月の剥がれる 公演情報 月の剥がれる」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
21-40件 / 42件中
  • 満足度★★★

    詩的な世界
    舞台セットの美しさ、衣装の可愛さ、群舞の表現力に見入った。
    人間の根本的な喜怒哀楽が見て取れたけど、話の構造や人物の動かし方など、かつてのひょっとこ乱舞とあまり変化ないような気も。
    休憩込みの約140分、少し長く感じた。

  • 満足度★★★★

    生きろ
    観終わって、一番頭に浮かんだのは、
    「生きろ」っていう、『もののけ姫』のキャッチコピー。

    ストーリーに派手さ、ドラマチックさ、あるいは盛り上がり
    みたいなものは薄いが、その分、
    劇場を出て、色々とああでもない、こうでもないと考えてしまう。
    それは、とてもとても良い作品だった証んんだと思うのである。

    ネタバレBOX

    話の構造としては、主に二つの時空が描かれるわけで。

    「散華(サンゲ)」という組織の活動を通して描かれる世界Aと、
    「怒り」を放棄した人間が暮らす世界B。

    おそらくBは、Aの未来であり、「散華」の事は、モノーガタリとして語り継がれている。いろんな事があった結果、私達は「怒り」を放棄したんだよ。
    その大きなきっかけは「散華」なんだよ。
    ってな具合。
    それを学校で語り聞かせる教師と、色々考える生徒たち。

    この学校でのモノーガタリから、「散華」が活動していた時代に、また学校に、
    と物語の時空はシフトしていく。

    で、さっきから何度も書いてる「散華」ってのが、
    「自国の軍隊が人を殺したらば、その数と同じだけの散華メンバーは自決しましょう」
    という理念を基に、世の争いを撲滅しようとしているわけ。
    「銃口の先に自分の家族がいると思えば、引き金を引けない」と。
    なるほどねー、と思う反面、
    引き金引かなかったら、相手に引き金引かれちゃうよ、とも思うが。
    この「散華」ってのが、わりとグローバルに活動してるっぽいので、そんな心配もいらないのかしら。

    命の抑止力、とも云うべきこの集団。
    賛否はもちろん出て来て、「散華」の解散を求めるために命張っちゃう人なんかも出て来て。
    こうなると、もう、どこまで言っても止まらない。

    この「散華」の話と「学校」の話が、いろいろ織り交ざる構成が上手い。
    そして、誰の、何が正しい!という答えが描かれないのが、また良い。

    こういう事がありました。
    こういう事になりました。

    そこで何かを考えなくちゃならないのは、私たちなんであるから、
    戯曲の中で曖昧にぼかされている部分は、観客が持ち帰れば良いと思う。

    私個人としては、
    「まだ生んでもらってないよー」的な台詞が一番響いた。
    「学校」サイドにやってきた転校生が、どうも不思議な存在感だったのは、
    ここに繋がるのかしら。

    自決したり色々ある中で、
    生まれてくるはずだった命の視点から見ると、そういう行為はどのように映るのかしらん。
    「生きてる」ものより「死んだ」ものの方が強い、とはいえ、やっぱり「生きる」が大事なのよね、と。
    劇中に度々、赤ん坊のイメージが散りばめられていたり、
    原生林を思わせる冒頭だったり、
    もう、私の頭の中が「生きろ」といったら『もののけ姫』みたいになってた事もあり、
    装置がどうにも屋久杉に見えてしまったりと、大分偏った思考になってしまったが、
    とにかく、『月の剥がれる』からは、
    死のイメージよりもむしろ、豊穣な生のイメージが感じられた。

    そんな中、引っかかるのは、
    「怒り」を永久に放棄した国の生徒たちの姿。
    「燃えてるねー」みたいな台詞が何度かあったが、
    あの台詞が、尋常ならざる事態を前に出ている台詞だとしたら、
    とても怖い。

    どっちがいいとかじゃないが、「怒り」ってのは、自然な感情なんだな、と。


    こんなに長々と色々書いた上で、結局何もまとまらないのであるが、
    この舞台を通して、色々考えさせられた、という事実は、プライスレス。

    観て、単純に感動して、涙流してスッキリ!
    みたいな作品ではないが、こういう物がもっともっと増えていくといいなぁ。
    劇場出て、景色が少し違って見えるような。
  • 満足度★★★★

