おにぎり 公演情報 Antikame?「おにぎり」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    【こんぶ】観劇、面白い。
    新旧2作品×3公演 すべて観たが、その印象は 時々の時代背景を映しながら、人間を見つめ寄り添った優しい眼差しを描いているようだ。脚本の芯が おにぎりの具材だとすれば、その握り加減は演出であり役者の演技ではなかろうか。固く握ればシリアス調、緩く握ればコメディ調、そんな単純ではないだろうが…。勿論 その時 観る客の心境や状況によって印象が違うだろう。そう感じるのは、【おかか】で観た「背中を向ける」は、別公演で観たことがあるから。

    さて、今作の「うらなえないし」と「わたし、笑える」は都会暮らしの女性の淋しさ侘しさが じわっと伝わってくる。

    「うらなえないし」は、占い師(男)と客(女)の二人芝居。薄暗い中に「占い」と書かれた行灯が灯る。2人はミニ椅子に座り向き合っている。シンプルな舞台セットといい、何となく別役 実の舞台世界のような雰囲気だが、けっして不条理ではなく 仄々とした温かい空気が流れるよう。雨が降り出した地べたに 女性が突っ伏すように寝転び はしゃぎ出す。まるで青春映画のワンシーンを見るようだ。

    「わたし、笑える」は、当日配付したペーパーに「Antikame? でこのような演劇を扱うことは今後もないでしょう」とあり、幻の作品になってしまうのか?⇒それだったら惜しい。コロナ禍から急速に流行りだしたウーバーイーツ、人との接触を避け 利便性を求めた仕事だったと思う。今作では 人との出会いや縁がなく 繋がることが少ない独身女性の滑稽な思いをリアルに描いている。
    (上演時間1時間10分) 

    ネタバレBOX

    ●「うらなえないし」
    宇都宮のギョーザ会社に勤めている素人占い師。週末だけ占い師をやっており、以前 占った女性の鑑定評判が良かったことから、その女性がまた来た。占い師はノート(占いKNOW-HOW本?)と女性の手相を見比べ悪戦苦闘、占い始めて3時間になろうとしていた。女は彼氏に振られ淋しくヤケにもなっている。会話の間(ま)と洒脱な台詞が実によい。

    突然雨が降り出し、占い師は傘を差しだすが、女は地べたに突っ伏して転がる。青春映画などで雨の中で といった甘酸っぱいシーンを見たことがあるが、今作では戯れであり自暴自棄といった印象のシーン。小雨になり 女は男(占い師)を誘惑するような口ぶり。男に向かって結婚しているの? 男はしばらく無言…恋の駆け引きのようであるが、刹那的でもある。唐突に男は女をおんぶして歩き出すが、その行先は…。

    ●「わたし、笑える」
    独身女性がウーバーイーツを利用して、配達員(男)とちょっとした会話を楽しむ。好みの男性が届けてくれるのを心待ちにする。大人の女性が少女のようなトキめき。舞台は女性の部屋に見立て、配達員は オートロックを解除してもらい、周り(廊下)を回って女性の部屋の前、そのシンプルな動作の中に ありふれた日常が垣間見える。独身女性の友達は呆れているが、淋しさを紛らわすには必要、その便利=割切感が現代的だ。また健気で切実さがリアルに映る。

    当日配付ペーパーには「オーディションから起用した俳優さんに向けて、ヒトとの繋がり方の現代的な不気味さを描こうと」とある。人間関係の築き方は、(対面の)コミュニケーションが大切だと思うが、今はインターネット等を通じて非対面の交流も盛ん。コロナ禍が人との物理的な距離だけではなく、精神(心)的な隔たりも出来てしまったかのよう。その意味では不気味さ=無関心・不寛容といった疎外感が表れた物語。乾いた環境から潤いのある繋がりを求めて…。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/04/26 06:15

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