「アンドロイド役者」として認知されつつある「生沼 佑樹」
観劇初心者の男の子を「面白かった!」と言わせた総花的ストーリーです。
彼らは、サーカス小屋に改築した劇場で、回想を繰り返します。
でも、それだと、観劇初心者は「混乱する」だけ。オープニングが1ヶ月後の設定、つまり本編そのものが「回想」ですから、「二重の回想」というになります。
こうした「蜘蛛の糸」のように複雑な網を整理したのが、「キネマ演出」ですね。
「キネマ演出」とは どういうことを指すのか、と言いますと、回想シーンごとに字幕画面「◯◯のものがたり」を映写機で投影させる、彼らが使った手法です。無声映画の頃、「白黒映像」で俳優が語れば、次に字幕を投影しました。そうすることで、「なるほど、主人公の紳士はマドンナを罵っていたのだな!」という映画内容が伝わるわけです。
私は、オープニングを あの人質シーンから開始した方が、物語としてシンプルだったのではないか、と思っていますが…。
実を言いますと、『観たい!』に「ロボット・ピノキオは鉄腕アトムですね」と記載させて頂きました。(参考にされたかどうかは不明です)
これは、「人間らしさって何だろう?」を問う、両者に共通したメッセージが あったからです。
「天馬博士」らしき登場人物が いたことも、手塚治虫『鉄腕アトム』へのオマージュの念を感じました。この「天馬博士」とはアトムを製造した、いわば「生みの父」です。開発した科学者が「お茶の水博士」だと誤解してる方も多いようですが、むしろ「悲劇的生誕」が「人間らしさって、何だろう?」を含む重厚世界に繋がった、と考えたいところです。
そして、舞台『ピノキオショー』ですが、おそらく「原作はある」と思います。
それは、何を隠そう『鉄腕アトム』(アニメ版)一話、二話、三話なのです。
少し長いですが、公式の あらすじ を確認しましょう。
【21世紀の未来を舞台に、10万馬力のロボット少年・アトムが活躍するSFヒーローマンガです。
2003年4月7日、科学省長官・天馬博士は、交通事故で死んだひとり息子・飛雄(とびお)にそっくりのロボットを、科学省の総力を結集して作りあげました。
天馬博士はそのロボットを息子のように愛しましたが、やがて成長しないことに腹を立て、そのロボットをロボットサーカスに売り飛ばしてしまいます。
サーカスでアトムと名づけられたロボットは、そこで働かされていましたが、新しく科学省長官になったお茶の水博士の努力で、ロボットにも人権が認められるようになり、アトムはようやく自由の身となったのです。
アトムは、お茶の水博士によってつくられたロボットの両親といっしょに郊外の家で暮らし、お茶の水小学校へ通うことになりました。
けれどもひとたび事件が起これば、アトムはその10万馬力のパワーで、敢然と悪に立ち向かっていくのです】(手塚治虫 公式HP)
「原作」は言い過ぎた表現かもしれませんが、むしろロボットの平和開発を率いた先進国・日本として、『鉄腕アトム』へのオマージュの念を持つこと、その意義を子供たちに伝えることは率先されるべき活動です。
この舞台を観劇すれば、「人間とロボットの共生社会」を、今からワクワクしてしまう、そんな自分自身がいるはずです。
ところで、皆さんは「アンドロイド専属役者」を ご存知でしょうか。
それは、本舞台に出演した生沼 佑樹さん (劇団シャイボーイ)です。パンフレットで「一番好きなロボットは??」を「カンタムロボ」と答えた方ですね。
彼は、2013年6月AchiTHION『フライング北海道』に、“唯一のアンドロイド役”として出演。
端正な顔立ち、長身、色の白さが「アンドロイド」を彷彿させるようです。同じく長身180㎝阿部寛さん とはまた違ったタイプのイケメンですね。
『フライング北海道』を観劇した関係者がオファーしたとしか思えないのですが、さて真相のほどは…。
まとめに入りますね。
ピノキオと育ての親・松子の絆は、涙なしでは観ることはできませんでした。
「人間らしさって、何だろう?」。
その白昼夢を、サーカス小屋で見物できたように思います。
つまり、ピノキオの現代的価値を深め、さらなる解釈の余地を残した。そう指摘させて頂きましょう。
2014/03/10 10:14
私の憶測でしかないのですが、「鉄腕アトム」と、ディズニー映画の「ピノキオ」は、藤原が執筆する際、参考にしたのではないかと思います。
また、生沼さんへの配役ですが。
実は「それいけ!邪馬台国」に出演してもらう前に、藤原配役「フライング北海道」を観劇しております。
その時に、もしかしたら彼をこの配役にしようと思っていたのかも知れません。
ピノキオショーは劇団にとって思い入れのある作品なので、またストーリーを新たに執筆されるかも知れません。
次回は(恐らく)ロボットは出てきませんが、またご都合よろしければ是非ご来場ください。
製作:胡