    じわじわ
    じわじわくる作品。

    お話自体は、(照明の影響もあるが)少し薄気味悪い印象も持つ。
    でも、なんだが不思議な時間が流れていく。

    個人的には、役者さんの舞台上での「出入り」がとても自然で、かつ、それぞれの人物が違う感覚を伝えてくれる。
    だからそれぞれのシーンを観入ってしまうし、印象が残りやすい。

    終わり方もいいから、余韻がすばらしい。

  • 満足度★★★★

    初アマヤドリ
    ひょっとこ乱舞時代から非常にみたくて、気になっていた劇団。
    念願の座・高円寺でした。。
    生きていることの祝祭のようだった最後の群舞がとっても印象的。
    内容については、多人数で、ストーリーを追うことにあっぷあっぷになるんじゃないかと不安だったのだが、大きな枠構造がしっかりあったので、そこまで苦ではなかった。
    演劇ならではのエネルギーを味わえたエンタメで、非常に楽しめました!
    ダルカラの谷さんとのポストパフォーマンストークも面白く、2時間強を感じさせないお芝居でした。

  • 満足度★★★★

    抽象的なセットとダンス
    ダンスやステージセット、オシャレな衣装等によって思い切って抽象化した部分があったからこそ、現在、過去、未来、学校、家庭、戦争、平和、宗教、憲法など、さまざまなものに汎用がきく作品になっていたとも思います。

    こういう性質の作品の時にはアフタートークやQ&Aセッションが理解の助けになりますね。

  • 満足度★★

    初めまして、アマヤドリ
    ひょっとこ乱舞時代も全く知らず
    本当に初めましての劇団。

    舞台美術からワクワクしたし音楽も私好み。
    フライヤー見ると悪い芝居の太郎さん?そうか、だからかっこいいのか。

    あぁ・・・。
    でも。
    物語は全然私の心には入ってこず・・・

    何なんだろう。
    自分の中の感情の波が全然動かなかった。





    ネタバレBOX

    群舞がひょっとこ時代からのこちらの特徴なんですかね?

    それがちょっと劇部分とうまく結ばれてない感じがした。
    大所帯のそれは見ていて迫力あったけど。
    群舞の時の大人数は圧巻でも
    この劇であの人数は必要ないのかなとも思う。

    ある程度中心人物が居て・・・っていうのが入りやすいと思うのだけど
    それが分散してしまってて感情移入しにくいのか?とも思ったり。

    散華の自害のきまりごとで
    私は先日の小学生の男の子が学校統廃合を反対するためにってのを思い出した。
    アフタートークで言ってらっしゃいましたが
    チベットの僧たちの自害での訴えからだったらしいが。

    そういうのを聞くとそこからその思いがどういう方向に行くのかというのを
    答えが無くとも演劇で観たかったのだけど・・・
    怒りを無くすってのがその答えか・・・

    観劇後の言葉で「何が言いたいかわからない」ってのは絶対言いたくない言葉なのだけど
    その言葉を言いそうになる。


    自分の感想もとっちらかってくるほどに(笑)
    全然入ってこなかった。





  • 満足度★★★★★


    圧倒される 場面もあり

    ネタバレBOX

    昼の月は白くて 私は好きですのよ 
    とか
    思いながら
    自分の意志で選んだ道なのですか それが 

    も、
    思いながら
    流されたり 抗ったり する
    人や そんな 想いの 行く先が
    悲しくて と
    思いました。

    照明が明るくない 場面が 多く
    明るい場面は 引き立ちますが、
    照明が明るい場面も もっと 観ていたいと 思いました きれいだったから。

    また
    観たいと 思い 観に行けるように したいなと 思います
    その時には どう感じられるか 楽しみですが
    行けるのか 私は
  • 満足度★★★★

    なんだろう
    面白かったし、面白くなかったし、かなりグワッと掴まれたし、全然ピンとこなかった。
    好きか嫌いかで言ったら、断然好き、だと思う。

    普遍的で新鮮な「絶望」、と「いのり」が舞台に満ちる美しいラストシーンに、強く胸が締め付けられた。

    2時間15分の長さは全く感じず、この語り口でならあと1時間くらい余裕だったし、その分ちゃんと「決定的な大事件」の辺りとか、各キャラクターのターニングポイント的なものとか、諸々いろいろ書きこんで来てほしかったなあ、と。

    今回の脚本、ひょっとこ乱舞大爆破公演の『うれしい悲鳴』でもそうだったけど、ひとつの作品にとんでもない「圧」を持った流れがいろんなベクトルで存在しちゃってて、作家がそれを作品内で処理し切れてない、って感じ。
    つまりイコールそれは「失敗作」ってことになっちゃうんだろうけど、でもそういうギリギリなラインでの「賭け」「勝負」があるようなところにこそ、圧倒的な「なにか」が生まれうる、そんな可能性があるんじゃないかとも思う。

