おにぎり 公演情報 Antikame?「おにぎり」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    【うめ】観劇。
    2作品に共通しているのは、印象的な光と音の中で立ち上がる独特な世界観。対話する相手、それは同時に内省しているようでもある。勿論 脚本は面白い、同時にその物語を体現する役者の演技(表現)力が必要、それが存分に味わえる公演。

    舞台は 役者が脚本を咀嚼し、その物語を描き出す。観客は、孤独な板の上で 演じ伝える その姿に笑い泣きといった感情が揺さぶられる。本公演は滋味がギュと詰まった味わい深いもの。
    旧作「となりの不可不」(2012) は、自分の存在感・価値観といった分かり易い内容、その意味では一般向け。新作「ことばを、かける」は1人芝居で、存在もしくは内省の確認といった見巧者向け といった印象。敢えて分ける必要はないが、どちらも不思議な感覚、まさに<不在と向き合う>に相応しい芝居。

    舞台は対(二)面客席で、板の上には「となりの不可不」の時は椅子2脚、「ことばを、かける」は1脚だけ というシンプルなもの。「おにぎり」というシンプルな食べ物、その具材によって違った味わいになる といったタイトルそのものを表している公演。
    (上演時間1時間15分)

    ネタバレBOX

    ●「となりの不可不」(2012年)
    さつき〈夢追い人〉、さなえ〈現実主義者〉は同居人。さつきは幽霊の彼が見え 会話をする。仕事を辞め、いつも幽霊相手に愛情の確認を求める。さなえ には、見えない相手にブツブツ独り言を言っている同居人を心配するが…。

    将来より今が大切と言い切る さつき、一方 将来に備えて我慢して今の仕事や暮らしをしている。誰もが自分の好きな遣り甲斐のある仕事が出来るわけではない。むしろ仕方なくといった諦めの中で仕事をしていると現実を説く。

    さつき も以前はキャリアを積んでいたが、彼が亡くなって初めて大事なことを知る。その取り戻せない時間、それを幽霊になった彼との語らいで癒しているよう。2人の会話を通して、とても分かりやすい人生観が描かれる。

    ●「ことばを、かける」(新作)
    丸尾聡さんの一人芝居。当日配布のペーパーには、この話はアテ書きであり、その演技(表現)力あってのものだと。たしかに椅子の配置を変えながら、不思議な世界へ誘う。

    それは存在と不在、またはコインの裏表のように当たり前にあるが交わらない不思議さ。それを人間(自分)の生/死に当てはめて考えてみる。1人の人間の生と死は併存しない、自分は今 生きている、いや 死んだのは自分なのか その判然としない不気味さが立ち上がる。

    自分が死んだという仮定を通して、自分の存在を俯瞰してみる。その内省のようなものが垣間見える面白さ。
    他の「おかか」「こんぶ」の公演も楽しみにしております。

    0

    2026/04/23 05:37

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大