て 公演情報 」の観きた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-19件 / 19件中
  • 満足度★★★★★

    家族は「て」の指のよう
    バラパラだったりしても、下ではつながっているから。
    ……そういう意味合いのタイトルなんだろうね。

    ハイバイの『て』は、家族の話。
    とても深く考えさせられ、笑ったり、あるいは泣いたり、痛くなったりする。

    ネタバレBOX

    家族の話。
    こういう設定は、「家族」を意識するようになった、ある程度以上の年齢にとって、「自分のこことして」見て、考えられるというメリットがある。
    どんな家族構成や環境であったとしても「家族」の話は強いということだ。

    しかし、逆に誰でもが想像できる「家族」の話なだけに、多くの観客を納得させるのは難しいともいえる。観客の数だけ家族のカタチがあり、尺度があるからだ。

    ハイバイの作品は、岩井秀人さんの個人的な体験が源である。
    この作品も自身の体験がもとになったらしい。

    岩井さんの体験は、観客の最大公約数であるわけもないのに、観客は納得し、かつ共感が生まれたりする。

    それは語り口の面白さもあるが、作品がとらえているおおもとの部分が、1人ひとり別の人格をもった観客たちの、それぞれの琴線に触れることができているからであろう。

    「家」を象徴するような4本の柱が天井から吊されている。
    ところどころに焦げがあったりする。
    ただ、それだけのセットなのに、そこに物語を見出すことだって可能だ。
    そこで人が演じることで、観客の脳裏にはさまざまな体験や経験が蘇ったりするのだ。

    一口に「家族」といってもさまざまなカタチかあるだろうが、その「おおもと」「根っこ」の部分においては、共通するポイントがきちんとあるだろう。
    「これ」と言葉にうまくできない、それが舞台の上にある。
    「言葉」ではないので観客は自分の家族のカタチを投影できる。

    そうしたものをきちんと見せるうまさがこの作品にはある。
    それを意識して戯曲を書いているのかどうかはわからないが、確実にその部分はとらえていて、それをあからさまではない方法、演劇として、「面白く」見せていくことができているのだ。

    「面白く見せている」というところは非常に大きなポイントだ。
    戯曲も演出も、もちろん役者さんたちもうまいのだ。

    男性の岩井さんが母親を演じているということで、観客の心の敷居が下がってくるということもあろう。
    また、「笑い」があり、それで気持ちがほぐれたり、救われたりするという面もあると思う。

    それらを絶妙なバランスで見せてくれる。

    ただし、すんなりと飲み込みやすい作品ではなく、飲み込みにくさが、笑えたり、泣かせたり、痛かったりするのだ。

    この作品では、父顔のDVが中心にあり、それを取り巻く家族の関係が描かれる。

    視点を変え、同じシーンを再度見せるという手法がうまく使われている。
    答え合わせであったり、別の「視点」であったり。

    この「別の視点」というのは、ひょっとしたら人間関係をうまく築くための、良いツールなのかもしれない。
    「人の身になって考えよう」なんて言うけれど、なかなかできない。
    だから「別の(他人の)視点」というのは大切だ。

    もちろんそれを啓蒙するための舞台ではないのだが、長い間「引きこもっていた体験」のある岩井さんが、外に出て、演劇に出会って気がついたことなのかもしれない。
    演劇は、「他人の気持ち」を想像できなければ、成り立たないので。
    岩井さんは、そうして引きこもりから脱出したのではないだろうか。

    「家族間のディスコミュニケーション」は、その度合いもさまざまだけど、多く存在しているのかもしれない。観客の多くは、胸に思いあたるところがあるから共感できるのかも。そのような状態は、「外にいる限定的な引きこもり状態」と言えるのではないだろうか(ちょっと強引か)。だから、そこから抜け出すには「別の(他人の)視点」が必要なのだろう。

    痛かったりして、泣けたりして、自分の家族のことを思う観客も多かったのではないだろうか。
    感じることがいろいろあって、考えることもいろいろあったりして。

    「視点」を変えることで、とてもイヤな感じの長男への見方が変わった(長男を演じた平原テツさんは、イヤな役を演じたら天下一品・笑)。
    つまり、シンプルなことだけど「話さなければわからない」ということが深く突き刺さった観客もいたのではないだろうか。

    「もっともっと話をしておけばよかったなぁ」と、あとから思うのが家族なのかもしれないのだが。

    劇中では「家族ではない人」が出てくる。
    とても親しいけれど、家族ではない。
    血がつながっていれば「家族」になるわけでもないし、血がつながっていなくても「家族」はあり得る。そんなことまでも感じさせてくれた。

    おばあちゃん(永井若葉さん)の優しい佇まいは染みた。
  • 満足度★★★★

    なるほど
    自分の状況とシンクロするところがあって、シンドイ部分もあったけど面白かった。同じセリフから受ける印象があんなにもがらりと変わることに驚いた。演出がお見事!

