蜘蛛女のキス 公演情報 パンダの爪「蜘蛛女のキス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    濃密な会話劇
    ブエノスアイレスの刑務所に収監されている囚人の会話劇。

    基本的には二人芝居で、ストーリーテラーの役割が二人、さらに場面転換と思われる時に出てくる歌い手1名、計5名でストーリーを紡ぐ。上演時間は休憩10分を挟み4時間という長編である。

     また、「不思議地底窟 青の奇蹟」 という劇場は初めてで、地下なのにさらに暗幕で囲っている。地上に出るドアは両開きの綴蓋(とじぶた)で、正に監獄のイメージ・雰囲気だった。

     自分はこの作品を映画(同名、1985年制作)で見たが、その意義深さを感じるには、まだ若すぎたかもしれない。

    ネタバレBOX

    自分の暮らしと政治を切り離し、未成年との性行為に及んだ罪で収監された、ゲイのモリーナ。一方、過激な反政府思想を持ちゲリラ団に加わり、反政府運動を行った咎で収監されているバレンティン。

    堅く言えば、思想・信条が異なる二人が同房で過ごす日々。
    その環境は、かたいベッド、粗末な食事、そして不衛生な衣服と劣悪なものばかり。
    そんな状況下においてモリーナが好きな映画の話をバレンティンに聞かせ、いつの間にか交情を結ぶ。
    この濃密な会話にこそ、当時のアルゼンチンの国情が見て取れる。

    そして、実はバレンティンの所属するゲリラ団壊滅を図るため、刑務所長に買収されたモリーナの仕掛け。
    こちらは人間の暗部を鋭く抉り・・・、監獄という小窓を通して“人間とは”、“国政とは”という極めて高次元の課題を取り上げていると思う。逆に底辺で蠢く人間だからこそ、その厭らしさが分かるのかもしれない。

    今後の公演にも期待しております。

    0

    2014/09/09 19:01

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大