創造美に狂わされる。
所見の団体さんだったのですが、
主演の野口和彦さんのマリーに引き込まれました。
まさに美少年のように一種のマインドコントロールされる錯覚。
美少年役の方も素敵でした。
ちょっと残念だったのは
噛んだりとちったり、マイクが入っていなかったり、
基礎的なミスが、
特にこの作品の持つ幻想世界から現実に戻され、
放心状態になる、とまではいけなかった。
美輪明宏さん、及川光博さんの
公演を見たことがあるのですが、
どのシーンを切り取っても何か違和感に似た
幻想的リアル感を感じられたが、
上記の部分が少し邪魔したように思った。
野口和彦さんのマリーは本当に素敵でした。
あとは個人的にダンサーの方々のパフォーマンスの高さにびっくりしました。
満足度★★★★
寺山修司の怪作
これぞ耽美極めりといった寺山修司の怪作を、肌で筋肉で脂肪で表現し切っていて圧巻でした。野口和彦さんの笑うセールスマンもかくやといった独特の声や、しっとりむっちりした肌に目が吸い寄せられ、役を抜きにした存在感は天性のものだと感心しきり。
そしてアフタートークの面白かったこと!かつて寺山修司や美輪明宏さんと毛皮のマリーで共演した役者さんたちが語る当時の裏話は貴重でした。舞台には実際に人を殺せる効果がある、と述べた寺山修司の「毛皮のマリー」によって、確かにわたしの何かが壊死した。何が壊死したのかは分からないけれど。