交差点のプテラノドン 公演情報 交差点のプテラノドン」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-8件 / 8件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    石原燃さんの「彼女たちの断片」と対になるような作品。お父さんの演技がちょっと大きすぎた気がするけど、鬼頭典子さんは上手だなぁ。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2025/12/05 (金) 14:00

    産婦人科クリニック院長の急死によって娘・息子をはじめとする関係者に広がる波紋。
    産婦人科が中心的舞台で人工中絶に触れることなどから曽野綾子「紙の汚れた手(1979年)」を思い出したが特別養子縁組などにも言及し、まさに「イマの問題を描いた」感覚。
    さらに開演前はほぼ何もない状態だった舞台上に冒頭でいくつかの装置が搬入されると共に劇中の部屋や廊下を表現する「線」をバミった(しかも最初の書斎から途中で居間に替わる)舞台美術が秀逸。
    偶然にも2日連続で「舞台美術の面白さ」を(しかも中野と高円寺で)目の当たりにして満足満足ぅ♪

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    最初、素舞台にスクリーンが吊ってるだけの美術を見て、ちょっとこれは……になったけど、始まるとOPでおおっと、これは良い芝居だろうなって予感。そして最後まできちんと観られる芝居でした。
    色々なテーマが盛り込まれてるけど、頭でっかちの芝居じゃなく、自分に引き寄せて考えさせられもしました。
    やや説明的すぎるってセリフもあるけど、あれくらい丁寧に説明してくれないと伝わらない部分ってあるよな、とも。

    ネタバレBOX

    幽霊が二人いて、いっぱいしゃべります。
    それでも見えてない芝居をするの大変だろうなって。
    この仕掛けによって、家族の舞台に、楽しいシーンからシリアスなシーンまで色んな彩りが加えられていた。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/12/05 (金) 19:00

     里中産婦人科クリニックの院長である里中こうたの通夜。長女の唯は、母の遺言もありクリニックを守ろうと必死。こうたは急死だったため、遺言状は遺されているか…?と遺産とクリニックの今後をめぐり3姉弟は意見がぶつかり、お葬式なのにてんやわんや。そんな中、唯の娘、花音が大きな秘密を抱えているようで…。
     葬式であぶり出される家族の本音から、母と娘、特別養子縁組…と、「家族とは?」を問いかけていくと言うような、CoRichに載っていたあらすじを読んだ感じだと、急死した里中こうたとその家族、親戚、関係者を巡るドタバタ喜劇であり、人情喜劇でもありつつ、社会問題を取り扱った演劇であって、不思議な要素など微塵もない作品だと思って、会場に観に行った。
     実際観てみると、里中産婦人科クリニック院長の急死の為、遺言状が残されているのかといった問題と、遺産とクリニックの今後を巡り3姉弟の醜い言い争いになるようなドタバタ喜劇な展開や里中家の娘が17歳にして望まぬ妊娠になりそうな問題、長女とその娘との関係などを丁寧に描いており、全体的にはあらすじとそんなに大きくは変わらない。
     急死した里中こうたが幽霊となって、時に感情的になったり(幽霊だから生きている人間には見えないにも関わらず)、時に人に見えない、自分の声も相手に届かないというような状況から客観的な視点に立って我が身を振り返ったり、自分のかつての言動や行動が相手を傷つけていたこともあると知って、我が身を恥じ、反省したりと、幽霊なのにも関わらず、その辺の生きている人間より、人間臭い感じに描かれ、幽霊が成仏してあの世に行くまでの期間、話し相手になったりする見守り係としてうら若く見えるさつきという女性とのやり取りを通して、里中こうたが気付くことも多かったりといったように、生きている人間には見えない幽霊と見守り係の視点がさり気なく入ることで、望まぬ妊娠になりそうな長女の娘の問題だったり、子どもの為と思って行動していた筈が子どもの将来や、子どもの意見や選択肢を親が勝手に縛って、親や世間が思うこうあるべきを過度に押し付ける問題や堕胎、特別養子縁組と言ったこと等、普通に描くとかなりシリアスで、観客にも緊張を強いる重いテーマが、もう少し緩やかに、時に笑いも交えながら、肩の力を抜いて、考える事ができるようになっていて、そのバランスがなかなか良かった。
     
