抜殻を握った僕たちは 公演情報 抜殻を握った僕たちは」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
1-7件 / 7件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    劇団初見。刻チーム観ました。非常にセンシティブな内容で、色々と考えさせられました。丁寧な作品作りには感銘を受けます。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     シアターグリーン若手劇団支援企画参加作品である。新鮮で若者らしい柔らかで繊細な感性の光る作品だ。華5つ☆ 尺は約120分。

    ネタバレBOX


     物語は高校演劇部の活動を描くが脚本を担当している日暮 蛹は天才的な才能を見せ、高校生で既に小説をものして一部に熱狂的なファンを持ち、この演劇部に書き下ろした戯曲でも賞を獲るなどその才能は高く評価されていた。或る時、彼の作品の熱狂的ファンの1人桑田 幸宏が新歓時でも無いのに演劇部に入部したいと申し込んで来た。既に書籍化されていた蛹の小説と偶々観た高校演劇部の上演作品のテイストが全く同じ感性、感覚の才能を持つ人間によって書かれていたことを見破るだけの愛読者だったのである。それ迄親からも“抜け殻のようだ”と観られていた幸宏の人生は一変した。イキイキとし輝くようになったのだ。兄を大好きな妹の美紀も演劇部に入った兄の下に良く来るようになった。
     ところで登場人物名に昆虫と関りのある名前が多く登場する今作、昆虫が幼虫から蛹になって羽化し成虫になったり、種類によって何度も新たな蛹に脱皮して成虫に成る時を迎えるという生命の辿る厳粛でドラスティックな転変を劇中辿る台詞がキチンと埋め込まれていることと無論大いに関係している。前者の場合蛹の中で一旦幼虫はどろどろに溶けた状態になってから総ての器官、成虫に成った時の形を整えてゆくのである。その様は余りに過激で厳粛而も命の崖を渡ってゆく姿そのものである。この事実を知った時、子供たちの総てが命に対し畏敬の念を感じる。そういった科学的観察を通して知られている事実をキチンと書き込み、ヒトの自死への本人と周囲の者各々に波及するある意味捉え所の無い難題を考究することが、今作のテーマである。
     同時に表現する者としての作家、役者や演出家等の演劇人と、作品を受け取る側や元ネタになったモデル達の相関関係に於けるそれぞれの社会的、倫理的責務と具体的対処についての考察が今作のテーマということが出来る。
     若く繊細な感性と理知が編む今作、高く評価したい。今後の活躍が楽しみである。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    殻チームを観劇しました。
    死を扱った難しいテーマで、考えさせられる事が多々ありました。
    友達は何故死んでしまったのか?主人公の現在の状況は?等、ミステリー要素も感じられ、どんどん惹き込まれました。
    友達の死は本当に悲しく受け入れ難いけれど、主人公の描く物語の中で、ずっと生き続けてほしいと、切に感じました。
    良い舞台でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白かったです。最初と最後のちょい長尺のユニゾンセリフのところ、なかなか圧巻でした。俳優さん、誰一人として口パクの人いませんでしたね^^ しっかりチェックさせてもらいましたw で、内容はともかく、主役の遠藤巧磨さんには脱帽です。ちょっと前には舞台『アーカイヴ』で主役をやり、それからまだそんなに日がたってないのに今回も主役をやり、ほんとすごいですね。今回の舞台の台本いつ覚えたのかと… 

  • 実演鑑賞

    良かったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    役者陣に華があり、演技に迫力があります。今後、描かれる脚本の中で彼は生き続けるだろう。自死を諌める話ではなく、人と人の繋がりは形の変化はあれど、消えないということ。心が温かくなりました。(殻チームでした)

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    未見の団体。見応え十分。
    説明にもあるが、自死をした人と残された人たちの言い表せぬ感情を描いた物語。命を絶つことの是非を問う内容ではない。その行為は人間だけがする選択、それによって、新たに生まれた感情がメインテーマ。それを人間以外の生き物の脱皮・羽化といった成長過程と重ね合わせた骨太作。

    高校 演劇部で脚本を書いていた男が 売れっ子作家になったが、いつしか書けなくなる。その もがき苦しむ姿は、よく舞台や映画の題材になる。前半は 承認欲求といった描き方だが、後半は それに止まらず 隠された その背景(心奥)と向き合うことによって前に進もうとする。周りの人たちも巻き込んで、再び時計の針を動かそうと…。

    ラスト、残された人たちが握らされた切ない思(重)い、その心情をスポットライトの中で語り、そのまま溶暗し場面転換する。その時に流れる優しい音楽や歌が心を和ませる。脚本に対するバランス感覚ある演出や 前説から本編への導入が巧い。また 脚本/演出の男澤博基さん(刻チームのみ出演)は、出番こそ少ないが、考えさせる重要な役所を演じていた。いわば物語の重石的存在。
    (上演時間2時間 休憩なし)【刻】

    ネタバレBOX

    舞台美術は、上手 客席寄りに和室と収納棚、下手は段差を設え その隅に公衆電話、中央に幕。全体は(高校)演劇部の部室であり、作家の日暮 蛹の部屋を表している。

    高校の演劇部時代と社会人になった過去と現在を往還して展開する青春群像劇。高校生にして優れた脚本を書く日暮、その彼の作品に憧れて途中入部した桑田幸宏。特に演劇好きというわけでもなく、平凡な学園生活を送っていたが、入部してからは明るく生き生きと活動する。そんな兄を妹 鳴海は温かく見守っていた。しかし(演劇)発表会間近に事故が起きてー。

    演劇部に関わった人たちは、社会人になってからも その時のコトを引き摺っていた。日暮は小説家になり、発表した作品も評価されていたが、最近は筆が止まっている。高校時代の事故とは、幸宏が担当した舞台装置(大道具)が倒れ、それによってケガ人が出て発表会も辞退することになった。(明確に描いていないが)責任を感じた幸宏は自殺してしまう。幸宏の自死に何らかの関わりを持った演劇部員やケガを負った目黒大和(野球部員で演劇部の手伝い)は、彼の死によって 言い表せない感情を抱くことになる。自死=魂が無くなった抜殻なのだろうか。遺された人たちは、その抜殻を握らされて、重く沈んだ気持のまま生きていくことになるのか。「抜殻」は色々な比喩として用いられている。

    書けなくなった日暮、次回作を高校時代の この出来事を題材に…編集者になった目黒は見守っている。一方、商業ベースで考えるライター 炭畑源治(男澤博基サン)は、目黒と激論を交わす。高校時代の仲間内、傷を舐めあって労わる甘さ。それに対し第三者(客観)的な岸畑は物事を冷徹に見詰める。1人だけ当事者ではない人物を配置する妙。その対比が遺された人たちが自らの気持と向き合うといった成長(比喩的な表現として「脱皮」「羽化」)へ繋げる。自死した幸宏のことを「忘れたい」から「忘れない」といった前向きな気持にさせる。幸宏は、日暮の作品の中で生き、遺された友達の心の中で生き続けることになる。
    次回公演も楽しみにしております。

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