シュナイダー 公演情報 シュナイダー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.9
1-14件 / 14件中
  • 満足度★★★★

    衝撃の連続
    露悪的で、心の中に土足でズカズカ踏み込まれる感じがする。でも、嫌じゃないのが不思議。この過激で不愉快な物語を、どこかで自分が望んでいるのかと思うと混乱する。それは、ホラー映画を見てる感じに近いのかなと思いました。冒頭から「明らかに何か起こるような感じ」が劇空間に漂っていて。ドキドキする緊張感と、実際に何かが起こった時の興奮。これが醍醐味なのかなと思いました。物語の筋は割とどうでも良くて、そうした観客を引き付けて離さない構成力が面白いなと思いました。

  • 満足度★★★★

    よりコアに、よりタイトに
    作・演出のマキタカズオミが主宰する劇団elePHANTMoonで2006年に上演された作品を、青年団の若手を中心として上演する。私は初演を「メンタルに痛んだ人たちが簡単に他人を傷つける存在になる、というドラマが展開される」と評したのだが、その基本構造は変えないまま、登場人物も減らしつつ、よりコアな部分を取り出してタイトな芝居として作り上げられている。やはり面白かった。にもかかわらず、満足感が少し足りない印象なのは、やはり再演だからなのだろうか。役者陣が頑張っていないとは思わないが、何か足りない感じは残ってしまった。

  • 満足度★★★★

    原罪
    上演時間95分。人というものは罪を犯してしまう。

  • 満足度★★

    ・・・
    私には難しすぎるというか・・重いような舞台でした。どちらが加害者なのか分からない被害者の女性の言動は、観ていて気分が悪くなりました。被害者も加害者も精神的に病んでしまうという事なのでしょうか?予期せぬ被害者男性の登場シーンは心臓が止まるかと思いました。インパクトはありましたが、あの登場の仕方って必要なのかな?と思いました。個人的には、苦手な舞台でした。

  • 満足度★★★★

    闇の森
    「劣る人」以来のマキタ作品観劇。(06年初演は観ていない)

    胃の腑にグッと来る物語に期待して観劇。

    常軌を逸した行動も、誰もが持つ心の闇として捉えると恐怖ではあるが決して人事ではないかも知れない。





  • 満足度★★★★★

    表現上細かい欠点はあるが、本質的な欠点なし
     よくこれだけダークな作品を描いたな、と感心した。というのも、現在、この国で喧伝されているのは、在りもしない未来と幻想ばかりだからである。少なくともTVはそうではないか? 然るに、現実はそうではない。それどころか、原発推進派や諸官僚、政治屋の動きを見る限り、ふりまかれている下らない幻想と反対に暗く蠢く人間という生き物のダークエネルギーしか見えてこないのである。端的に言えば、「我の死後洪水は来たれ!」という無責任そのもの及び倫理の徹底的退廃の上で、既存「エリート」は、多くの甘い囁きを垂れ流しているだけなのだ。その点をブレの無い視座で見定め作品化している点に感心したのである。そも、人間という生き物は、この地球上に於いて食物連鎖の最上位に位置する。即ち、あらゆる生物の王と言って過言ではない。従って、いいことも悪いことも自分の好きなことをやってのけることができる位置にいるのである。我らは、このことの意味する所を良く知らねばなるまい。誰でも理屈の上ではよく知っていることだが、人間は、総ての良いことも、また総ての悪いことも、最大限実行可能なのである。それを敢えてしないのは、倫理と法による規制に従うからである。
     一方、自分自身がどうなっても良いと定めれば、彼を縛るものなど何処にもないのが実情である。そして、負のエネルギーを解放する為に、一般市民が、採り得る方法とは、先ず、自らが犠牲者の立場になることではないだろうか? そして、自分の不幸の原因を、例えば加害者に求めるとすれば、加害者が法的に罰せられ、その罪を法的に償ったあとでも、倫理を盾に、加害者をいびり続けることは可能なのではないか? この作品では、登場する被害者の総てが、加害者に対してこの点をメタレベルで実践している。そのことを舞台を通じて観るのが、我ら観客である。つまり、舞台は、このようなことが正当なのか否かを観客に問うているのであり、観た者は、その答えを探すことを求められているのである。だから、この作品は、謎に始まり、謎に終わっているのだ。

  • 満足度★★★★★

    刑罰上等
    他人の生活を壊したことの代償は、刑罰では済まない。
    青年団若手自主企画なんて字面だと文学的な要素満載で、ElephantMoonの様な究極の選択を思わせる舞台は望めないなんて思い込んでいました。
    杞憂でした...更に新たな世界観を追求したマキタ・ワールド健在です。
    3割の爽やかさと7割の劇薬で構成されている印象でした。衝撃が脳裏に焼きつきます。
    憎悪を芝居での表現で、これほどまでに限界を設けないのは凄い。
    寺井氏の復讐の演技は、殴打シーンは自主規制かかった感がありますが、展開が恐ろし過ぎる背景もあります、観客に恐怖を植えつける見事なものでした。
    そして、物語は深い。

