おにぎり 公演情報 おにぎり」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.9
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    3セット6作品を観劇

    六つ子を産んだ親は、どの子も可愛いだろうけれど、
    それでも思い入れが違うはず。
    観た者の特権として、勝手に思い入れを抱かせていただき、『おかか』の『中間的、に於いて』について記す。


    作演出の #吉田康一 さんは冒険者であり、チャレンジャーで開拓者だ。
    かつて開演から20分も照明を当てず暗闇のまま、囁きを聴かせる作品を上演し聴衆の度肝を抜いた。
    演劇界に一石を投じ、物議を醸した。
    界隈で激震が走った。
    そして今回は一切言葉を発しない無言の作品を上演した。
    見せずに聴かせる作品から、聴かせず観させる作品を叩きつけてきた。
    狂ってる。(褒めてます)
    我が眼が声を聴く。
    光と影……
    視線と表情……
    動きと歩み……
    静寂と音……
    なんと雄弁に語りかけてくることか。
    終演しても終わらない。
    我が脳内でずっと語りかけてくる。

    人生で……
    社会で……
    世間で……
    彷徨い……
    佇み……
    座り込む。

    視線は泳ぎ……
    スレ違い……
    交わる一瞬に狼狽える。
    他者(ひと)のことが気になり
    他者(ひと)の視線が気になり
    前者には嫌悪が忍び
    後者には恐れが巣喰って
    いつも怯えている。
    それはまるで依存するネットというパラレルワールド。
    時折離脱しても、また戻ってしまう。
    果たしてこの世界とその世界には境界があるのか……無いのか。
    血が通う世界なのか。
    そもそも血の通う世界なんて存在するのか。
    人はいつだって、擦り寄ってくる孤独の恐怖と戦い拠り所を探している。
    倒れそうになる心を支えてくれる、
    キミの手をずっと探している。


    観られてよかった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    【こんぶ】観劇、面白い。
    新旧2作品×3公演 すべて観たが、その印象は 時々の時代背景を映しながら、人間を見つめ寄り添った優しい眼差しを描いているようだ。脚本の芯が おにぎりの具材だとすれば、その握り加減は演出であり役者の演技ではなかろうか。固く握ればシリアス調、緩く握ればコメディ調、そんな単純ではないだろうが…。勿論 その時 観る客の心境や状況によって印象が違うだろう。そう感じるのは、【おかか】で観た「背中を向ける」は、別公演で観たことがあるから。

    さて、今作の「うらなえないし」と「わたし、笑える」は都会暮らしの女性の淋しさ侘しさが じわっと伝わってくる。

    「うらなえないし」は、占い師(男)と客(女)の二人芝居。薄暗い中に「占い」と書かれた行灯が灯る。2人はミニ椅子に座り向き合っている。シンプルな舞台セットといい、何となく別役 実の舞台世界のような雰囲気だが、けっして不条理ではなく 仄々とした温かい空気が流れるよう。雨が降り出した地べたに 女性が突っ伏すように寝転び はしゃぎ出す。まるで青春映画のワンシーンを見るようだ。

    「わたし、笑える」は、当日配付したペーパーに「Antikame? でこのような演劇を扱うことは今後もないでしょう」とあり、幻の作品になってしまうのか?⇒それだったら惜しい。コロナ禍から急速に流行りだしたウーバーイーツ、人との接触を避け 利便性を求めた仕事だったと思う。今作では 人との出会いや縁がなく 繋がることが少ない独身女性の滑稽な思いをリアルに描いている。
    (上演時間1時間10分) 

    ネタバレBOX

    ●「うらなえないし」
    宇都宮のギョーザ会社に勤めている素人占い師。週末だけ占い師をやっており、以前 占った女性の鑑定評判が良かったことから、その女性がまた来た。占い師はノート(占いKNOW-HOW本?)と女性の手相を見比べ悪戦苦闘、占い始めて3時間になろうとしていた。女は彼氏に振られ淋しくヤケにもなっている。会話の間(ま)と洒脱な台詞が実によい。