     若い人でも、気軽に、社会問題や家族問題と言った重いテーマについて、身構えずに考えやすい劇となっていたのではないかと感じ、全体として社会問題、家族問題、世代による考え方の違いや何気ない未だに残る女性差別の構造の問題といったことを観客に押し付けるのではなく、時に劇に出てくる登場人物の言動、行動を誇張し、大いに笑いを誘いながら、さり気なく考えさせるようになっていて、若者が観ても、難しく考え過ぎず、こういった劇をきっかけに他の演劇にも興味を抱くような橋渡しとなる劇としてちょうど良いのではと感じた。

     また、里中こうたのとある秘密が劇の後半で明かされ、その内容が余りに予想を壊してくる展開が面白かった。
     あらすじには出てこない、里中こうたが幽霊として里中家の家族の問題や社会問題を生きている人間には見えないに第3者の視点で見守り係と共に見つめ続けるという描かれ方は、不思議な要素などないと思って劇を観た私に取っては大いに予想を裏切られたものの、その絶妙な間と、不条理、ブラックコメディの様相を呈する劇に共感しやすく、社会問題や根深い女性差別の問題についても、遠いことではなく、日常の延長線上にあるんだと我が事として考えることが出来て良かった。
     
     終演後の学生喋り場では、演劇集団Ring-Bong劇作家の山谷典子さんが司会となって、ゲストに劇作家、演出家、うさぎストライプ主宰の大池容子さんと演劇を学ぶ現役の大学生の2人を迎え、忖度なく、今の大学生が演劇に対してどういった思いを抱いているのかなどを引き出していて、普段は聞けないであろう、大学生の演劇に対する視点を聞けて良かった。
     演劇と観客席との間に距離があって、一方的に劇を観客に観てもらい、劇作家が伝えたいテーマや価値観を一方的に観客に押し付けるといったことでなく、劇中でもっと観客と対話したりして、観客も主体的に参加させていくことで、若い人でも気軽に劇を観に行けて、劇中の観客との対話による交流によって一体感を生み出し、誰をも取り残さない演劇が作れるんじゃないかというような、今の演劇に対する改善点を大学生が話しているのも興味深かった。

     家族や家族問題、社会問題、社会に根深く潜む女性差別の構造といった問題、そういった問題を取り上げた問題を取り上げた演劇は数あるし、姉弟のお婆さんがロボットや家族のことが心配で幽体離脱して様子を見に来たりといった不思議な要素や、SF要素を盛り込み、シリアスな展開になりやすい話をコミカルに展開し、感動要素も盛り込んだような劇もいくつか観たことはあるが、今回の劇のように、登場人物たちからは幽霊の里中こうたが全く見えない、声も聞こえないというような妙にリアリティーのあり過ぎる設定が加えられていることは他の劇ではなく、今回の劇のように時に感情的になったり、時に悔いたりする人間臭い幽霊として里中こうたが描かれながらも、あくまで第3者の視点に徹する描かれ方は他の似たようなテーマを扱った劇ではなかったので、新鮮だった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2025/12/06 (土) 13:00

    座席1階

    子育てやシングルマザーなどの社会的テーマを取り上げてきた山谷典子の新作。今回は産婦人科医院の家族を舞台にして、特別養子縁組などについて語られる。

    実の親子関係を切って、赤ちゃんを迎え入れた父母と法的に親子関係となる特別養子縁組。子を産み育てることの負担、授かった命の重さ、不妊治療を繰り返しても妊娠できない苦悩など、多くのテーマが交錯する。産婦人科を運営し特別養子縁組にも積極的に取り組んでいた院長である父親が急死したところから舞台は始まるが、その3人の子のうち2人までが医者で一人は産婦人科の勤務医という設定。しかし、親子の医療に対する考え方は実は大きく異なっている。ここに、家族の個人的な事件が絡んでくる。そのほかの登場人物も含めて複数の物語が進行するのだが、演出の藤井ごうがうまく舞台を操ってみせている。