  • 満足度★★★★

    観に行ってよかった。
    秀逸。
    ていねい。
    なにより、岩井さんのお母さん。久しぶりに観れてよかった…!

  • 満足度★★★★★

    満足
    初演のみ未見。
    数箇所変更はあったけど、今回もハッピーでもバッドでもサッドでもない泣きながら笑っているベターエンド。
    デフォルメ家庭の芝居風なんだけど、リアル家庭劇。
    観終わった瞬間、充実さと切なさの飽和状態で、すぐには次の行動の動きがとれない。良い舞台見たなー。
    当分の間、リバーサイドホテルのイントロが聞こえたら涙腺が緩むと思う。
    6/4 アフタートーク部分をざっくり追記

    ネタバレBOX

    収録日で最終アフタートークの日、トーク部分が収録されるのかは不明。
    事前質問記入形式なのだが、あれもこれもと思い出しては書きたかったが、観劇の余韻であまり上手い事書けず、無念。
    自分が感じた疑問点の質問に、ちゃんと答えて下さったのでそこは満足。

    アフタートーク覚え書き ※( )内は私見です。
    ・劇中同様、一度、岩井家全員集まろうとしたが失敗
    ・劇中の真実度、岩井さんは80%、母は70%位と思っているので、間を取って75%で。
    ・現実の牧師は劇中の人物よりもっとひどかった、葬儀後の会食の場に正体不明の赤いボディコン姿の女性を連れて来たりしてた。その行動に一家ドン引き。
    ・お母さんの「森君」の件→ほぼ実話。同窓会の件は初演時の稽古でボツにしたが今回復活。
    ・鳥の糞のシステム→改良しました。
    ・ハイバイの稽古はメソッドあるのか、どうやっているのか→特になし。喋りを行動として捕らえて欲しかったり、再演を重ねると、役者も慣れてくるので台詞を変えてくれと説明している。
    ・終わりの棺のシーンの意味→〜アドリブなしの会話だが、終り方はどうでも良いと思っている、家族が協力しないのが良いと思うまま終らせた。

    ・現在の父や母、兄との関係→父は実家で仕事しているが、顔をあわす事はない。母と兄とは交流ある様子、以前舞台を見に来た母と兄の感想は「だいたいそう」と。戯曲化の際、母に、兄について話を聞いたら自分の思い描いていた兄のイメージとは違う一面を聞き「まずい、悪者に出来ない」と思って書き直した。結果、かなりいい人に盛ってしまった。母や兄が観劇した時は、兄に感想を聞きたくて役者や関係者が集まってきて、エラそーに話を喋っていたのを見たら、上から目線で答える姿にイラッときたのか、もう芝居を見にきて欲しくないと思ったとか。
    ・父の陽水歌うシーン→(岩井さんがそのまま歌ったりしてくれたのだが、説明するのがムズイのでパス。ほんのちょっとだったけど面白かった)
    ・ハナクソの件→(色々言っていたけど覚えているのはこの一言)燃やすとクサイ。
    ・岩井さんは誰ですか→次男です。

    ・前回のタイトルの名前と違うのは→中身は同じでも主に芸能人の方がやっていたので別物として変えた。芸能人が演じれば、芸能人がしてる芝居になる、知らない人がやればどこかの家族として見る事が出来るから。
    ・「て」というタイトル→単純にお父さん指、お母さん指と家族の象徴(イメージ?)に使われる。作業をする時も隣り合う指がソッポ向いたら何も出来ない、嫌いなのに近くにいるしかないのはツラいだろう、そんな思いでつけた。
    ・長女よしこが嫌なヤツに見えた→岩井さんはそんな事は思ってなかったらしく「そう?そんな事ないですよね?」と客席に問うも反対の反応。それが予想外だったようで、その解釈に「感心する」と何度か答えてた。
    ・笑いながら作ったのに泣いている人がいてビックリした
    ・父の狼藉について→初演の時もそうだったが、東京の観客は静かに(引いて?)観ていた。福岡の公演の時は大ウケだったので不思議に思ったらしく、アフタートークで尋ねたら「(ウチにも)居るから」という共感のウケ方だったらしい。笑って受け止められる耐性ができているのか、そういう父親に寛大な風土なのかな?と。
    ・母の通子さんについて、姉と話した。離婚したくてもしなかった、劇中の描写に大体当たっているとの返答だった。
    ・おなじみのドアノブ→劇団旗揚げの時から使っている。演劇関係者の方、どーぞ使って良いですよ!