    突然雨が降り出し、占い師は傘を差しだすが、女は地べたに突っ伏して転がる。青春映画などで雨の中で といった甘酸っぱいシーンを見たことがあるが、今作では戯れであり自暴自棄といった印象のシーン。小雨になり 女は男(占い師)を誘惑するような口ぶり。男に向かって結婚しているの? 男はしばらく無言…恋の駆け引きのようであるが、刹那的でもある。唐突に男は女をおんぶして歩き出すが、その行先は…。

    ●「わたし、笑える」
    独身女性がウーバーイーツを利用して、配達員(男)とちょっとした会話を楽しむ。好みの男性が届けてくれるのを心待ちにする。大人の女性が少女のようなトキめき。舞台は女性の部屋に見立て、配達員は オートロックを解除してもらい、周り(廊下)を回って女性の部屋の前、そのシンプルな動作の中に ありふれた日常が垣間見える。独身女性の友達は呆れているが、淋しさを紛らわすには必要、その便利=割切感が現代的だ。また健気で切実さがリアルに映る。

    当日配付ペーパーには「オーディションから起用した俳優さんに向けて、ヒトとの繋がり方の現代的な不気味さを描こうと」とある。人間関係の築き方は、(対面の)コミュニケーションが大切だと思うが、今はインターネット等を通じて非対面の交流も盛ん。コロナ禍が人との物理的な距離だけではなく、精神(心)的な隔たりも出来てしまったかのよう。その意味では不気味さ=無関心・不寛容といった疎外感が表れた物語。乾いた環境から潤いのある繋がりを求めて…。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「こんぶ」を観劇しました。
    静かな独特の雰囲気で、大人の舞台という感じでした。
    自分の理解力が足らず、分からない感がありましたが、2作品で約1時間、役者さん達の演技に惹き込まれました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    おにぎりという試みがおもしろいです。

    ネタバレBOX

    特異な雰囲気を醸し出す劇でした。役者との距離が近いので、多くも語らなくても、それ以上に伝わってくるものがありました。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    【おかか】観劇、面白い。
    ぼぼ素舞台、しかし作品によって異なる空間を演出する驚きと面白さ。「背中をむける」(2023) と「中間的、に於いて」(新作)は、その舞台となる場所(空間)と向き合う人の距離感が対照的、そして時代的なものが浮かび上がる。一周まわって主張する奥深さ!ーハザマと向き合う—とは何か?

    少しネタバレするが、「背中をむける」は大学教授と教え子の濃密(蜜)な会話を通して危険な関係が漂い始める。そして その教え子の妹が教授に向かって…。「中間的、に於いて」は街中もしくは駅のホームという大勢の人が行き交うが皆無言。ただ歩き 初対面の待ち人を捜しているよう。敢えて比べるとすれば、教授の部屋という或る密室空間、一方 街の中という開放的空間が巧みに立ち上がる。
    (上演時間1時間10分) 

    ネタバレBOX

    ●「背中をむける」(2023年)
    教授と教え子の ただならぬ関係を匂わす、そこに優越的な地位を利用したセクハラ問題があることは すぐ解る。しかし地位や立場を抜きにすれば、男と女、そして年齢の違いがあるだけ。2人の付かず離れずの言葉遊びのような会話が面白い。そして教え子の妹が現れ、教授を告発すると半ば脅しにかかる。教授と姉の熱い対話、一方 妹とは冷たい会話、同じ話し合いでも状況によって全然違う光景が見えてくる。

    「Sign of the times」の公演で観た時と全然違った印象、それは姉妹の関係による。今回は姉妹という関係があまり感じられなく、それぞれの女優が姉と妹を演じているよう。同じ物語でも演出と演者が違うと また違った味わいになる、そこに演劇の一期一会といった醍醐味を感じた。

