満足度★★★★
キャプチン・マジック
感情を抱くロボット、殺人ロボットなどハードSFの題材を児童文学タッチのマイルドな衣でくるんだ上に時事ネタから芸術論までさらっと…いや、しれっと盛り込む欲張りよう(笑)。
なのでSF的な部分や時事ネタ(兵器輸出とか)、芸術論(そのまま描くのでなく、想いがプラスされて初めて「芸術」とか)なんかワカらない子供でもキャラクターや物語の流れで十分に楽しめるだろうし、大人は大人でテーマなども含めて楽しめるという。
さらにロボの霊、刑事の勘、誰も逆らえない女などいくつかの反則ワザ(笑)まで使っていながら全体としては成立してしまうキャプチン・マジック、参った!
あと、鉄腕アトムを想起させるところも複数あってニヤリ。
「アンドロイド役者」として認知されつつある「生沼 佑樹」
観劇初心者の男の子を「面白かった!」と言わせた総花的ストーリーです。
彼らは、サーカス小屋に改築した劇場で、回想を繰り返します。
でも、それだと、観劇初心者は「混乱する」だけ。オープニングが1ヶ月後の設定、つまり本編そのものが「回想」ですから、「二重の回想」というになります。
こうした「蜘蛛の糸」のように複雑な網を整理したのが、「キネマ演出」ですね。
「キネマ演出」とは どういうことを指すのか、と言いますと、回想シーンごとに字幕画面「◯◯のものがたり」を映写機で投影させる、彼らが使った手法です。無声映画の頃、「白黒映像」で俳優が語れば、次に字幕を投影しました。そうすることで、「なるほど、主人公の紳士はマドンナを罵っていたのだな!」という映画内容が伝わるわけです。
私は、オープニングを あの人質シーンから開始した方が、物語としてシンプルだったのではないか、と思っていますが…。
実を言いますと、『観たい!』に「ロボット・ピノキオは鉄腕アトムですね」と記載させて頂きました。(参考にされたかどうかは不明です)
これは、「人間らしさって何だろう?」を問う、両者に共通したメッセージが あったからです。
「天馬博士」らしき登場人物が いたことも、手塚治虫『鉄腕アトム』へのオマージュの念を感じました。この「天馬博士」とはアトムを製造した、いわば「生みの父」です。開発した科学者が「お茶の水博士」だと誤解してる方も多いようですが、むしろ「悲劇的生誕」が「人間らしさって、何だろう?」を含む重厚世界に繋がった、と考えたいところです。
そして、舞台『ピノキオショー』ですが、おそらく「原作はある」と思います。
それは、何を隠そう『鉄腕アトム』(アニメ版)一話、二話、三話なのです。
少し長いですが、公式の あらすじ を確認しましょう。
【21世紀の未来を舞台に、10万馬力のロボット少年・アトムが活躍するSFヒーローマンガです。
2003年4月7日、科学省長官・天馬博士は、交通事故で死んだひとり息子・飛雄(とびお)にそっくりのロボットを、科学省の総力を結集して作りあげました。
天馬博士はそのロボットを息子のように愛しましたが、やがて成長しないことに腹を立て、そのロボットをロボットサーカスに売り飛ばしてしまいます。
サーカスでアトムと名づけられたロボットは、そこで働かされていましたが、新しく科学省長官になったお茶の水博士の努力で、ロボットにも人権が認められるようになり、アトムはようやく自由の身となったのです。
アトムは、お茶の水博士によってつくられたロボットの両親といっしょに郊外の家で暮らし、お茶の水小学校へ通うことになりました。
けれどもひとたび事件が起これば、アトムはその10万馬力のパワーで、敢然と悪に立ち向かっていくのです】(手塚治虫 公式HP)
「原作」は言い過ぎた表現かもしれませんが、むしろロボットの平和開発を率いた先進国・日本として、『鉄腕アトム』へのオマージュの念を持つこと、その意義を子供たちに伝えることは率先されるべき活動です。
この舞台を観劇すれば、「人間とロボットの共生社会」を、今からワクワクしてしまう、そんな自分自身がいるはずです。
ところで、皆さんは「アンドロイド専属役者」を ご存知でしょうか。
それは、本舞台に出演した生沼 佑樹さん (劇団シャイボーイ)です。パンフレットで「一番好きなロボットは??」を「カンタムロボ」と答えた方ですね。
彼は、2013年6月AchiTHION『フライング北海道』に、“唯一のアンドロイド役”として出演。
端正な顔立ち、長身、色の白さが「アンドロイド」を彷彿させるようです。同じく長身180㎝阿部寛さん とはまた違ったタイプのイケメンですね。
『フライング北海道』を観劇した関係者がオファーしたとしか思えないのですが、さて真相のほどは…。
まとめに入りますね。
ピノキオと育ての親・松子の絆は、涙なしでは観ることはできませんでした。
「人間らしさって、何だろう?」。
その白昼夢を、サーカス小屋で見物できたように思います。
つまり、ピノキオの現代的価値を深め、さらなる解釈の余地を残した。そう指摘させて頂きましょう。
満足度★★★★
社会派ファンタジー
まず、脚本が面白い。主役はロボットという設定であるが、感情等を持ち合わせた相当高度に進化した未来の話…、と思いきや、描かれたのは、泣き、笑いたっぷりの人情劇だ。もっと言えば、勧善懲悪劇をポップ調に描いたようだ(ネタバレか)。しかし、内容はシュールだ。例えば、ロボットは人間に服従し、要らなくなれば廃棄(格差社会)。情報操作による秘密主義(特定秘密保護法)など、現代社会を風刺したセリフがあちらこちらに。しかもサラッと言わせるなど絶妙だ。
演出は、映像を効果的に利用し、わかり易い状況説明に努めている。そのことで、キャストが多いがストーリー展開は理解できる。
気になったのは、演技が少しバタバタかな~と感じたこと。
全体を通してレベルの高い作品で、2時間超の公演時間だが、一気に魅せてくれた。
満足度★★★★
らしい作品
キャプチンらしい優しい作品に仕上がっています。過去のピノキオショーとは別物だったのね。当日パンフで気付きました。でも,こちらも良い作品だったので満足です。ロボットということではなく,考えてしまう部分もあります。開演前の時間,ひまつぶしシートや抽選会,観客をもてなす工夫も考えられています。作品同様,温かい劇団だと思います。
満足度★★★
ロボットと人間の共存!
人間とロボットが助け合いながら生活する日が、いずれ来るのでしょう。
ファンタジーでありながら、現実的な一面もあり、面白かったです。
映像を駆使し過去を振り返る演出は良かったです。
ロボットには人間の夢が詰め込まれている
ロボットが知能・感情・思考を持つほど技術が向上した世界。
訳ありのロボットサーカスを中心に物語は進む。
2時間5分、休憩なし。
当日パンフレットの中に「ひまつぶ紙」なる心理テストやちょっとしたクイズが記載された用紙が挟み込まれる。
用紙はクリアケースに入れられ、「アンケートが書きにくい」という声に応えた形。
こういった心遣い、嬉しいですね。
さて本編はというと、うーん…(-_- )
ちょっと話がとっちらかってしまった印象。
何を伝えたいのかが明確でないかな。
だから内容が雑多で2時間強は正直長い。
ラストの絵を、登場人物に演じさせたのは面白い。
舞台中ほどにあるもう一つの幕を上手く使っていた。