われらの血がしょうたい 公演情報 われらの血がしょうたい」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-4件 / 4件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2026/02/26 (木) 14:00

    範宙遊泳『われらの血がしょうたい』(作/映像 山本卓卓、演出/音楽 額田大志)

    この内容を 11年前にお書きになられたことへの驚き。この内容の戯曲に沿う演出、音楽を組み合わせ上演作品に仕立てる額田大志さん、戯曲との親和性。額田さんを起用された山本卓卓さんの慧眼。

    好みの演技をされる井神沙恵さんと端 栞里さんのお二人が出演。井神さんの変幻さ、端 栞里さんの熱量と表現の細やかさと変化、堪能させてもらえました。

    あの舞台手前の吊るした枠組みの潔さ、更に手前の床の枠組みの意匠、そして奥のスクリーンを使った演出(出捌け口も含め)、舞台の隅から隅までを使って/使えて、その辺りも凄く良かった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「人工知能が抱える孤独」


     山本卓卓が作・演出した2015年の作品をの再演である。今回は演出を額田大志が担当し、一部出演者を入れ替えての上演となった。

    ネタバレBOX

     開演すると舞台上のスクリーンに断片的に「は」「る」「春」「よ」「夜」「女」などと文字が映し出され、やがて「『春の夜』『女性』『失踪』クリック」と投射される。おそらくコンピュータの学習とインターネットのキーワード検索を可視化したのかと見当をつけながら観続けていくうち、「われらの血がしょうたい」というSNS投稿を残して61歳の女性が失踪した事実が観客に知らされる。やがてバッハの無伴奏チェロソナタの旋律にのって現れた二人(植田崇幸、端栞里)は、なにかに操られるかのような不自由な動きを見せる。二人とも失踪した女性にゆかりのある人物だが行方は知らず、なにかに突き飛ばされるようにして舞台奥へと消えてしまう。そのあと投射された字幕から、この失踪した女性が人工知能「ザマ」に変化したことが示唆される。
     
     以降はザマが存在する世界のある場所で起こる様々な出来事を、5名の俳優が何役か演じ分けながら劇が進行していく。お手伝い(井神沙恵)に言い寄るうさんくさそうな若社長(福原冠)の成功と没落、新居を探す若夫婦(植田崇幸、端栞里)の行く末、浮ついた若い警護たち(植田崇幸、埜本幸良)が不審人物(福原冠)にからむ様……ザマに問いかければ今日の天気や株価がわかり、電源のオンオフからひとりのときの話し相手まで担ってくれて便利である。こうしてザマは長い時間、同じ場所で起こる出来事をかわいた感覚で見つめ続けている。やがてこの場所が解体されると、なんとザマは「4分の0」という擬人化されたもの(端栞里)として姿を表す。当初あきらかに機械的に聞こえた「4分の0」の語りは、やがてとめどない絶叫となって人間たちを圧倒するのだった。

     失踪した人物が時間や存在を超越した人工知能になり、時間と存在に固定されている人間の世界に介在し続ける本作を観ていると、常日頃の悲喜こもごもに一喜一憂することがバカバカしく見えて面白い。同時にかわききった視座で人間界に影響をもたらすさまが、まるで己を作り上げた人間たちを凌辱するかのようにも見えて空恐ろしさを覚えた。そして後半に「4分の0」が吐露し続ける叫びは、人工知能のかわきに隠された圧倒的な孤独のように感じられたのである。情報技術が知能の延長であるならば、コンピュータのバグは寂しさや欠落といった人間の感情に由来するのでは、という本作の視座に私は深く思いを馳せることになった。

     多彩な出演者たちの演じ分けはどれも見応えがあったが、特に冒頭で滑らかな動きを見せ、ところどころ情けない男性を演じた植田崇幸、「4分の0」の胸の内をこれでもかと連呼した端栞里が印象深い。ただ作品の構造上是非もないが、演技合戦を堪能するというよりは作品を構成するパーツのように見えてしまった点がやや残念である。

     三面スクリーンに投射された文字やビジュアルに必要以上に雄弁でない音楽、そして蛍光灯を埋め込んだ木枠のセットを使った硬質な空間づくりも作品に多いに貢献していた。私が観たのが最前列だったからか、舞台上下(かみしも)が特にガラガラに感じられたところがあったため、もう少し小さい空間で観たかった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    10年越しに観ても怪作(褒め)!

    ネタバレBOX

    映画「2001年宇宙の旅」のマザーコンピューターHAL9000はAIの反乱の象徴になっているが、本作のお手伝いAIことザマは、記憶媒体・再生装置としてのIoT (Internet of Things:モノのインターネット)でありながら、残留思念を引き継ぐ地縛霊と化していく…みたいなことを10年前も紐付けて妄想しながら観た。

    10年経った現在、この作品を眺めてみると、あの家とザマは変わらないまま劇場に鎮座していたが、外では現実のディストピア感が加速していて、劇世界が理想郷にすら思えてくるのが面白い。

    膨大なデータ学習と優秀なアルゴリズムによって、より人間らしくアップデートされ進化していく人工知能と、相反するように抑制されてバグを生んでいく人間。
    時空が歪み、内部だった劇場ごと裏返って外宇宙の彼方へ連れていかれる感覚。
    たどり着いた先で私たちは母なる存在に遭遇できたんだろうか。

    みたいなことを妄想しながら観るのもよし!いろんな捉え方が生まれる演劇。

    キャスト陣、新演出によるリクリエーション、スタッフワーク、シアタートラムという空間もバキバキにカッコよかった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    鑑賞日2026/02/22 (日) 14:00

    110分。休憩なし。

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