満足度★★★
大人が下司
シナリオは積み木ほどに単純で1x0の2進法を示唆し、不思議の国のアリスのモチーフを安易に引用してつじつまを合わせながら、ITバブル当時、ベンチャー企業の一大集結地であった渋谷のスクランブル交差点とその地下を舞台として設定する。公演会場は、この交差点から200m程の地点に立つビルの6階である。このように現実とバーチャルを組み合わせ、IT技術を駆使して、8800人の応募者から選ばれた平均年齢15歳の10人の少女のパフォーマンスと歌の未熟さをカヴァーしながら行われる。気持ち悪いのは、いい大人が、これに、連なって手を振ったり、叩いたりしている光景である。
資本主義の最も先鋭的な形を表すスターシステムに子供達を組み込んで良いように使い捨てる。代わりはいくらでもいる、というスタンスだ。このスタンスが醜悪である。戦前、現在の電通の前身が何をやっていたか忘れたのか? 完全に体質は戦前のそれである。ちったあ、日本の文化に貢献したらどうか? その質を落とすことにではなく。
満足度★★★★
贅沢なエンタメ
お金とエネルギーの注がれた、贅沢なアイドルライブでした。新生TPDは、Yahooニュースで知ってたけど、こんなに若くて元気なコ達なのか。舞台美術も映像もかっこいいし、アンサンブルや装置移動で魅せる空間演出もさすがだなぁと思いました。衣装替えも多くて、アイドルライブのイメージの、アングラ感が全然無くて、普通に感動する。ダンスも全力で、10人いるから出来るフォーメーションが、ビシっっと決まる度に、興奮する。アイドルを見慣れてる訳じゃないので比較は出来ませんが、この原石感たまらないなぁ、笑顔、一生懸命、個々に与えられた見せ場、そして当然みんなカワイイ。ツイッターで感想見てると、初代の東京パフォーマンスガールからのファンの方が呟いてたりして、歴史を感じるなと思いました。
サブちゃんが10人の女の子に分裂した!?
平均年齢15歳、10名のティーンズで構成された「東京 パフォーマンス ドール」(TPD)による、LIVEあり、舞台ありの90分。
本作は世界初の、HMD=拡張現実 の技術を舞台に取り入れる試みで、日本経済新聞に特集されるなど、各方面から期待の声が上がっていた。
HMD席に座った観客は、専用のメガネを装着した上、終盤の「ダンスサミット」というレビューのコーナーを鑑賞する。
メガネのディスプレイへバーチャル映像が表示され、TPDの歌や踊りとともに鑑賞する使途らしい。
残念ながら私は、一般の客席であったため、HMDを舞台へ導入した その評価について語るべきではないだろう。
舞台は東京•渋谷のスクランブル交差点から始まる。
TPDの10名がコンクリートの上を歩いていると、突如として地下へ落ちてしまった。
行き着いた先は、バーチャルな「自分の思い通りになる」世界であり、メンバーは混乱状態。
近年、「謎解き」イベントが社会的なブームとなっているが、その理由は参加者も「体感」できるからだ。東京ドームを会場とした大型イベントさえ開催された今日、「謎解き」は一つのジャンルである。
だから、演劇としてではなく、ゲームの参加者として「体感中」の女の子が立ち向かう姿を踏まえて観劇した方がよい。
それを主催者は「LIVE」とも言い換えた。
ETV『天才!ビットくん』をモチーフにした作品ではなかったか?
何となく、舞台を観劇する感覚よりかは ドラマを視聴する感覚に近いのも、同番組をモチーフとした結果 かもしれない。
音や光、映像を効果的に使い分け、極めてスタイリッシュな場を作り上げるなか、現代のティーンズはスラリと溶け込む。
洗練されたグループ=TPDの一員が半導体の無機質な部品となって、スタイリッシュな舞台を生むのだ。
(衣装に「バブルの頃」を感じたのは私だけ か…。)
舞台+レビューの代名詞は「北島三郎」である。
サブちゃんが15歳前後の女の子に分裂し、パフォーマンスを磨けば、きっと現すのはTPDだ。
そして それは、HMDを使用した拡張現実でしか あり得ない。