    約2時間の舞台で、少し間延びした空間があるのが気になった。本筋とはまったく関係ないエピソードがあるのは悪くないが、自分にとっては少し肩透かしな感じがした。だが、特別養子縁組という難しいテーマに真正面から切り込んでいった劇作はとてもよかった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    フライヤーの絵柄と言葉に物語が凝縮されており、プテラノドンは そういう意味で使っているのかと納得。そもそもプテラノドンとは何か知らなかったので、少しネット検索してみた。それによると翼竜だが翼を羽ばたかせて飛ぶのではなく、滑空(風に乗って)ということらしい。劇中で、子供の時に持っていた羽が、成長し大人になっていくにしたがい 小さく無くなっていく といった旨の台詞がある。言い得て妙だと感心(いや寒心)した。人でいえば、飛び方は人それぞれ違う。

    説明の「葬式であぶり出される家族の本音から・・・『家族とは』を問いかけていく」は、同じ家庭で育ち 同じ方を向いて歩んでいると思っていたのに、いつの間にか反対や横の方へ歩いている。まさにスクランブル交差点で、下手をすれば ぶつかってしまう。そんな危険な状態を笑いを交えて描く。昭和の典型的な父親の急死、そして産婦人科クリニックの院長という設定が巧い。そこには誰も逃れられない「生」と「死」という問題が横たわっている。

    舞台美術、冒頭は素舞台だが情景に応じて構築・変化していく。それは夫婦だけの暮らしから子供が生まれ育ち、そして孫が生まれる。何もない空間に情景が立ち上がるように、家族という最小単位の集団が形成されていくようだ。しかし緊密な造作ではなく、隙間だらけというところに この家族(里中家)の今の状況が透けて見える。俳優陣は普通にいそうな人物を演じているが、いつの間にか個性溢れる人物像を立ち上げている。その人々の濃密であり 時として粗密(とぼけた)な会話が面白い。
    (上演時間2時間10分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は素舞台と思っていたが、上演が始まると俳優陣が白テープで間取りを区切るように床にテープを貼付、それを壁に見立て白枠(ドア)、テープ枠内に本棚や机を配置する。途中でバミリを加え、書斎から居間へ転換する手際も見事。骨組みだけで隙間風が、この様子こそ里中家の現況を表しているよう。物語は、或る夏 里中産婦人科クリニック院長の里中こうたが熱中症で急死したところから始まる。

    物語は説明にあるように、里中産婦人科クリニックの院長である里中こうたの通夜。こうた には三人(姉妹弟)の子供がいる。次女は大学病院の産婦人科に勤務。長男で末っ子は形成外科医、そして長女の唯は、母の遺言もありクリニックを守ろうと必死。遺言状が遺されているのか、遺産とクリニックの今後をめぐり姉妹弟は意見がぶつかる。そんな中、唯の娘 花音(17歳)が妊娠していることを告白する。そして亡くなった こうた とあの世への案内人 さつきが幽霊として彷徨っている。

    こうたは、自分の(現実の)葬儀に(仮想の)幽霊として第三者的に表れ、俯瞰的に様子を見守る。そしてちょいちょいと口をはさむが相手には聞こえない。重くなりがちな葬儀、それをコミカルに描きつつ 家族の本音を炙り出す。集まっているのは普通の親族、それを建前・傲慢・強欲・理屈などの性格を誇張し人間臭さを描破する。娘 花音の妊娠(21週目)について話し合う過程で やっと本音が出てくる。そこには彼女の将来と生む生まないといった「生死」の問題があるため。こうた は望まぬ妊娠に特別養子縁組を働きかけていた。この縁組によって救われたのが、あの世への案内人さつき。さつきも望まぬ妊娠をし、自分は亡くなるが 赤ん坊は助かり こうたが縁組に関わってくれた。

