痕跡 〈あとあと〉 公演情報 痕跡 〈あとあと〉」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.8
21-31件 / 31件中
  • 満足度★★★★★

    KAKUTAいいね!
    ストーリー、演出、台詞、演技、そして円形舞台の使いかた、どれをとっても素晴らしいです!特に清水英子役の高山奈央子さんの演技はGood!機会があればまた観に行きたいです!

  • 満足度★★★★★

    今年最高作品
    お世辞でもなく素晴らしかった。それにつきます。

    ネタバレBOX

    いくつかのエピソードを混ぜ合わせての作品。始まって1時間で全ての点と点が線となり、それがさらに面になっていく印象。

    ただひき逃げの会計士を目指してる人のエピソードはなくても成立してた。あれがなければ2時間以内に収まったのかも。

    あのラストも好きでした。死ぬであろう母親と、結局は感動の再会はないものの、一瞬でも・・・

    瞬君役の子がとてもいい味出してました。
  • 満足度★★★★★

    ささやかな日常
    を描きながら、さまざまな人の境遇がクローズアップされてく。
    あっという間に引き込まれて目が離せなかった。
    終わった後も心にじわじわ来て、いつまでも余韻が残る。

  • 満足度★★★★★

    あとあとですね
    長時間でしたが長さを感じずに観劇しました。終わり方がこれからどうなるのかと思わせる終わり方。皆さん演技が素晴らしかったです。

  • 満足度★★★★★

    はぁ~
    もうさすが!どこへいってしまうんでしょう、KAKUTA。そして桑原さん。
    今までKAKUTAとは全然違うテイストというか、なんだろう。他の劇団、お芝居でも今まで観たことのない作品。
    どんな言葉でも表現できないような作品。頭がこんがらがっていますが、これは観ないといけない作品だと思います。


  • 満足度★★★★

    喜びと罪
    面白い。135分。

    ネタバレBOX

    折出聖子(斉藤とも子)…20年前にひき逃げされ川に流されたとされる息子を再度探し始める。ガンで余命半年。
    沖廣也(佐賀野雅和)…仕事でテンパってた時期、有樹を轢いた。みさをと結婚、子をもうけるも出産直前に罪を告白した。
    黒沢元章(若狭勝也)…事件の近場のバーテン。片目を失明。聖子らに協力する。
    清水英子(高山奈央子)…聖子の義妹。病院勤務。聖子の息子探しに協力する。
    木俣寿和(成清正紀)…フリーカメラマン。聖子の息子探しに協力する。ドキュメンタリーには向いてなかった。
    沖みさを(異儀田夏葉)…廣也の妻。妊娠中。実家が医者。廣也の告白に対して、子に知らせないこと、廣也に子を抱かせないことを決意する。
    仁志田墨助(辰巳智秋)…クリーニング屋社長。ラーラがお気に入り。
    仁志田メイ(桑原裕子)…竹夫が連れてた戸籍のない瞬に戸籍をプレゼントしようとする。
    吉川瞬(小田直輝)…聖子の実子。本当の折出有樹。夫婦ゲンカに家を飛び出し事故にあう。事故前の記憶がない。花子といい感じ。
    折出有樹(大神拓哉)…韓国料理店兼キャバな店の店長。身分を偽り生きる。
    山田花子(多田香織)…中国人。偽装結婚中。
    ラーラ(ヨウラマキ)…中国人。偽装結婚した相手から理不尽な暴力を受ける。
    吉川竹夫(松村武)…クリーニング従業員。瞬を助け、そのまま息子として育てる。聖子と相対し自首を決意する。

    円形でも見にくいと感じることがなく、スムーズでストレスは少ない。見せ方が上手い。全体的にトーンが暗めな作品だけど、笑えるとこはもうちょい欲しかった。

    死んでるだろう息子を探す母って、ありがちな設定ではあるけど、群像劇としてしっかり魅せてくれた。ラスト、花子とデート中に聖子と瞬が接触し、間をおいてハッする聖子。暗転して置き去りにされた自転車で幕という広がりのあるエンドもいい。竹夫の元へ帰ると話していた瞬、今更だと言いきった折出、病の母という要素が、今後どこに向かうか興味をひく感じがいい。

    竹夫が自首した際の独白シーンの、どん底で希望を得た感と罪悪感より喜びが勝っていたという身勝手で正直な感覚が好きになった。
    廣也の告白に対して冷たく落ち着いて、何故言ったと放つみさをのシーンがいい。子という喜びを得つつ夫の罪を抱えるという、竹夫と重なるような感じがね。竹夫と違い、女性的な強さが印象的だけど。