  • 満足度★★★★

    青年団の若手公演らしからぬ
    濃厚な世界観。どいつもこいつも被害者と加害者だらけのヘビーな関係。

  • 満足度★★★★★


    elePHANTMoonの舞台は重いため、体調が万全でないと即死する危険性を孕む(苦笑

    今回は・・やっぱり凄かった(苦笑

    青年団の役者ばかりなので
    まったく知らない人たちばかりだったら、
    「これってひょっとして素?」
    と少しでも思ってしまうところだが、
    そういった心配も無かったので、
    フィクションとして集中して観れた。

    仕事で疲れた状態で頑張れる自信が無かったので
    土曜にして良かった(苦笑

    前回の公演を王子で観たような・・そのせいか内心
    「ヒィィ・・」
    と思いながらも(苦笑
    冷静に分析しながら集中して観れました。

    好き嫌いは分かれる・・というか好みの問題ではないのかも。

    周りに登場人物のような人がいるとかいないとかという話でもない気がする。

    要は、それまでは普通の生活をしていたと思われる人たちが、
    何かの事故や何かのきっかけで道を踏み外すと、
    いつしか陰のように業が後ろにへばりつき
    やがて何かの澱みのようなところに落ちていく。

    河の流れに瑞々しいところもあれば澱みもあるように、
    世の中にもそうした所、瞬間がある。

    観なくても何不自由なく過ごしていけるのかもしれないが、
    他に誰も描いていない空気がそこにあるのなら、
    純粋に舞台として評価しなければならない気がする。

    毎回観れるかと言われれば
    「・・体力と相談させてください」
    としか言いようがないが、
    根拠のない前向きのメッセージが溢れる今の世の中には貴重な舞台であるようにも思う。

    ネタバレBOX

    公演時間85分(もっとあった?
    常に高いテンションで一瞬も気が抜けない。

    どの会話も何かの伏線につながっている。

    一見普通に見える人も次の瞬間には普通でなくなる。

    良く考えればそんなに「普通の」人間なんて世の中には存在しないのかもしれない。

    幼馴染の男女がいる。

    女は昔ままごとで男に泥汁を珈琲として無理やり飲ませた。

    男もムリして飲んだ時の女性の喜んでるんだか何だかわからない不細工な顔が忘れられないという。

    大人になって女性は結婚し、男性は独身のまま。

    女性は、自分の足の感覚を車の事故で奪った男に執拗に謝罪を迫る。

    また、自分の旦那の浮気を執拗に攻め立て
    「死んだら許す」
    と言われた旦那は喜んで自殺する。

    女性は旦那の浮気相手に毎晩無言電話を掛け、
    その女が訪ねてくると包丁を振り回すが、
    旦那が死ぬと酒を酌み交わして仲直りをする。

    この物語に出てくる女性は、浮気相手の女性も含め、男性を愛していないことははっきりしていると思う。

    女性たちは、昼メロのような安っぽい修羅場に恋しているのだと思う。

    それだけが、田舎の日常に「痛み」という人生のリアリティを与えてくれる。
    物語の登場人物に自分を導いてくれる。

    だからこそ、物語がひと段落(旦那の死)すると女性たちは何もなかったかのように、
    まるで舞台が終わった後の役者たちのように
    酒を酌み交わすのではないかと思う。

    世間一般で言えば「浮気をする男性が悪い」ということになるが、
    この物語では、
    浮気をする男性を挟んで女性二人が
    「修羅場というゲーム(エンダーのゲームみたいなもん)」
    をそれぞれの役柄に合わせてプレーし、
    耐え切れなくなった旦那(男前という設定)があまりにも早くリタイア(自殺
    してしまったために女性二人が肩すかしを喰らった感が描かれている(恐ろしいことじゃて(怖

    そんな女性に惹かれる幼馴染の男性(そんな目の前で包丁を振り回す女性に惹かれるだけでも男性が普通でないことが推測される(苦笑
    は「不幸な自分に酔うのは気持ち悪い」と、ハッキリ言う(このように物語の中で登場人物の気持ち悪さをハッキリ示す言葉が多いので、舞台は常に客観性を維持してるように思う(これらの女性のように、痛みだけでしか自分の存在を確かめられない(昼メロのような安い設定・物語にしか居場所を見いだせないと言い換えても良いかも)人は意外と多いと思う(それは世の中の男性たちが愛情とかコミュニケーションとかいうものに長けていないという証左とも言えるのかも

    女性は自分の気持ち悪さを指摘した凡庸な(そう見える)男性より、性犯罪の過去を持つ男性を選ぶ(男性は説教するだけで共感を示せなかった、と言えるかもしれない・・単純にまとめすぎ?