    家族といっても 皆同じ方向を向いているわけではなく、その立場や事情が優先する。それは我儘のようでちょっと違う。その表現し難い微妙な感情を役者陣は巧く体現している。また 唯が信じている風水や奇妙な宗教踊り、こうた と顧問弁護士 森塚晶子の共通の趣味など横道へも逸れるが、コミカルなタッチを大切にしているよう。脚本の面白さや演出の巧さもあろうが、役者が漂わす空気感のようなものが現実と幻想が交じり合う不思議な世界を創り上げる。普遍的かつ超越的な物語は、観客の感情を揺さぶり 考えさせる秀作。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    素舞台だったのに
    開演してから巧みにセットを
    仕上げるのに驚かされたし
    家族のあり方 親と子 夫婦など
    とても深く掘り下げて描かれていた
    2時間10分の作品
    アフタートークで
    特別養子縁組の事とか
    子育てとかを主宰劇作家氏が
    ゲストを交えて語ってくれてました
    25分くらい
    いろいろと勉強になり
    考えさせられた良い作品でありました

    ネタバレBOX

    ネタバレしないでねと
    口止めされたので記述は公演終了後にーデス
    で 終演したから記述スタート

    素舞台じゃん と思ってたら
    黒い床に色テープ貼って枠決めて
    小道具の棚とか
    枠だけだが扉を配して
    開け閉めにSEで音合わせてました
    上手な演出!!

    さて 荒筋ですが
    産婦人科を頑張ってた父が急死して
    舞台中央に白い棺が置かれて
    3人の子供らが
    今後の事を話し合うシーンから始まって
    突然死んだ親父殿が棺から起き出して
    幽霊となって子供らの動向に
    いちゃもんつけたりしてくのです
    その父には見守り役の幽霊の先輩さんが付き
    一緒に現世の動向を見つつ成仏まで
    見守るのですが
    子供らは先に亡くなってる母親に
    人生のレールをひかれてて
    自由が無かったと吐露し
    長女は漫画家になりたかった夢を捨て
    母親の代役になり医院を守ろうとし
    長男は医者にはなったものの
    産科は継がず整形外科として独立し
    次女は産科にはなったものの
    父とは志が異なると家を出ていました
    長女の娘が高校生で妊娠し
    産む産まないで悩み
    残った医院も借金が有り
    誰かが継がないと閉院となる事態に
    それぞれの立場や考えを
    丁寧に表現してみせてくれた
    作品に仕上がってました

    明るいコメディ調ではあったものの
    女性の妊娠から出産
    特別養子縁組制度等キチンと説明し
    物語に感動と共に組み込んでおりました
    小学生の お子さんを持つ方が
    脚本書かれたと 納得でした
    JKの妊娠で誰にも相談できず
    一人公園のトイレで出産し失血死したが
    埋めようと思った子が愛しくなり
    抱いたままで発見されてと繋がる話は
    落涙ものでした
    見守り幽霊の先輩さんが そのJKで
    もしかしたら自分の産んだ子に会えるかもと
    いう話の伏線回収は巧みでしたわ
    長女の娘は産む決意するも
    学校には居づらくなり
    出産宿舎への入居を決め
    子供は特別養子縁組に出す事になるのでした
    次女の堕胎話も女性にばかり負担を強いる
    社会の歪みを語れておりましたわ

    アフタートークでは脚本さんが
    やっと取材できた特別養子縁組で
    子供さんを迎えたダンサーさんに
    リアルな話を引き出されてのトークに
    心強く動かされました

    親が喜ぶから やってるんだ
    という子供の科白は 何かくるものがあったデス

    タイトルのプテラノドンは
    亡くなった祖父から父親 孫娘が恐竜好きで
    自由に空を飛ぶことがーと
    掛けてて模型も出てきました
    ラストには白幕に影絵でも表現されて
    印象に強く残りました
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    人は皆、生きてきた背景があって、成長し、各々の考えで生きている。
    方向性を同じにするには同じ場所に立って向き合って想いを聞き合うのがスタートなのに、相手を想う気持ちが先走って行き違う。
    自分と同じだぁと感じる部分、押し付けしてたな、と反省する部分と、自分以外の生き様にグッときたりと、とにかく、感激!でした。

    妊娠、出産、望まない妊娠、自力出産、無事じゃない出産、特別養子縁組、養子縁組、里親、親子関係、恋愛関係などファンタジーだけどリアルな内容。

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