    ●「中間的、に於いて」(新作)
    無言(劇)、それでもドラマは立ち上がる。音響によって街中の騒めきや駅ホームの放送案内が聞こえる。場所が重要なのではなく、そこに行き交う人々の(無)関係が絶妙に描かれていること。歩く人は誰を探しているか、待ち合わせているかのよう。スマホを手に持っており、人と繋がっているようで 実は孤独といった都会事情が透けて見えてくる。

    当日配付のペーパーには「抽象的、実験的な演劇で、思索を促すもの」とある。演劇は必ずしも視覚だけではなく、聴覚(例えば朗読劇など)に訴える表現もある。その意味では無言劇という表現もあり得る。映画でいえばサイレントムービーで、そこで映さ(描か)れる物語は、奇妙・奇抜であっても楽しめる。自分の中では、きわめて現代的な しかも大都会といった光景がリアルに描かれていた と思う。今、街には声が溢れている、しかしお互いの声は届いているのだろうか?実にシュールだ。
    次回「こんぶ」公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    うめ、こんぶ
    を鑑賞させていただきました!

    独特な世界観ですね。このような舞台は初めてでした。
    はまりそうです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    【うめ】観劇。
    2作品に共通しているのは、印象的な光と音の中で立ち上がる独特な世界観。対話する相手、それは同時に内省しているようでもある。勿論 脚本は面白い、同時にその物語を体現する役者の演技(表現)力が必要、それが存分に味わえる公演。

    舞台は 役者が脚本を咀嚼し、その物語を描き出す。観客は、孤独な板の上で 演じ伝える その姿に笑い泣きといった感情が揺さぶられる。本公演は滋味がギュと詰まった味わい深いもの。
    旧作「となりの不可不」(2012) は、自分の存在感・価値観といった分かり易い内容、その意味では一般向け。新作「ことばを、かける」は1人芝居で、存在もしくは内省の確認といった見巧者向け といった印象。敢えて分ける必要はないが、どちらも不思議な感覚、まさに<不在と向き合う>に相応しい芝居。

    舞台は対(二)面客席で、板の上には「となりの不可不」の時は椅子2脚、「ことばを、かける」は1脚だけ というシンプルなもの。「おにぎり」というシンプルな食べ物、その具材によって違った味わいになる といったタイトルそのものを表している公演。
    (上演時間1時間15分)

    ネタバレBOX

    ●「となりの不可不」(2012年)
    さつき〈夢追い人〉、さなえ〈現実主義者〉は同居人。さつきは幽霊の彼が見え 会話をする。仕事を辞め、いつも幽霊相手に愛情の確認を求める。さなえ には、見えない相手にブツブツ独り言を言っている同居人を心配するが…。

    将来より今が大切と言い切る さつき、一方 将来に備えて我慢して今の仕事や暮らしをしている。誰もが自分の好きな遣り甲斐のある仕事が出来るわけではない。むしろ仕方なくといった諦めの中で仕事をしていると現実を説く。

    さつき も以前はキャリアを積んでいたが、彼が亡くなって初めて大事なことを知る。その取り戻せない時間、それを幽霊になった彼との語らいで癒しているよう。2人の会話を通して、とても分かりやすい人生観が描かれる。

    ●「ことばを、かける」(新作)
    丸尾聡さんの一人芝居。当日配布のペーパーには、この話はアテ書きであり、その演技(表現)力あってのものだと。たしかに椅子の配置を変えながら、不思議な世界へ誘う。

    それは存在と不在、またはコインの裏表のように当たり前にあるが交わらない不思議さ。それを人間(自分)の生/死に当てはめて考えてみる。1人の人間の生と死は併存しない、自分は今 生きている、いや 死んだのは自分なのか その判然としない不気味さが立ち上がる。

    自分が死んだという仮定を通して、自分の存在を俯瞰してみる。その内省のようなものが垣間見える面白さ。
    他の「おかか」「こんぶ」の公演も楽しみにしております。

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