毒舌と正義 公演情報 毒舌と正義」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
21-24件 / 24件中
  • 満足度★★★★

    やや無理はあるが、他にはない妙味
    今回の作品は、教師ものということで、興味があったので、急遽当日券で、観に行きました。

    やはり、この劇団の、芝居には、他にはない妙味があります。

    何よりも、構成が緻密。最後まで、終幕の予想がつかないスリルがあります。

    以前、ムーブメントありきのような習性に縛られている面も見受けられましたが、今回のムーブメントは、芝居の本質を捉えて、効果的でした。

    ただ、先に書きたいものがあって、それに沿ったやや強引なストーリー展開があり、いつもより、虚構度の強い芝居でもありました。

    劇団の役者さんが、いつもながら、パーフェクトな演技の中、老舗劇団所属の俳優さんが、台詞を噛んだり、忘れたりしたのは、大変残念な部分でもありました。

    ネタバレBOX

    修学旅行中に問題が起こり、ベットルームでの職員会議のシーン、最初、渡会先生と、瀬木先生が、まさか別室にいるとは気づきませんでした。

    渡会先生が、教師たちが真剣に苦慮している中、いきなり、野球の素振りをし出して、おやっと思った瞬間、実は二人は、別の寝室にいるのだと、気づかされます。

    この劇団、ずいぶん観て、やり方を知っていた筈なのに、してやられた感。

    こういう、古城さんの遊び心溢れた、仕掛けが好きです。

    阿久津先生の起こした訴訟と、生徒が起こした二つの事件が、やがて、繋がり、一つに帰結する構成は、実に手際が良く、お見事!職人技だなあと、感服しました。

    ディズニーランドで、殴られた女子生徒の担任が、各部屋を回って、事態の報告をするシーンを、一度で済ますのも、小洒落た演出で、観客の理解度に敬意を払って下さってることに、嬉しくなります。

    教師も、人間。自分でも、気づかない内に、自分の保身に動いたり、責任転嫁をしようとしたり、細かいエピソードの見せ方が、大変巧みでした。

    でも、その一方で、校長にあまりにも連絡が取れなかったり、修学旅行に、教頭までが出向いたり、生徒が、阿久津先生の裁判記録を盗んだり、阿久津先生の辞職を撤回させるための嘆願書を、修学旅行先まで、持ち込んだり…といった、ややあり得ない設定が多かったのには、ちょっと、いつになく、芝居の綻びを感じたりもしましたが。

    この時代の生徒が、一丸となって、阿久津先生のための嘆願書にサインするというのも、ちょっと信じ難いオチでした。まして、既に、辞めている進学校の生徒までが署名に加わっているというのは、あまりにも、無理があるような気がしました。

    でもでも、そういう綻びを全て許容したくなる、構成の妙と役者さん達の自然な演技に裏打ちされて、やはり、結果的には大満足してしまう作品に仕上がっていました。

    冒頭のシーンでの、奥村さんのムーブメントには、阿久津先生の教師力がまさしく表出された仕草で、最後の生徒達の嘆願書の存在理由の証明にもなっていて、本当にお見事な演技表現だったのだと感嘆しました。
  • 満足度★★★

    面白いとは思うが・・・
    この劇団にはもっと強烈なインパクトを期待してたので、
    正直満足度は高くはなかった。
    個人的には、展開、結論とも、もっとブラックであって欲しかったなあ。
    上演時間110分。

    ネタバレBOX

    わざわざ生徒たちが、何故裁判記録をもって、何故全校生徒の署名を持って修学旅行に来たのか分からなかったなあ・・・。
    そもそも修学旅行の設定でなくでも良かったのでは。

    全校500名程度の高校なら、1学年170名くらいなのに、
    あんなに引率の先生必要か?と思ってしまった。
    しかも教頭まで。
    リアリティを出すなら問題生徒の父兄役もありだったかなと。

    レベルが高い劇団と思っているので、少々辛口気味になってしまったかも。
  • 満足度★★★★★

    いい話
    色々なことが明らかになりました。

    ネタバレBOX

    修学旅行中に男子生徒数人が一人の女子生徒を殴ったということで先生たちが集まって原因究明と対応を協議する話。

    系列進学校から意に反して転任させられ、敗訴はしたものの元の高校に復職したいと裁判まで起こした国語の先生を辞めさせようとする教頭らの動きに対抗して男子生徒が集めた署名を当該女子生徒が盗んだことが背景にありました。

    酒好きの添乗員が女子生徒が署名を破棄しようとした現場を偶然街で見掛けたという一番部外者的な人のお手柄で事件が解明されたというオチと、国語の先生は生徒たちから愛されていたという現実、さらには、学校法人側も先生を左遷したわけではなく、生き残り策として魅力ある高校にしようと考え白羽の矢を立てたということが明らかになりました。

    先生から注意されると、うぜえ、めんどくせえ奴、とか言う女子生徒が登場していたら、このお芝居は成立しなかったのかもしれません。

    学校側も説明不足でしたが、先生も男気がなかったですね。転勤を経験してなかったから仕方なかったのかもしれませんが、よしっ、この高校をいい高校にしようと考えたり、せめて多くの生徒から好かれていることぐらいには気付くアンテナがほしかったです。

    終わってみれば、そこまで深刻そうな顔をするほどでもなく、いい話やんというくらいの話でした。

    この日の東京は前作の続きかと思われるくらいの大雨の一日でした。

    ところで、コーラがほしくてほしくて仕方ないようになったときは病気です。教頭先生と言うよりは作家さんがそうなのかと心配になりました。
  • 満足度★★★★

    さすがという感じ
    別に教育界の問題を捉えて云々といった内容ではなく、とある教師の意地の物語。修学旅行の宿泊先で起こった事件と、主人公の教師にまつわる案件が次第に絡まっていきます。
    丁寧でしっかりとした台本、きちんとした演技、作りこまれた舞台美術など、高いレベルで見事です。さすが実績のある方々の芝居です。

    惜しかったのは、肝心な所で台詞を噛むのが散見されたこと。自然な噛み方ならよかったのですが、ちょっと目立ってしまいました。とはいえ観劇したのが初日だったので、二日目以降は無くなると思います。

    ネタバレBOX

    生徒の起こした二つの事件が最後に阿久津教諭に結びつく展開は見事でした。ただ、教頭が人事権を持っているかのような描写は疑問符が付きます。体制側の人間として教頭しか出せなかったのでしょうが、本当は理事とかになるのでしょう。

    複数の場所を同時に描写する手法は最近よく見かけますが(私がたまたま見るのか?)、惜しいと思ったのは鬼海教諭が途中から入って来たこと。どうせなら最初からベッドに寝ていたほうが、統一が取れました。

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