    そんなある意味でとっちらかった(?)脚本を一つの作品として舞台上で成立させた、演出、役者陣はさすがだなあ。

    この劇団、次回公演はまたどう来るか、楽しみ。
     
     
     
    ・・・そういえば。
    毎度使用する音楽にセンスが光るひょっとこ乱舞→アマヤドリ、この作品でもエンディングで流れていたプログレッシブロック調の音楽がとても印象に残った。
    オリジナルなのか、既存の曲なのか、既存の曲なら誰のなんという曲なのか、誰かご存知でしたら教えていただけると嬉しいです。

    ネタバレBOX

    のっけの「目が覚めて“おはよう”が“kill you”になっていたら」(うろ覚え)って台詞の切り口とか、あんな素敵なモノローグ、広田淳一にしか書けないよなあ。
  • 満足度★★★★

    まあビックリ
    すっごい提案、宣言でした。

    ネタバレBOX

    好みの問題だからしょうがありませんが、せめてウォーミングアップ的な群舞だけは止めてほしいと思いました。ウォーミングアップは始まる前に済ませておけよって感じです。

    戦争による殺人に反対するため、自国の軍隊が殺した数だけ自殺する組織「散華」、すごい発想です。終いには原爆を落としたため、散華の会員では足りません。全員死んで解散です。なんのこっちゃ、大笑いです。散華の勧誘の仕方とか、幹部が最後の総動員で死ぬまで生き延びていたという不自然さに、新興宗教の臭いがして気色悪かったです。

    さて、こうした一連の騒動を受けて総括して、日本の若者が主導して決定した宣言が、武力による解決はしないどころではない、自殺を禁じ、怒りの感情も禁止するというものでした。

    憲法改正に活かしてほしいですね。
  • 満足度★★★★

    好きなんです
    装置の美しさ、力強いけれど繊細な群舞の素晴らしい表現力。前回王子で観せて頂いて、どんな変化を遂げるのか楽しみで、今回の公演が待ち遠しくって、その期待を裏切らないオープニング!ありがとうアマヤドリ!!

    ネタバレBOX

    なんだけど、んんん群舞の饒舌さに比べて会話が薄く感じてしまいました。いや、引っかかる台詞はあるんです、想いが溢れてるんです。でも言葉が多すぎたのか、表現の仕方なのか、私はちょっと緩んじゃった処がありました、2時間半になってるとは思わなかったですけどね。公演中にも日々変わって行くんだろうなと、で、もう1回観に来たいなって思ってしまいました。
    まだまだ進化していくであろうアマヤドリを今後も見守って行きたい!そう思わせて下さった舞台でした!
  • 満足度★★★

    「正しさ」を巡る群像劇
    戦争反対の活動をする人々の物語を通じて、人殺しや幸せといった道徳的なテーマを描いた作品で、単純に戦争反対を訴えるだけではない奥の深さがあって魅力的でした。

    自己犠牲的な抗議方法で戦争に反対する「散華」と名乗る集団の成り行きと、その後の時代に学校の授業で彼らの方法論について討論する模様が交互に描かれ、正しさとは一体何に基づくのかを考えさせられる内容でした。
    平和を得る為に用いている手段が、平和を脅かす物と概念的に同じであることを、ある有名な文章のパスティーシュによって示すシーンに不思議な情感があって、強く印象に残りました。
    「散華」という言葉の選択や、輪廻を思わせる冒頭と最後のシーン等、仏教的世界観を感じました。

    興味深い内容でしたが、演出が内容に合っていないと感じることがあり、勿体なく思いました。
    衣装や演技スタイルがシリアスな内容に対してファンシー過ぎて、違和感を覚えました。
    ひょっとこ乱舞名義時代からの特徴である、ふんだんに盛り込まれた群舞の軽やかなステップや倒れ込むような動きが印象的でしたが、今回はダンスシーンがドラマの流れを停滞させてしまっているように感じられました。
    欠けた月をモチーフにした舞台美術が美しかったです。

  • 今そこにある舞台。
    ネタバレに書いてます!

    バレてません!

