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月の剥がれる
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アマヤドリ「
月の剥がれる
」の観てきた!クチコミとコメント
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monzansi(714)
今そこにある舞台。
ネタバレに書いてます!
バレてません!
ネタバレBOX
組織は、内側から壊れていく。
『散花』と書き『さんげ』と読む反戦平和団体は、自国の軍隊が他国で人を撃った場合、同じ数のメンバーが自決することを謳っている。そこでいう人には、軍人と非戦闘員の差はない。
発足者はTwitterを使い思想を広め、共鳴する人々が組織を造った。中心となる幹部は、バリバリの元証券マン。この物語は、金融危機以後の世界なのかもしれない。
ある日、反戦平和団体『散花』に、指揮命令を担う一軍人が加入した。動機は、組織から渡された、弟のメッセージであった。国を守る軍人の規範であった その男が、反戦平和組織に没頭することを考え出した。
しかし、弟のメッセージであるはずの文書は、実は組織の幹部による作文でしかない。それなのに、軍人は心を震わせ、軍服を脱いだ。このシーンに戸惑いを受けた観客もいたことだろう。軍人は好戦的ではなく、平和を第一目的とする人種だとは知らないからだ。
元外務省国際情報局長の孫崎淳氏によると、防衛大の過半数の教授は、政治的にはハト派らしい。かつて、防衛大・教授会のトップに、ベストセラー『戦後史の正体』著者であり、普天間飛行場の辺野古移転問題でプレーンとして反対方針を支えた孫崎淳氏が選出されている。
だから、あの心を震わせるシーンは、間違いではない。幻想的な照明、静かに歩む軍人の姿が 重みのある舞台を演出する。
言葉は、誰が記したかを証明できない。大臣クラスの政治家のスピーチは、ほとんどを専門のライターが考える。
言葉は、証明できない。こぼれ落ちた、身体性に人は目を向ける。
『アマヤドリ』は、踊る。役者が独り、語り出すシーンでは、それ以外全員が統率の取れた現代舞踏を繰り広げた。
物語を操っていたのは、先に紹介した元証券マン。「組織は敵がいると、強固になる。だから内側から蝕んでいく」。彼は、組織の破壊を企んでいた。
元証券マンの反戦を訴える言葉にも、熱い心情は感じられない。ビジネスライクといったところか。組織メンバーが集う会議、交わされる言葉は幹部からの一方通行だった。大勢のメンバーもビジネスライクで通していたのだろう。
彼らを動かす操り人形は、グローバル化だと思う。世界を一つと捉えるグローバリゼーション…。「軍隊が銃撃、一般人に被害」と流れるニューステロップが、行為の発端だ。そして、インターネットが世の中へ伝える手段となる。扮装のニュースは操作される国際政治の常識などお構いなしに。
舞台は、『散花』と未来の学校それぞれの二部構成となっている。
未来の教室で、『散花』に関する会議が開かれた。交わされる言葉は多種多様だった。大勢の生徒は、自分の意見を持ち、イキイキとしている。
ずいぶん対象的である。
未来の教室から覗いた過去は、つまり今この時だった。
現実の政治に対するアンチテーゼか、反戦平和組織を経由したグローバリゼーションに対するアンチテーゼか。
ポリティカルな舞台は、劇場を飛び出し、社会へと作用する。
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2013/03/06 23:52
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