    その男性の被害者の父親が、
    男性が幸せになった時、その幸せを破壊することを人生の生きる糧にしている、とはっきり女性の目の前で言っていたにも関わらず。

    いや、だからこそ強烈な痛みの物語のただなかに自分が導かれることを予感して男性を選んだのかもしれない。

    かくして希望通り?
    父親にガソリンを掛けられて火をつけられ、包帯だらけになって表情も分からなくなった女性は、
    通常なら不幸のどん底になって打ちひしがれるはずなんだろうが、
    表情が全く分からないため、
    「ひょっとしたら今が幸福の絶頂なのではないか?」
    という暗い予感が導かれる。

    非常に見応えがあたものの精神的な疲れも相当なものだったので、
    家に帰ってからスピッツを聴きながら漢詩(杜牧)を読んで心を落ち着けることにした・・♨
  • 満足度★★★★★

    真骨頂!
    加害者と被害者、そしてその属性、見応えありました。

    ネタバレBOX

    交通事故で足に後遺症を負った女性と加害者、子供をいたずら目的で殺され、妻も自殺した男とその当時未成年だった加害者の青年、二組の加害者と被害者との関係で反省と謝罪の仕方が両極端で異常でした。

    女性は謝罪し続けるようにとネチネチ責めて、自分の喫茶店に毎日来ることを要求。男は加害者が幸せになれば恨むことができるとして加害者が幸せになることを要求。

    偶然にもこの二組が接触したことで新たな展開に。冷静に見えた男ですが、加害者が幸せになりそうと判断すると一転、その芽を摘もうと自分の子供がされたように女性に火を付けました。突然の侵入シーンは強烈でした。

    ただ、それだけでは済みません。この女性は被害に遭えば遭うほど喜ぶタイプで、最後顔中包帯ぐるぐる巻でモゴモゴして何をしゃべっているのか聞き取れませんでしたが、全身やけどを満足しているような様子が不気味でした。elePHANTMoonっぽくて、作家さんの真骨頂だと思いました。

    この女性の夫が自殺した本当の理由は不明ですが、浮気されたという悲しみが喜びとなって、夫にネチネチ迫ったのでしょう。

    二組の加害者と被害者に、こうした事件が加わったりして面白かったです!
  • 満足度★★

    ネタばれ
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    マキタ企画の【シュナイダー】を観劇。

    初見の劇団で、青年団の若手公演であり、チラシのデザインの奇妙さで観劇を決意。

    自殺の名所と言われている深い森の側にある喫茶店で展開する物語。
    店主の女性は、夫の突然の失踪に戸惑いながらも、店を辛うじて続けている。女性は足に障害を持っていて、その加害者は、償いのつもりで毎日店に通っている。そしてそこでアルバイトする店員は、幼児殺しで出所してきたばかりの曰く付き。更に幼児殺しの被害者の父親と店主の旦那の浮気相手など心に傷を持った人達の物語。

    このような荒筋で、青年団の若手公演という事なので、尤も物語らしい物語の展開と思いきや、被害者と加害者の惨めな傷の舐め合うだけの展開のみで終始してしまう話にはウンザリした。そこから新たなる演出家の視点なり着眼点が見えてくれば良いのだが、何もないまま終わってしまい、終わり方も、ただただ曖昧にして、無理やり終えた?という感じになってしまったようだ。

    観客の気分を害してしまう、出来の悪い演劇を目撃してしまったようだ。


  • 満足度★★★★

    謝罪
    すみません。ごめんなさい。申し訳ありません。悪かったです。
    劇中で幾度となく使われる言葉でしたが、言葉では収まりきれない感情がそれぞれあって、その行き先がとても見応えありました。

    最後20分位のために、台詞が全部用意されていた感は否めないのですが、その20分が強烈で、フライヤーから受ける印象のまま狂気を感じました。

    被害者が望む償いの一つの形なのかもしれませんが、司法とは何かを考えてしまいます。

  • 満足度★★★★

    生のホラー
    リアルすぎて、こわっ!

  • 満足度★★★

    死と償い
    オーソドックスなストレートプレイの形式を用いて、人間の負の部分を猟奇的なエピソードでショッキングに描いた作品で、底知れない気味の悪さが印象に残りました。

    自殺の名所の森の近くにある小さな喫茶店に出入りする人達の、お互いに罪を犯し、償う歪んだ関係を描いた物語で、全てを明示せず、前後に何があったかを観客に想像させる構成が特徴的でした。
    前半で描かれる敵対関係がある出来事をきっかけに解消し、暖かな雰囲気で終わると思わせておいて、急展開する終盤が壮絶でした(心臓の弱い人は覚悟しておいた方が良いです)。
    単純に憎むのではなく、相手に対して優しい顔を見せるのが却って怖さを引き立てていました。

    春風舎の公演ではあまり見掛けないタイプの、リアルに作り込んだセットの中で、リアリズムの演出で演じていながらも、どこか非現実感が漂っていたのが興味深かったです。

    嫌な感じでありながら、憎めない可愛らしさもある女を演じた齋藤晴香さんが魅力的で、酔っている演技もリアルで良かったです。
    逆説的な台詞を語る男を演じた寺井義貴さんの不気味さもインパクトがありました。

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