    ・女性役を男性が演じる事について→自分が母親を演じる事や年齢を重ねた事でおばさんも出来るし、その方がリアルじゃないから見ている方もイメージを膨らませやすい、おばあちゃん役をおばあちゃんに近い年齢の人に演じさせるのは客席も心配してみる事になる、男の人がやった方が「おばあちゃん」と表現しやすい、とか。

    箇条書きの上覚え書きの為、正確ではありませんがこんな感じでした。
  • 満足度★★★★

    共感ありすぎ
    なので、笑ごとではありませんでしたが。
    色々と思う所もあり、観てよかったとは思ってます。
    岩井さんの感覚っていいですね。
    アフタートークも楽しく、舞台と違って気軽に楽しめた。
    ブログには感想よりトーク内容の方が多くなってしまった。

  • 満足度★★★★★

    おもしろかった
    序盤は正直なところ眠かったですが、歌で目が覚めそのあと面白くなり最後もよかったです。

    ネタバレBOX

    合唱のちょっと前からのくだりが、心象風景をそのまま描いたように感じられて花マルでした。こうゆうのを自然に入れるのっていいなあと思います。
  • 満足度★★★★★

    巧み。
    初見ですが、よくできてますね。視点の構成や感情のバランスなど、ほんとによくできてるなぁ、と。泣きと笑いのぐらぐら加減が絶妙だと思います。

    ネタバレBOX

    突然流れる場違いなリバーサイドホテルや、葬儀屋の兄ちゃんなど、合間合間に妙な笑いが入るけど、それが全体の切なさや哀しみに水をさすことはなく、視点を変えた2周目は、それさえもどこか切ないという構成は見事です。
  • 満足度★★★★★

    ざわざわ
    冒頭から終始、心がざわざわしていました。生きていてわかり合えないのは当たり前だと心でわかっていても、分かりあいたいと思うことがせつないだと感じさせる芝居でした。

  • まぬけさが忍ぶ切実さ
    前観た時は徹夜明けでほぼ寝てしまって
    いま 観たらすげかった
    ああこれがお芝居を観た、という
    のしかかる重みなんだな
    お芝居ってすごいんだな
    人を描くってすごいんだな
    鳥肌立ちまくった
    涙目なりまくった
    超上質なる緊張と緩和の追いかけっこ
    人ってそんなんだなあ

    ネタバレBOX

    ママは強い
  • 満足度★★★

    うーん
    私には響きませんでした。これは再再演ということなので
    当初はどうだったかわかりませんが、
    きっと2008年頃には最新だったのでしょう。
    20代の人が見るにはいいかも。

    シナリオの構造とか舞台の構造は面白かった。

  • 満足度★★★★★

    すんごい
    ラストが少し違っていました。
    迷ってるなら観たほうがいい!
    少しでも気になるなら観たほうがいい!
    絶対に観てほしい作品です!

  • 満足度★★★

    ネタばれ
    多少ネタばれ

    ネタバレBOX

    ハイバイの【て】を観劇。

    既に何度も再演しており、この劇団の代表作であり、人気がある芝居だ。
    僕も以前に観劇しており、その時はユースケ・サンタマリア、研ナオコなどが出演していたが、今作は曲者揃いの劇団員で構成されているので楽しみであった。

    家族の話。
    体調が悪いお婆ちゃんを励ますという名目で、離れ離れになっている家族が一同に会し、昔を取り戻そうと躍起になろうとするのだが、過去に起こった父親の家庭内暴力から発し、上手くいかなかった家族関係が更に爆発してしまう。
    大家族にありがちな家族と個人のアイディンティティー。まるで他人のように互いを罵り、罵倒してしまう血縁者。他人ならその場限りで済んでしまう事も、決して離れる事の出来ない血縁者同士の苦悩というのを徹底的に見せてくる。決してコメディーではないのだが、家族の苦しみというのを自分に置き換えて見ていくと、それが可笑しく、そして切なく感じられてしまうのが、この作品の傑作と言われている由縁であろう。
    ただこの作品は確かに面白く、世間では伝説の舞台だと言われているのだが、あまりにも内へ内へ向かって行っている辺りが非常に気になる点だ。これは単なる家族感の辛い話だけだな?で終わってしまい、外へ向かおうという視点がないのが欠点ではないかと思われる。その辺りが評価の分かれ目だと思う。
    そして今作が伝説になってしまうと、今後の小劇場界の未来が閉ざされていくような気がしてならない。

