「カレー屋の女」 2013→2014ツアー 公演情報 「カレー屋の女」 2013→2014ツアー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★★★

    片道切符
     離島には、女ばかりが住んでいる。登場する女達は、カレー屋を営む一家の祖母、カレー屋のお上とその姉、お上の娘3人と舞台上には出て来ないが、姉の娘、店員らだ。今作で最も大切な要件は、この島は孤立しているということだ。そして、基本的にこの話は、3.11とも3.12とも繋がりは無い。原作は、和歌山県沖の島を舞台にしていると聞いた。然し、どういうわけか、東北の方々が演じると3.11、3.12が色濃く出ているように感じられたのである。同じシナリオなのに何故、こうも違うのか? (追記2014.3.18)

    ネタバレBOX

     初演の舞台を拝見しているわけではないのでハッキリしたことは分からない。然し、3.11の後、川崎に住む自分は、3.12(福島第一原発人災)をより深刻な問題として考えて来た。放射性核種が実際に飛来して来たということもある。食物連鎖最上位に位置する人間の一員として、様々なレベルで汚染された食物の最終摂取者として、生体の体内濃縮のことも考え乍ら摂取する必要があるということもある。(御用学者は、このような見解を認めていない)
     然し、我々は既に知っている。この「国」では、本当のことを言うとパージされる。だから出回っている情報は、情報源が、政府だとか、一流のレッテルを貼られた大企業の場合は、嘘であるか加工されていると考えてよいということを。被災地の方々は、日々、このような体験をなさっている。自分が、2011年3月16日頃までには大筋を総て把握していたので、メルトダウンが起こっている可能性を含めて、身の周りの人間には、放射能の拡散予測データをメールに添付して拡散していた。無論、拡散データは、スピードによって得られたものではない。フランス在住の友人が、ヨーロッパで核に反対している物理学者、医師、市民団体などの予測データを送ってくれたのである。3月13日か14日には、そのメールが自分の下に届いていたので、原子力研究室などのデータ、議論を含めて自分なりに情報を収集後、拡散したのである。
     だから、政府関係者や、大手マスコミの発表より、爆発直後に現地入りした知り合いのジャーナリストからの情報や、普段から情報が正確な人々からのデータだけをコアに、また仙台で地元の人達の脱出を開始した研究者から、齎される生情報などを頼りにして来ている。新聞社では東京新聞の記事を基本にしている。何故なら、一番まともな記事を書き、読者が知りたいまともな質問をした為に、記者クラブを抜けることになったからである。この後、国税庁が徹底的に経理方面から東京新聞をいびった、という話も聞いている。ことほどさように、この「国」の民主(・・)主義(・・)というのは、実体を持たない偽物である。
     このような経緯を含めて、情報そのものを疑う必要が、あるのである。実は、3年後の現在迄に起こるだろうと予測したことの大筋は、残念乍ら、総て的中している。被災者の難民化と二重、三重の分断と差別である。無論、被災地へ帰ろう、帰れの大合唱も、人々の被ばく等歯牙にもかけない官僚や政治屋しかいない「国」のことであるから、頼るだけ無駄というのが、これも残念なことではあるが覚悟しておくべき原点である。水俣やカドミウム汚染、御嵩町産業廃棄物に纏わる事件等々、上げればきりが無い。薬剤エイズ事件などでもBSE問題などでも、国や担当官庁の無責任な対応はみての通りである。基本は、国など一切信用するな、である。実情を知っている倫理的人間なら、殆ど、総ての人が、自分の意見に賛成してくれるであろう。そのような闇を照らす作品である。


  • 満足度★★★★

    天国か地獄か?
    面白く観劇できました。
    ブラックコメディは余韻を残すので良いですね。
    東京ではなかなか観られない作風で興味深かったです。
    アフタートークの東北地区の演劇事情も聞けて良かったです。

    ネタバレBOX

    カレー大好きですが、さすがに人間の内臓入りは勘弁!
    世話好きの女たちの家畜になり蚊の餌食になるか、厳しい現実に戻るか悩ましいです、ハイ((笑)

  • 満足度★★★★★

    命を繋ぐ女性は強し
    平日は14:00開演が多い中での15:00開演、その意味が分かりました。3月11日14:46、全員で黙祷を捧げました。

    ネタバレBOX

    震災後、多くの劇団が東北を訪れ、ほっこり系のお芝居を上演したそうですが、ブラックなものもあっていいのではないかということで、地元劇団ココロノキンセンアワー演劇部によって本作品が選ばれ上演されたそうです。

    女性だけが住む島における男性にとっての幸せか不幸か、ブラックな出来事を描いた話。和歌山県にかつてあった遊郭の島、女護ヶ島を想像しながら観ていましたが、本作品の作者佃典彦さんが名古屋出身ということを聞き、さもありなんと思いました。

