『翔べ!原子力ロボむつ〜めぐりあい時空編』<10人版> 公演情報 「『翔べ!原子力ロボむつ〜めぐりあい時空編』<10人版>」の観てきた!クチコミ一覧

★ 満足度の平均 ★ ★ ★ ★ ★ 4.6
1-8件 / 8件中
  • 実演鑑賞

    今回の2バージョンのうち、どちらかというと初演・再演に近いフォーマットの10人版。9月23日までスズナリ。

    https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2026/10/post-b545c7.html

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    畑澤氏の前説で記憶が確認できたのが、初演から数年置かずF/Tトーキョーでの高校生バージョン(素舞台での大人数による)があった(確かにしすがも創造舎、要は体育館)。本作は東日本大震災翌年に製作された劇で、震災の影を引き摺った期間は観劇気分も独特なものがあった。「揺れのあった場合はお席にてお待ちを。スタッフが誘導します」のお断りもこれ以後の必須になった。これが言い訳臭く響く事もあって疼く事もあった(我々も被災可能性のある身、とする事で今塗炭の苦しみにあるだろう被災者を差し置いてお芝居なんぞに興ずる罪深さを緩和する。同じ疚しさを持つ者はこれに「うん、そうだそうだ」と同意する。思いを馳せる、という事による贖罪。震災直後に敢行した公演の最後には、なぜか長い拍手が起きた。こんな状況の下でよくやった、という事だろうか。集団心理というものをひしひしと感じた期間だった)。その次がコロナ。これも大きな画期であったのは語るまでもなし。そして物価高。演劇環境に様々な困難がひた寄せる今、この15年の振り返りを余儀なくされる演目でもあり、「秀作であった」とだけの記憶から、それを再度確認しに行く特別な観劇でもあり。
    4人バージョンを目にする事ができなかったが、再び新鮮に立ち上がる手作り感たっぷりの近(遠)未来SF舞台を堪能した。
    音喜多女史がほぼ変わらぬ姿でそこにいるのは驚異であるのだが、二体のアンドロイドが相前後して機能停止した後、人類の記憶の走馬燈のように主人公の過去が巻き戻され、束の間の幸せに浸るあたりなんざ、憎い。そして、いつかは訪れる人類の終末を、色を付けずただそれとして提示して芝居は終わる。それで十分である。核廃棄物と人類との果てしない付き合いのメタファーではあるが、これを通り越してある。主人公が森の中に見出す核兵器ロボットの残骸「むつ」と持つ交流は、劇中僅か。しかし全てが無くなった時、忘れた時に思い出す存在として現れ、最後の会話を交わす。このむつの「願い」に、滅亡という淡白な事実に精神のありかを微かに残す。人が永遠を渇望する所以に気付かされる。
    まあそんな事で、やはり名作であった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2026/09/22 (火) 14:00

    渡辺源四郎商店『翔べ!原子力ロボむつ 〜めぐりあい時空編』10人版 (作/演出 畑澤聖悟)

    『翔べ!原子力ロボむつ』は、2012年初演。畑澤聖悟さんの岸田國士戯曲賞候補作。これまで幾多の畑澤作品を拝見して来たが 、 『翔べ!原子力ロボむつ』は拝見出来ていなかった。ももクロの映画「幕が上がる」が演劇を観始める切っ掛けで、その映画に青森中央高校 演劇部の『翔べ!原子力ロボむつ』のいち(一)シーンが登場するのだ。今日『翔べ!原子力ロボむつ』を観ると言う願いが叶ったのだ!

    物語は畑澤聖悟の戯曲、笑いあり、しかしその裏に、いや、表に大きなテーマが描かれている。『翔べ!原子力ロボむつ』の題名はそう言うことだったのだと気付く最後のシーンに(殊更)打ちのめされた。

    それと、今夜は、昼の東京都の山手城南地区大会の予定の都合で昼の公演から夜に切り替えていただいていて、余録的にアフター トークのゲストが、アフター トークを聴くことが嫌いだと仰られる、TBSラジオ澤田大樹記者でして、個人的なアフター トーク聴取史でもベストの内の一つになる面白くためになった回でした!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2026/09/23 (水) 13:00

    荒唐無稽な設定の中にリアルが色濃く織り込まれて、
    出来上がった作品に浮かび上がる模様は、モノクロの“明日のニッポン”
    作品と現実との距離が縮まった分、切迫度は爆上がりして
    エイスケの絶望感がいよいよ強く胸に迫る。
    私には2012年、2014年に続いて久しぶり3回目の「ロボむつ」となった。
    テーマと完成度の高さ、演劇の力を目の当たりにした絶対に忘れられない作品。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    登場人物の数だけ演じ手がいるので4人版よりわかりやすいのだが、いざ観てみると4人版がすごかったことが分かってちょっと複雑な気分でもありました。

