『翔べ!原子力ロボむつ〜めぐりあい時空編』<10人版> 公演情報 渡辺源四郎商店「『翔べ!原子力ロボむつ〜めぐりあい時空編』<10人版>」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    とてつもなく哀しい話。
    こんな話ばかり描いていた手塚治虫の精神構造に今更ながら慄然とする。

    こういう役を演らせると三上陽永氏は強い。
    サツキ(三津谷友香さん)とミナヅキ(音喜多咲子さん)のユニゾンがMVP。「お世話お世話」。
    工藤良平氏はサンボマスターっぽい。

    4人版のインパクトが強いが10人版は後半の寂寞感にやられる。

    ネタバレBOX

    ロボットが死んで動かなくなった時に到頭自分の死を意識する。今まで生きている実感は彼等からもたらされていたことに気付く。

    むつが何でアトムにそんなに反応したのか?太陽に突っ込んで無になることへの憧憬?原作版『ナウシカ』のオーマみたいな存在。豆腐や冷蔵庫を思わせる白い巨大な直方体。

    何故むつに意識が生じたのか?結局は町長の自責から来る幻聴だったのか?核廃棄物を除染して無害にする筈が何千年経っても無理。どれだけ科学が進歩しても無理。いつかきっとそんな技術が発見されて可能になるだろうと未来に押し付ける。だが無理。全人類滅亡してもたった独り生き続け見守る覚悟を決めた町長は『火の鳥』の猿田である。何をどうやっても無理なのか?今作は解決を冷凍睡眠させ次の世代に放り投げる現実のメタファー。都合のいい解決法なんて何処にもありはしない。今ここで心底苦しんで行動を選択し吐き出す以外ない。それは後世から見れば間違った選択なのかも知れない。それも含めて背負うのだ。

    ※作家がここからもう一歩足を進めようとしたならば、
    「ちがう!いのちは闇の中のまたたく光だ!」
    「オーマ その者を闇へ帰しなさい!!」
    と宮崎駿の原作版『ナウシカ』に辿り着いただろう。

    自分は宮崎駿のキチガイっぷりに魅せられた口。左翼的理想を追い求めた末に全て嘘っぱちだと暴力的に破壊。正しいとか間違っているとかそんなこたァもうどうだっていい。自分の生きてきた感じてきた経験してきた世界こそが全て、それだけが実存。今更、天から救世主が降臨して来たところで跪けるか!遅すぎるんだよ、引き摺り下ろしてやる!俺達の培った痛みや苦しみこそがREALだ。そいつと向き合った日々こそが全て。原作版『ナウシカ』はそんな人間宣言のようなメチャクチャなラストだった。盟友、高畑勲も遺作は『かぐや姫の物語』。「生きている手応えさえあれば、きっと幸せになれた」。

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    2026/09/21 21:45

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