    ネタバレBOX

    組織は、内側から壊れていく。

    『散花』と書き『さんげ』と読む反戦平和団体は、自国の軍隊が他国で人を撃った場合、同じ数のメンバーが自決することを謳っている。そこでいう人には、軍人と非戦闘員の差はない。

    発足者はTwitterを使い思想を広め、共鳴する人々が組織を造った。中心となる幹部は、バリバリの元証券マン。この物語は、金融危機以後の世界なのかもしれない。

    ある日、反戦平和団体『散花』に、指揮命令を担う一軍人が加入した。動機は、組織から渡された、弟のメッセージであった。国を守る軍人の規範であった その男が、反戦平和組織に没頭することを考え出した。


    しかし、弟のメッセージであるはずの文書は、実は組織の幹部による作文でしかない。それなのに、軍人は心を震わせ、軍服を脱いだ。このシーンに戸惑いを受けた観客もいたことだろう。軍人は好戦的ではなく、平和を第一目的とする人種だとは知らないからだ。
    元外務省国際情報局長の孫崎淳氏によると、防衛大の過半数の教授は、政治的にはハト派らしい。かつて、防衛大・教授会のトップに、ベストセラー『戦後史の正体』著者であり、普天間飛行場の辺野古移転問題でプレーンとして反対方針を支えた孫崎淳氏が選出されている。

    だから、あの心を震わせるシーンは、間違いではない。幻想的な照明、静かに歩む軍人の姿が 重みのある舞台を演出する。


    言葉は、誰が記したかを証明できない。大臣クラスの政治家のスピーチは、ほとんどを専門のライターが考える。

    言葉は、証明できない。こぼれ落ちた、身体性に人は目を向ける。
    『アマヤドリ』は、踊る。役者が独り、語り出すシーンでは、それ以外全員が統率の取れた現代舞踏を繰り広げた。

    物語を操っていたのは、先に紹介した元証券マン。「組織は敵がいると、強固になる。だから内側から蝕んでいく」。彼は、組織の破壊を企んでいた。

    元証券マンの反戦を訴える言葉にも、熱い心情は感じられない。ビジネスライクといったところか。組織メンバーが集う会議、交わされる言葉は幹部からの一方通行だった。大勢のメンバーもビジネスライクで通していたのだろう。


    彼らを動かす操り人形は、グローバル化だと思う。世界を一つと捉えるグローバリゼーション…。「軍隊が銃撃、一般人に被害」と流れるニューステロップが、行為の発端だ。そして、インターネットが世の中へ伝える手段となる。扮装のニュースは操作される国際政治の常識などお構いなしに。



    舞台は、『散花』と未来の学校それぞれの二部構成となっている。
    未来の教室で、『散花』に関する会議が開かれた。交わされる言葉は多種多様だった。大勢の生徒は、自分の意見を持ち、イキイキとしている。
    ずいぶん対象的である。

    未来の教室から覗いた過去は、つまり今この時だった。
    現実の政治に対するアンチテーゼか、反戦平和組織を経由したグローバリゼーションに対するアンチテーゼか。
    ポリティカルな舞台は、劇場を飛び出し、社会へと作用する。









  • 満足度★★

    月の形
    月を見上げて必ずしも綺麗と思うばかりでなく、満月に恐さを感じることも、ふと不安を感じることもあります。

    どこかで見た内容だなと思い、ネット上の言葉が多用されているので深みを感じられず、2時間20分が長かったです。

    ただ、セットが雰囲気を醸し出していて、とても好みでした。
    また役者さん達の群舞の熱量が凄かったです。

    ネタバレBOX

    「怒りを捨てることで人間らしさを失ってもいい」
    これにとても違和感を感じました。
    生命が生まれる喜び・奪われる怒り・尽きる哀しみ・育つ楽しみ。
    人間が人間らしい、喜怒哀楽揃っている姿を自分は望んでいるので、舞台でもそういった傾向にある内容の方が好きです。

    本当に主観的な感想になりますが、脚本家自身の怒りが舞台上では正しさに変わってたように思います。
  • 満足度★★★★

    何度も味わいたい
    キャストさんの人数が多くその分見たいけど見きれない部分もあったのでまた観たいと思わされる作品でした。
    期待して行ったのですが、それをはるかに超えるスケールの物語でうれしい誤算でした。テーマについて自分の意見はこうだなぁと参加しながら観ていました。
    終演後のポストトークまで堪能しました。せっかく解釈のヒントをいただいたので、感じるだけでなく考えてみたいと思います。
    人物関係図が関連フライヤーの置き場にあることを知らずに観てしまったのですが家に帰って復習したいと思います。

