シュナイダー 公演情報 青年団若手自主企画 マキタ企画「シュナイダー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★


    elePHANTMoonの舞台は重いため、体調が万全でないと即死する危険性を孕む(苦笑

    今回は・・やっぱり凄かった(苦笑

    青年団の役者ばかりなので
    まったく知らない人たちばかりだったら、
    「これってひょっとして素?」
    と少しでも思ってしまうところだが、
    そういった心配も無かったので、
    フィクションとして集中して観れた。

    仕事で疲れた状態で頑張れる自信が無かったので
    土曜にして良かった(苦笑

    前回の公演を王子で観たような・・そのせいか内心
    「ヒィィ・・」
    と思いながらも(苦笑
    冷静に分析しながら集中して観れました。

    好き嫌いは分かれる・・というか好みの問題ではないのかも。

    周りに登場人物のような人がいるとかいないとかという話でもない気がする。

    要は、それまでは普通の生活をしていたと思われる人たちが、
    何かの事故や何かのきっかけで道を踏み外すと、
    いつしか陰のように業が後ろにへばりつき
    やがて何かの澱みのようなところに落ちていく。

    河の流れに瑞々しいところもあれば澱みもあるように、
    世の中にもそうした所、瞬間がある。

    観なくても何不自由なく過ごしていけるのかもしれないが、
    他に誰も描いていない空気がそこにあるのなら、
    純粋に舞台として評価しなければならない気がする。

    毎回観れるかと言われれば
    「・・体力と相談させてください」
    としか言いようがないが、
    根拠のない前向きのメッセージが溢れる今の世の中には貴重な舞台であるようにも思う。

    ネタバレBOX

    公演時間85分(もっとあった?
    常に高いテンションで一瞬も気が抜けない。

    どの会話も何かの伏線につながっている。

    一見普通に見える人も次の瞬間には普通でなくなる。

    良く考えればそんなに「普通の」人間なんて世の中には存在しないのかもしれない。

    幼馴染の男女がいる。

    女は昔ままごとで男に泥汁を珈琲として無理やり飲ませた。

    男もムリして飲んだ時の女性の喜んでるんだか何だかわからない不細工な顔が忘れられないという。

    大人になって女性は結婚し、男性は独身のまま。

    女性は、自分の足の感覚を車の事故で奪った男に執拗に謝罪を迫る。

    また、自分の旦那の浮気を執拗に攻め立て
    「死んだら許す」
    と言われた旦那は喜んで自殺する。

    女性は旦那の浮気相手に毎晩無言電話を掛け、
    その女が訪ねてくると包丁を振り回すが、
    旦那が死ぬと酒を酌み交わして仲直りをする。

    この物語に出てくる女性は、浮気相手の女性も含め、男性を愛していないことははっきりしていると思う。

    女性たちは、昼メロのような安っぽい修羅場に恋しているのだと思う。

    それだけが、田舎の日常に「痛み」という人生のリアリティを与えてくれる。
    物語の登場人物に自分を導いてくれる。

    だからこそ、物語がひと段落(旦那の死)すると女性たちは何もなかったかのように、
    まるで舞台が終わった後の役者たちのように
    酒を酌み交わすのではないかと思う。

    世間一般で言えば「浮気をする男性が悪い」ということになるが、
    この物語では、
    浮気をする男性を挟んで女性二人が
    「修羅場というゲーム(エンダーのゲームみたいなもん)」
    をそれぞれの役柄に合わせてプレーし、
    耐え切れなくなった旦那(男前という設定)があまりにも早くリタイア(自殺
    してしまったために女性二人が肩すかしを喰らった感が描かれている(恐ろしいことじゃて(怖

    そんな女性に惹かれる幼馴染の男性(そんな目の前で包丁を振り回す女性に惹かれるだけでも男性が普通でないことが推測される(苦笑
    は「不幸な自分に酔うのは気持ち悪い」と、ハッキリ言う(このように物語の中で登場人物の気持ち悪さをハッキリ示す言葉が多いので、舞台は常に客観性を維持してるように思う(これらの女性のように、痛みだけでしか自分の存在を確かめられない(昼メロのような安い設定・物語にしか居場所を見いだせないと言い換えても良いかも)人は意外と多いと思う(それは世の中の男性たちが愛情とかコミュニケーションとかいうものに長けていないという証左とも言えるのかも

    女性は自分の気持ち悪さを指摘した凡庸な(そう見える)男性より、性犯罪の過去を持つ男性を選ぶ(男性は説教するだけで共感を示せなかった、と言えるかもしれない・・単純にまとめすぎ?

    その男性の被害者の父親が、
    男性が幸せになった時、その幸せを破壊することを人生の生きる糧にしている、とはっきり女性の目の前で言っていたにも関わらず。

    いや、だからこそ強烈な痛みの物語のただなかに自分が導かれることを予感して男性を選んだのかもしれない。

    かくして希望通り?
    父親にガソリンを掛けられて火をつけられ、包帯だらけになって表情も分からなくなった女性は、
    通常なら不幸のどん底になって打ちひしがれるはずなんだろうが、
    表情が全く分からないため、
    「ひょっとしたら今が幸福の絶頂なのではないか?」
    という暗い予感が導かれる。

    非常に見応えがあたものの精神的な疲れも相当なものだったので、
    家に帰ってからスピッツを聴きながら漢詩(杜牧)を読んで心を落ち着けることにした・・♨

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    2013/05/18 23:27

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