    間違いなくお勧めなのだが、観客の視点次第かな?とも思われる。


  • 満足度★★★★

    安定した舞台作り
    2008年の初演、2009年の再演、2011年のプロデュース公演を経て、劇団として再々演される。作・演出の岩井秀人の代表作と評されるだけの価値がある、安定した舞台だった。ほぼ実話に近い岩井の家族を描いたらしいのだが、同じ時間と空間を共有したはずの家族の間で、記憶や認識が食い違っていくのを、時間軸を何度も前後させながら巧みに描く。役者陣も手慣れたメンバーではあるが、それゆえに新しさよりも安定感が目立ってしまうというのは、贅沢な願いだろうか。しかし、面白く過ごさせてもらった時間だった。

  • 満足度★★★★★

    まったく何という芝居なんだろう
    おとうさん指とおかあさん指、おにいさん指、おねえさん指、そしてボク。
    アフタートークで岩井さんが語ったように
    5本の指が例えどれほど「こいつの隣はいやだ」と思っても
    どうしようもなくつながって、離れ難い「て」のような存在、それが家族だ。
    「て」を観るのはユースケ・サンタマリア出演のプロデュース公演を含めて3回目だが
    いつも笑いながら泣き、泣きながら笑ってしまう。

    ネタバレBOX

    舞台を挟んで向かい合うように客席が設けられており、
    中央には棺が置かれている。
    喪服のお母さん(岩井秀人)が出て来て前説。
    そしていつものように「では始めます」のひとことで
    おばあちゃん(永井若葉)の葬儀の場面から始まる。

    父(猪俣俊明)と母(岩井秀人)がおばあちゃんと暮らす家に
    久しぶりに子どもたちが集合するが
    父親からの壮絶な暴力を浴びて育った4人の子どもたちは
    顔を合わせれば早くも軋み始める。
    何を言っても無駄だと距離を置いて眺めるだけの長男(平原テツ)、
    父親も許せないが、そんな兄の態度も許せない次男(富川一人)、
    仲の良い家族として少しでも変化が起こればと今回企画した長女(佐久間麻由)、
    ひとり暴力を受けずに育った次女(上田遥)。

    彼らそれぞれの父親に対するこわばったような態度と
    それを受け止めながら間に入る母。
    認知症で孫がわかったりわからなかったりのおばあちゃん。

    傍若無人な父が「リバーサイドホテル」をひとりフルコーラスで熱唱する間
    子どもたちがわいわい話しながらビールを注ぎ合い
    盆か正月のようにごく普通の家族の図が繰り広げられる。
    この“父の好きな歌”をバックにした図が
    過去の壮絶な歴史を忘れさせるほど自然で、観ていて泣けてしまう。
    お母さんは部屋の外で号泣している。
    理想と現実の埋めようのない乖離が浮び上って素晴らしい。

    ここまでのストーリーは二度繰り返される。
    一度目は子どもの視点で、二度目はお母さんの視点で
    同じ台詞、同じ動きなのに微妙に違う。
    役者さんも180度回転して演じるので
    私たちはさっきの場面を反対側からも見ることになる。

    この視点を変えて二度見せる演出が、一つの出来事の二面性を鮮やかに見せて秀逸。
    「ハイバイドア」による空間の切り替えも上手い。
    そして何と言ってもお母さんのキャラが魅力的だ。
    岩井さんの実体験が元になっているこの話の中で、
    「母親を疑似体験したくてこの役をやってみようと思った」という
    もっとも思い入れのある大事なキャラクターである。
    男岩井が演じることで、その母性が際立つから不思議だ。
    強くて時に弱く、でもいつも温かいお母さんだ。

    “渦中の人は必死だが、それを傍から見ると時に滑稽である”という
    冷めた視点がベースにあって、その笑いが随所に光る。
    “笑えない状況”ほど“笑える”という皮肉が、
    葬儀屋やカラオケの場面で効いている。

    平原テツさん、最もひどい暴力を受けた長男の
    父親に対する距離の置き方が徹底していて素晴らしい。
    この長男がブレないので、次男と激しく対立する場面では
    観ていて心拍数が上がるほど緊張する。