    身分を偽り生きる折出有樹の存在が何気にいい。ナチュラルに嫌な感じで底辺で生きている感が出てた。社会的に存在していないようなどーでもいい存在でも、生きている以上なんとか生きないといけないというもどかしさというのか。本当の有樹と紙一重な存在でもあるし。
  • 満足度★★★★★

    満足感が半端ない
    痕跡(あとあと)観てきました!!
    心の傷跡は、そう簡単には戻らないけど愛があるから傷つくのかな?
    色んなことを考えさせられる、でも、観た後心に残るお話でした!!
    初観劇の円形劇場最前列は、役者さんの熱気が伝わってきて
    観終わった後もドキドキが収まらない感じ!!
    濃密な時間を過ごせました!

  • 満足度★★★★

    巧妙な演出
    最初のシーンが衝撃的で、正にその後が気になる展開。
    その後、何事も無かったように日常を過ごしていたその事件に関わった人物たちに残ったままになっていた痕。
    彼らの軌跡をたどって行くことで、揺れ惑う登場人物たちの心の動きが巧妙な演出と、役者たちの確かな演技力で繊細に描かれていた。
    不法滞在とか未就学といった社会問題も取り上げられていたが、ちょっと疑問を抱くような場面もあった。
    それを除けば、すっかり芝居に取り込まれて、あっという間の2時間15分でした。
    濃い作品に出会えました。

  • 満足度★★★★★

    細い川が大河の如く…心魂へ
    大袈裟に言えば、良くも悪くも引っ括めて過去にしか「痕跡」は残せない。本公演は登場人物の痕跡を細い脇筋のように扱っているが、結末はそれらを紡ぐ太い物語になる。その演出は日常が坦々と流れるが如くである。登場人物は決して善人ばかりではないが、人が持って生まれたもの、または形成されてきた人格を上手く描いていると思う。公演全体が大きな優しさに包まれ、心地よく感じたのは自分だけだろうか。そして感動的なラストシーンは…想ってほしい。
    青山円形劇場という舞台を気にするなというのは無理であろうが、それにしても主たる演劇要素である、脚本、演出、美術・効果はもちろん、役者の演技も素晴らしかった。
    ただ些細なことだが、気になる点が…
    (ネタバレBOX)

    ネタバレBOX

    第一に、探し続けなければ子供を見捨てたに等しい…という旨のセリフがあったと思う。10年を経て余命半年と宣告されて、子の生死を確認しようと行動する点。行方不明(事故)になった当初こそ、必死に探したが、月日の流れとともにその気力も失う。現実にはそうなんだろうと思うと、探索動機としては弱いような気がする。
    第二に、無国籍の状況説明に中国、韓国の不法就労を用いたところ。確かに新聞、雑誌等のメディアで見聞するが、偏見にとらわれないような工夫も必要であろう。
    第三に、本公演の視点はどこか。当然、余命幾ばくもない母親であろうが、この事故/事件に関わった人の人生が大きく左右されるのであれば、加害者と見做される人物の苦悩の痕跡がもう少し描き込まれてもよいのではないか。

    当日パンフで被害者・加害者と峻別している以上、逆立場の両者の苦悩を其々の痕跡として観せてほしい、というのは贅沢だろうか。

    改めて、素晴らしい公演でした。
  • 満足度★★★★★

    2時間15分という長さに見合った濃密な一作!
    2時間15分超とやや長めではありましたが、これだけのものを見せてもらえりゃ文句はありません!

    メインストーリーだけでも十二分に見応えがあるのに、それに重なるいくつものサブストーリーも味わい深く、一作で三作くらい観たような充実感!

    毎回、人生の一筋縄ではいかなさを強く訴えてくる桑原作品ですが、今作は色んな苦汁を舐めてきた熟年者を主要人物に据えることで、それが特に色濃く感じられ、激しく琴線を震わされた。

    前作『ショッキングに煮えたぎれ美しく』を青春の劇とするならば、本作は苦味がじわじわ滲みてくる大人の劇と言えるでしょう。

    とはいえ、絶妙な間(ま)で魅せるKAKUTA流のユーモアもそこここに。。。


    斉藤とも子さんの細やかな演技が光っていました。

    ネタバレBOX

    大人にしか為しえない尊い諦めを描いた劇。私は本作をそう捉えました。

    果たして、瞬/有樹を諦めたのは、斉藤とも子さん演じる折出聖子だったのか、松村武さん演じる折出竹夫だったのか?