    島に生息する足の長い蚊に刺されると男性は病気に罹って死に、女性は死にませんが男の子の胎児は母子感染によって死産になってしまうようで、島には女性しかいません。男性は常によそから調達するため近親交配を避けることができ、良くできた道理だと思いました。

    それに伴い、用済み男性は簡単に殺され、カレーの具にされてしまうのかなと最初思いましたが、蚊に刺されて病死するまでは島全体の女性から大事にされ生殖活動に勤しむことができると考えるとまんざらでもないのかもしれません。

    娘たちよりもお母さん役の女優さんが一番肉感的だったのが印象的でした。

    命を繋いでいくのは女性、精子さえ得られればそこそこの男であれば誰でもいい、新国立劇場『まほろば』も思い浮かびました。
  • 満足度★★★★★

    無題1032(14-071)
    19:00の回(晴)。18:30受付、開場。昨晩に続き2回目です。過去公演写真を見ると舞台の様子が違ってきています。本作では震災によって押し流された瓦礫のような「東北の新聞(実物)」。今夜戻るとおっしゃっていたので新宿から高速バスだったのでしょうか。3/11(火)14:46、ビルの外を眺めていました。そこにあるのは穏やかな日差し。この日、このみなさん、この作品、それをもう一回観ておきたいと思って来ました。

    ネタバレBOX

    原作を読んでみてからと思うのですが、男の子を産むためなのであれば、すぐに「あれ」して、「鍋」「埋葬」してしまうのはどうしてでしょう。
  • 満足度★★★★

    不思議な満腹感。
    3年目の3.11にこの作品を観れて、よかったです。観る人によってテーマの感じ方がまったく異なると思います。舞台の音、光などの演出方法も面白かったため、不思議な世界観にどっぷりはいっていくような感覚に浸れました。原作もみたくなる、素敵な舞台でした!

  • 満足度★★★★

    生への欲望が
    切実なまでの生への欲望…、それをブラックコメディで表現する。重たい内容をあえてコメディ調にしたところに、現実を直視するのが辛い心情が出ている。しかし、あぁ悲しいと嘆くだけではない。台詞にもある「前を向く。」が最後の場面にある。喪服姿の女性は皆…怖いと逞しさが出ている。⇨続きは後日

  • 満足度★★★★★

    無題1031(14-070)
    19:00の回(晴)。18:30受付、開場。

    舞台床にはくしゃくしゃになった新聞が敷き詰められ、中央に大型の寸胴鍋(チラシのイラスト)。周囲にテーブルや椅子らしきものの形が見えますがすべて新聞紙で覆われています。

    Alice Festival2013のひとつとして上演。この企画、昨年の7月から続いていて、私は11月にサラ・ケイン「Phaedra's Love(英語劇)」を観ました。

    波の音が聞こえる中、19:01前説(初めての東京公演、ブラックコメディ、90分)~20:36終演、アフタートーク(佐々木久善氏、西村博子氏、茅根利安氏)~21:16終了。

    エプロン姿のコミカルな動きで始まった本作品、徐々にこの「島」の妖しさ、不気味さが現れてきました。

    公私にわたって東北との関係があり、3年前、高層階にいたためでしょう、窓の外に見える隣のビルが大きく揺れ、歪んでいたのをはっきりと覚えています(ビルが折れると思いました)。ほんの短い間、やっと繋がった携帯から聞こえてくる声はこちらに心配をさせまいとする内容でした、「大丈夫だから」と。アフタートークでも、他人を気遣うお話があったように。

    交通機関は機能せず、自席でネットの映像を眺めるだけの自分。舞台の床に放置された、見向きもされなくなった新聞(情報媒体)、もう意味を持てないと言っているように見えます。

    これは伝奇モノ…でいいのかな、面白かったので、原作を図書館で予約しました。

    ネタバレBOX

    雑記(観劇メモ)

    常に煮込み続けている鍋、カレーの匂いが届く。

    男がいない小さな島の住人、それは多くの家族を喪ったことなのか…

    男がいないのに妊娠している女…雨の中、闇の中で遺体を埋める男(と言っていいのか)…殺される理由をあれこれ考えながら観ていると、嫌でも鍋が目に入ってくる。

    猟奇的だけど、結構あっけらかんとしている。

    もしかしてフユ子は(男)調達役?
  • 満足度★★★★

    ごちそうさまでした。
    既成の戯曲でもあり震災地からのメッセージを声高に歌うわけではありませんでしたが、
    しっかりとそれが溶け込んだ味わいでした。


    思えば東京で活動している以外の団体の演劇を観るのも初めてでした。
    チケプレでの観劇でしたが、ありがとうございました。

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