    岩井さんのたぶん永遠のテーマで、繰り返し上演される作品だろうと思うが
    何度見てもボロ泣きしてしまう。
    子どもたちの視点で泣き、お母さんの視点で泣く。
    全く何という芝居なんだろうと思う。




  • 満足度★★★★★

    ツクリが違う
    傑作。面白い。

    ネタバレBOX

    父(猪股俊明)…不条理な暴力を振るってたけど、愛情なんだと言い切る。
    母(岩井秀人)…なんかお母さんだった。
    太郎(平原テツ)…長男。父に反応することとか、家族仲に対して無反応。おばあちゃん(菊枝)のことは好き。
    よしこ(佐久間麻由)…長女。家族の集まりに気合を入れてたけど、上手くいかず、自分もつまらなかったと嘆く。
    次郎(富川一人)…次男。認知なおばあちゃんにも優しく接する。長男とぶつかる。心底父の傍若無人さが許せない。
    かなこ(上田遥)…次女。バンドのギターボーカル。カラオケを強要され逃げだす。
    前田(高橋周平)…次郎の友人。カオスな飲み会にも参加し片付けもするいい人。
    和夫(奥田洋平)…よしこの夫。父の性質が気にならない、ツクリの違う人。
    牧師(小熊ヒデジ)…手紙読んだり歌うたったり。

    父の暴力で歪んだ家族が久々に集合し、飲んで歌ってケンカして、おばあちゃん死んで火葬してって話。

    人間が触れ合い摩擦が起こる、その空気が上手い。そしてその人間関係が「家族」だってとこが痛い。なんか熱くなる。みんな傷ついているのに、近づいては傷つき離れてを繰り返すサマが痛い。で熱い。
    それなのに、笑っちゃう不思議さが魅力。葬儀屋もいいトコついてたけど、「歌い手を殺す空気」ってとこは爆笑だった。ラストの家族みんなで棺を入れるシーンのコミカルさもいい。こんな感じで〆る手腕がいい。

    母が母してた。同窓会に参加せず、家族の飲みの向こうに楽しい姿をみる時の悲哀とか、父に孤独になって死ねって言うとことか。舞台構成の上手さとよく絡み合ってた。

    母だけってわけでなく、泣ける作品。
  • 満足度★★★★★

    わっわっぶじゅぶしゅ~
    観ること出来て本当に感激しました。あるよね、いるよね、こういう家族。っていうか自分に反映出来ちゃうよねぇ…。可笑しくて、哀しくて、…。もうもうボロボロ。それぞれの気持ちもわかる気がするし。とにかく「母」は強し!だ。でも「女」でもあるんだよね。もう、作品に心が踏みつぶされて空気の抜きながら飛ぶ風船の気持ちです。

    ネタバレBOX

    あの、「て」の音が頭から離れない。
  • 満足度★★★★★

    なんつーか
    こう、月並みな言い方になっちゃうけど、この芝居と出会えてよかった、って思った。

    岩井秀人作品は『ある女』と『ポンポン~』(と『スターウォーズのニセモノ』)だけしか観てなくて、「なんか独特の雰囲気のモン書く人なのね~」程度の認識だったのを今回反省。
    筆圧の高い、観ていてこんなにこころかき乱される、そんな素敵な作品を書く人だったのね・・・。

    ありがとうございました。

  • 満足度★★★★★

    ハイバイ「て」10周年記念全国ツアー
    初日拝見し、これまでにも何度も観てるのに号泣。お薦めお芝居を紹介するメルマガの号外を発行しました。東京の後に兵庫、三重、北九州、香川、札幌ツアーあり。東京、北九州以外は『て』初上陸です。お見逃しなく!

    ネタバレBOX

    次男と母親の視点から同じ時間を2度上演する仕掛け。舞台の向きが180度変わるのは、今回からの演出です。葬儀屋さんが変わって、下層の場面の演出も変わりました。爆笑。
  • 満足度★★★

    話をもっと動かして!
    作中で描かれる家族の特性を考えると仕方ない事なのかもしれませんが、
    話がやや膠着気味。話をもうひと展開、ふた展開させて、物語にうねりを与えて欲しかった。それでも、5年ほど前に観た企画公演に比べ役者の技能が大きく向上しており、その演技力に支えられた迫力ある見せ場も多々あり、引き込まれる事たびたびでした。笑いを欲しがってるシーンであまり笑えなかったのはお笑い好きな自分にとっては残念だったなぁ…。

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