    ネタバレBOX

    最後に1人残されたエイスケは猿田博士(だったと思う)のように地球の生命の行方をただただ見守るのだろうかと思ったら切なかった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2026/09/22 (火) 14:00

    95分。休憩なし。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    とてつもなく哀しい話。
    こんな話ばかり描いていた手塚治虫の精神構造に今更ながら慄然とする。

    こういう役を演らせると三上陽永氏は強い。
    サツキ(三津谷友香さん)とミナヅキ(音喜多咲子さん)のユニゾンがMVP。「お世話お世話」。
    工藤良平氏はサンボマスターっぽい。

    4人版のインパクトが強いが10人版は後半の寂寞感にやられる。

    ネタバレBOX

    ロボットが死んで動かなくなった時に到頭自分の死を意識する。今まで生きている実感は彼等からもたらされていたことに気付く。

    むつが何でアトムにそんなに反応したのか?太陽に突っ込んで無になることへの憧憬?原作版『ナウシカ』のオーマみたいな存在。豆腐や冷蔵庫を思わせる白い巨大な直方体。

    何故むつに意識が生じたのか?結局は町長の自責から来る幻聴だったのか?核廃棄物を除染して無害にする筈が何千年経っても無理。どれだけ科学が進歩しても無理。いつかきっとそんな技術が発見されて可能になるだろうと未来に押し付ける。だが無理。全人類滅亡してもたった独り生き続け見守る覚悟を決めた町長は『火の鳥』の猿田である。何をどうやっても無理なのか?今作は解決を冷凍睡眠させ次の世代に放り投げる現実のメタファー。都合のいい解決法なんて何処にもありはしない。今ここで心底苦しんで行動を選択し吐き出す以外ない。それは後世から見れば間違った選択なのかも知れない。それも含めて背負うのだ。

    ※作家がここからもう一歩足を進めようとしたならば、
    「ちがう!いのちは闇の中のまたたく光だ!」
    「オーマ その者を闇へ帰しなさい!!」
    と宮崎駿の原作版『ナウシカ』に辿り着いただろう。

    自分は宮崎駿のキチガイっぷりに魅せられた口。左翼的理想を追い求めた末に全て嘘っぱちだと暴力的に破壊。正しいとか間違っているとかそんなこたァもうどうだっていい。自分の生きてきた感じてきた経験してきた世界こそが全て、それだけが実存。今更、天から救世主が降臨して来たところで跪けるか!遅すぎるんだよ、引き摺り下ろしてやる!俺達の培った痛みや苦しみこそがREALだ。そいつと向き合った日々こそが全て。原作版『ナウシカ』はそんな人間宣言のようなメチャクチャなラストだった。盟友、高畑勲も遺作は『かぐや姫の物語』。「生きている手応えさえあれば、きっと幸せになれた」。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    渡辺源四郎商店『翔べ!原子力ロボむつ〜めぐりあい時空編』

    青森県を拠点にしている劇団で、今作は岸田戯曲賞候補作品。

    あらすじ:
     青森県のとある町。高レベル放射性廃棄物の受け入れを決めた町長は、廃棄物の無害化を見届けるため、コールドスリープにより1000年後になって目を覚ますが、二つの地域が対立して戦争を行なっていた。だが廃棄物への無害化は終わっていない。また眠り続けて、起きてみると人口減少で壊滅状態だが、廃棄物の無害化は終わっていない。更に眠り続け目が覚めても同じことの繰り返しだ。
     最後に町長がひとりだけ生き残ったが、廃棄物の無害化は未だに終わらないのだ。

    感想:
     東日本大震災直後に作られた芝居。誰もが認識し始めた放射性廃棄物の処理問題だ。無害化に何十万年かかるという時間に唖然とし、未だに解決しない問題を捉えたのだ今作だ。
     放射性廃棄物を受け入れを決意した町長が、無害化まで責任を持って見届けるという設定が、観客自身も同じように意識しなければいけないのだ。
     描かれるテーマの深刻さに相対して、登場人物のキャラクター、りんご王国、廃棄物無害化のロボット、りんご動物など、アニメのように戯曲化していて、失笑と寒気すら感じてしまうが、意図として機能しているからこそ、物語と現実が乖離せず一気にテーマに突き進んでいく。
     誰にも分からない日本の将来、廃棄物の無害化問題、これからも不安を抱えながら生きなければならないながらも、未来に行きている町長の姿を将来に置き換えると全く希望がないのだ。
     渡辺源四郎商店は何本も観ていて、毎作ごと期待通りだが、今作が最高傑作のようだ。

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