が張ってあり、左側の狭い通路を奥へ。3〜4段目が客席で舞台を見下ろすカタチになります。BGMは壮大なクラシック曲、12:27前説(アナウンス)、12:31開演〜14:07、休憩、14:16〜16:19終演。
上演時間「4時間強」、会場は「青の奇蹟」、2ステのみ…に惹かれて観に来ました。原作(1979):M.ブレイグ著があること、映画(1985)にもなっていることは後で知りました。
長丁場なので、厚めのクッション、動きやすい座席幅。正面、左右に部屋(監房)、カーテンが引かれ会話の大半で二人(モリーナとヴァレンティン)の姿は見えません。その手前、左右に分かれて男女、リーディング。
4時間…大丈夫かと思いましたが、監房の様子、微妙な二人の距離感、面白く観劇できました。非常に狭い舞台でしたが、それが生の人間の体温を感じるちょうど良い間隔だったようです。
満足度★★★★★
原作を読みたい!
1990年に57歳で亡くなったマヌエル・プイグの小説・戯曲で描かれた傑作を“パンダの爪”は、メジャーでは描かれない部分にスポットライトを当てる形で、朗読劇に近い舞台にして見せた。4時間近い上演であったが、原作の持つ凄まじいメッセージ性を良く取捨選択して、背景にあるイギリス植民地としての癒しがたい傷、アメリカの中南米支配とその軍門に屈し、アメリカの収奪した蜜に群がる、当時のアルゼンチン政府内部の右派勢力の動きが寓意され、その民主勢力、マイノリティー弾圧が背景にあることは、疑いようがあるまい。