    それをあえてボヤかしたまま終幕を迎えるところが、本作をより味わい深いものにしていました。

    素晴らしかった!!
  • 満足度★★★★★

    悲しい事故が各人に与えた様々な影響を淡々と、それでいて各人のその後の「人生」を太く描く秀作かと
    開幕前に読んでたパンフでいきなり「加害者」「被害者」とか配役名出てきたので
    「何かの事故/事件の加害者/被害者間のドロドロとしたものを描くのだろうか?」
    (パンフのイメージ、”痕跡”のイメージから想像)と思いましたが、
    そんな単純なものではなく、

    その事故/事件に関わった人達のその後の悲しみ、救い、逞しさ、したたかさ、
    そういったものを、過剰に盛り上げすぎずにあくまでも淡々と、
    しかしそれでいて「人生」としての笑いや涙を織り交ぜて、

    「最後一体どうなるんだろう?」という事をあくまでも観客に読ませきらない
    (「こう終わって欲しい」という願いや
    「きっとこう終わるんだろう?」という様々な推測を楽しませる)、

    桑原裕子さん流(=KAKUTA流なのでしょうか?)のお芝居、
    北九州芸術劇場の「彼の地」に続き、他の脚本/演出家にはない、
    見事な「味」の出し方と締めくくり方でした。

    まず、桑原裕子さんファンになりますね、この「味」を知ると( ´ー`)

    ネタバレBOX

    10年前、大雨の夜バーのマスターが窓越しに見たのは、
    川へ投身自殺を図ろうとする男、
    夜更けに1人出歩く黄色い雨合羽の少年、
    そして、、、

    車の急ブレーキと衝突音、空を舞い上がり川へと落ちる雨合羽の少年、
    そして(加害者であろうドライバーが)少年の行方を必死で探し続け、
    そして逃げ去る姿。


    あれから10年、亭主の転勤でその地を離れていた少年の母親は
    ガンを患い余命いくばくもない身体で、
    (今も見つからない少年の遺体について)
    「まだ息子は生きているかも知れない」と
    再びその地へ戻り少年を探す事を決心します。


    同じ頃その地のクリーニング工場で働いている中年男性とその恋人の女性、
    そしてもうすぐ20を迎える男性の連れ子の青年、

    青年は「今度の誕生日はすごいプレゼントをあげる!」と言う女性
    (ほぼ母親として慕っている)からの言葉に「弟でも生まれるのだろうか?」と推測します。


    そして、かつてその地でブラック企業に務め精神的にもまいっていた男性、
    それが妻の勧めもあり、名古屋へ引っ越しして回復し会計士になろうと猛勉強、
    身ごもった妻が実家のあるその地へ先に帰ると言い、
    試験が終わったら後から追うから、とホームで別れます。


    ※ この時点で本座組の役者陣の顔をまだちゃんと覚えていない自分は、
      誰が実は誰で、という事がよく分かっていませんでした。
      (分かっている人にはこの時点でもうある程度の
      物語の筋/背景は読めたものと思われます。)


    ・ まず、青山円形劇場の使い方が良かったです。

      当初客席前の円舞台淵(ふち)をうめつくす薄汚れた小道具の数々に、
      「場面転換ごとにここから舞台へセットをあげていく?
      だとしたらとても場面転換の遅い/悪い舞台になってしまう」と想像してしまいましたが、
      これはあの川の汚れ具合(ドブ川に近い?)を表す為の小道具でした。

      物語が進むにつれ、かつて少年が轢かれて落とされたこの川の様子が
      よく分かり、またこの「川」がある意味キーとなってきました。

      そして、他劇団ではあの円形にこだわり過ぎる所も多いのですが、
      あくまでも本劇では全方位観客に囲まれた劇場、として
      どの方向から観てもよく分かる舞台、
      としての使い方に徹していたのが非常に良かったと思います。
      (この形なら、北九州芸術劇場での公演でも、特別な変更はなしで演じられるのかな、
      と思いました。)


    ・ 伏線の貼り方が分かりやすいが使い方がとても良い
      クリーニング店社長が前のチラシに中年男性の働く姿を、
      それを中年男性に止められた社長は
      新しいチラシにその息子の写真を載せて、
      色々な人々が交わる場所となる韓国焼肉店にそれを置きます。

      これがその後
      ・ バーのマスターがかつて見た自殺しようとしていた男性(中年男性)
      ・ そして車に轢かれて死んだものとされていた息子の(成長した)姿(青年)
      として、それぞれの登場人物に見つけられます。

      登場こそ非常に分かりやすい伏線でしたが、
      そのタイミングや使われ方がとても良かったです。
      思ってもいないタイミングで、「おお!ここでそれに触れるのか!」と。