  • 満足度★★★★★

    初日に観劇
    広田淳一の得意とする群舞は出演者が多いこともあってかなりの見応えがあった。洗練された美術、世界観、どれをとっても文句無し。

  • 満足度★★★

    統率
    劇場に入って、ステージの美しさに目を奪われた。廃木を連ねた無言存在
    のオブジェ。ステージ3分の2くらいに広がった白い輪。期待度はここでしっかり上がったのだか・・・昔こういうタイプ、よく観たよねという感じで・・・統率の取れた動きは美しいが、個々が没個性に感じられて、どうにも合わなかった。

  • 満足度★★★★★

    アマヤドリ
    夢中になりました(・ω・o)!
    久しぶりの群舞も^^
    なにかをつづけていくっていうことは大変なことです。
    舞台とてもきれい!

  • 満足度★★★

    薄暗い
    幕開け間もないので、以下ネタバレにて。

    ネタバレBOX

    一番気になったのは、照明。
    こちらは演出なのだろうけれど、題名も「月の剥がれる」とあるだけに、月夜なのか、月光の下なのか、仄暗い、薄暗い。
    常に役者の顔が観づらい。
    これは非常にストレスがたまる。

    上演時間が2時間22分もあって、申し訳ないが物凄ーく長く感じた。
    もう4時間くらいずっと座らされた感じ。

    舞台空間はある一定の世界を創り出しているように、見せかけて、実は中身の無い薄っぺらいものだった。
    その薄っぺらい理由を考えたが、これも演出なのかなんなのか分からないが、役者のセリフが、現代の若者を描いているのか、セリフの語尾を伸ばし、早口でまくし立てて、一見上手く言っている様に聞こえるのだが、一辺倒で、ちっともこちらに届いてこない。
    死ぬことや生きること、メッセージが沢山盛り込まれてはいたが…


    要所要所で流れる音楽と、マリオネットのような動きの象徴的な動き。
    これはよかったと思う。
    大勢での表現は圧巻。
  • 満足度★★★★★

    世界との対峙
    物語世界の無限の広がりを感じる素晴らしい劇空間でした。一つの集団(思想)の始まり~終わり、過去現在未来、死生観みたいなものがない交ぜとなって、でも実感としてはもう終わっちゃうのってくらい見惚れてしまいます。あっと言う間だった。要所に盛り込まれた30名近い俳優の群舞は、何か自分が丸ごと吸い込まれていくような圧倒的な力がある。公演チラシの言葉を何度も読みながら、正しさって何だろうと考えました。

    ネタバレBOX

    散華(さんげ)の思想は、何だか引き込まれてしまうような魅力がある。自分の国の軍隊が人を殺した数だけ、散花のメンバーも同じ数自決する。自分の命を懸けた脅迫だ。自己責任って言葉が流行る日本人の思考にぴったり合うのかもしれない。「平和とか世界とかそのどうしようもなく大きくて抽象的な問題にどうやって向き合ったらいいのか。」、極端だけどそうした思いへの1つの答えに見えてくるから不思議だ。散花の失敗を教訓に未来の人達がたどり着く、「平和や統制のために怒る事を放棄する」という発想も、極端で悪夢のように見える。じゃあ、一体何が正しいのか。

    劇の冒頭、暗闇の中で無から音や生命が生まれる。人類は進化しそして未来へとつながっていく。散花が生まれ、終わり、未来が提示される。そしてクライマックスで時計が反転して元の無にまでさかのぼっていく。どこまで遡ってやり直したら、僕たちはうまくいくのかと思ってしまう。高望みしなければ便利で快適で平和な日常。でも、退屈で空虚でそして危うい。貧困・格差・原発・戦争。自分の日常がある日突然、悪夢に変わるかもしれない危うさ。そんな時代に生きているように思う。それでも「おはよう」って目覚めるんだなぁと思うと、嬉しいのか苦しいのかわからないなぁ。

    物語はわかりやすく深い。言葉も刺さるけれど、群舞のような俳優さん達の動きが本当に美しくて力強くて圧倒されました。
  • 満足度★★★

    なかなかに詩的なタイトルで(好みです)
    期待値大!でしたが、正直「はずした~」と感じてしまいました。ああ、こういう劇がやりたいんだな、とは分りましたが・・・・。なんというか、舞台に核が感じられず、なんだかよく分らなかった。観客の薄い反応は、「ええと、何だったんだろう、どう反応したらいいのかな?」というところだと思います。舞台美術と衣装は素敵でした。

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