      これも「後々関わってくる」という意味での”痕跡”なのでしょうか。


    ・ ”痕跡”とは、事故に関係したそれぞれが負った傷跡でもあり、
      そしてその後の10年で築いてきた人生の「痕跡(こんせき)」でもあるのでしょうか。

      物語が展開するにつれ、
      単なるひき逃げ事件から、
      実はそれに救われた人がいた事、
      そして、それを忘れる為に逃げ、しかし逃げきれなかった人が存在していた事、
      
      更には物語途中で度々語られる「後々考えると・・・」
      という台詞にもかかっているかと思います。


    そして、
    ・ 会計士を目指す男性こそがかつてのひき逃げ犯人であり、
      10年経っても子供を探す少年の母親の姿に耐え切れず、
      とうとう妻にその事実を話してしまいます。


    ・ 轢かれた少年は川へ落ちた所を死に場所を探していた中年男性に助けられ、
      しかし記憶喪失に陥っていた事などから
      少年はいつしか中年男性の子供として(※戸籍を持たず)育てられる。

      これが借金苦で自殺を考えていた中年男性にも、
      「新たな素性で人生をやり直す」きっかけをあたえる救いでもありました。


    ・ 少年の母親は韓国料理店にて、それまでの情報やクリーニング店のチラシなどから
      「かつてひき逃げされた少年を助けたのが中年男性で
      少年はきっと記憶を失っていてそれを自分の子供として育てた、
      それがこのチラシに写っている青年だ!」と全てを本人達の前で言い当てます。

      しかし、そこでのクリーニング店社長や恋人達の証言からそれは間違いである、
      とさとされ、「全ては自分の妄想にすぎない」と認め、母親は去っていきます。

      ※ この時点、普通のお芝居であれば、推理モノなどのように
        解決編に向かってしまうものと思いましたが、
        全てが判明したからそれで終わり、
        にはしないのがこの脚本のすごい所だと思いました。


    そして、
    ・ 会計士は妻にひき逃げの事実を告白し、
      それを少年の母親に告白しに行くが・・・

    ・ 少年の母親は自分の推測が外れたものとして、
      (それまでに他の家族から勧められたこともあり)
      少年の捜索を打ち切り、少しでも長く生きる為に入院する、と決心し

    と物語は結局、
    「解決ではなく、それぞれがそれぞれの傷跡を抱えたまま生きて行く」
    事になるのかと思いましたが、

    ・ 会計士の妻は亭主の告白を止め、子供を無事出産する。
      しかし「2度とあなたには子供を抱かせない」と言い捨てる。

    ・ 中年男性は青年に「出て行け!」と金を渡して一時的に追い出し、
      自分は10年前の事件からの全てを警察に行って
      自供してくる、という別れ。

    最後、青年とその彼女が「川」沿いを散歩している所へ
    その(本当の)母親がおっかなびっくりに自転車を漕いでやってくる場面、
    転倒しそうな自転車を青年が助け、そのまま去っていく。
    そしてそれを見送り、何かに気づく母親。

    場面暗転して、倒れた自転車がポツンと残された場面。


    結局、
    ・ 母親は青年を追ったのか?
    ・ 青年を見た事で安心した母親は急死してしまったのか?
    ・ 中年男性が警察へ言って自供したとして、
      母親の元へ真実は届いた(間に合った)のか?

    など、最後の最後については述べられないまま物語は終了します。


    物語途中から涙や鼻をすする音などから、
    「泣いている方がいるんだな」とは思いながら
    自分は(泣かせる場面、内容は多くても)
    淡々と進む物語の流れに、
    笑いはしても、実際涙は出ませんでした。

    そして、この締め。


    しかし、この「淡々とした感じ」「人達のしたたかな姿を描く」
    「分かりきった結末ではなく、余韻とでも言うべき何かを残して物語を終わらせる」
    そこが桑原裕子さん脚本/演出の素晴らしい所なのかな、と思います。

    多分、夢で「こう終わったんじゃないかな」とか妄想する事になると思いますが、
    そういう観劇の後の楽しみを残す終わり方こそが桑原さん、そしてKAKUTAさんの持ち味なのかなあ、
    と。


    自分の妄想だと、
    「青年と母親は再会しますが、青年の記憶が戻る訳でもなく
    青年は自分を育ててくれた中年男性の無実を主張し、
    母親もまたそれを良しとして最後を迎える」
    という形でしょうか。

    会計士の人は「ひき逃げ」した相手が生きていた、という意味では
    救われるでしょうが、多分奥さんは「ひき逃げ」の事実を隠した事より
    自分に言って楽になろうとした主人を一生許さないのだろうなあ、と。

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