『熱狂』・『あの記憶の記録』3月に完全再演致します!!詳しくは劇団ページをcheck!! 公演情報 『熱狂』・『あの記憶の記録』3月に完全再演致します!!詳しくは劇団ページをcheck!!」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.6
41-48件 / 48件中
  • 満足度★★★★

    熱さを描く冷静さ
    残念ながら「熱狂」だけしか観ることができませんでしたが、
    あの会場に一つの時代の生々しい熱が現出したことにびっくり。

    しかも、その背景には、タブーもイメージも乗り越えた
    歴史の冷静な切り取りがあって。
    シーンによってはライブ映像を観るような感覚すらあり、
    違和感なく、時間を忘れて見入ってしまいました。

    ネタバレBOX

    演劇としての構造は、とてもシンプルで、
    ある意味歴史をなぞったにすぎないとは思うのです。
    でも、その作りは同時にとてもしたたかで、
    物語の外枠を、ヒットラーの近くにあった一人の男の視座に固定して、
    シーンにただ引き込まれることのないようにしたうえで、
    幾つものシーンに圧倒的な強さを作ることで、
    観る側にとって既知の歴史に新しい俯瞰を作り出していく。

    断片を映画などでしか見たことがなかった
    ナチスの熱狂の裏に潜む
    ヒットラーやその側近たちの、
    抱いたものや確執などを、
    絶妙な立ち位置で見せる中で、
    歴史に人間臭さを与え、その人間臭さゆえの危うさを感じさせ、
    さらには、その熱狂の理も体感させる力が
    舞台にはあって。
    時として場面の熱が、作品自体のダイナミズムを
    少々薄っぺらくしてしまう部分はあったのですが、
    役者たちがなす演説は、大衆の陶酔を理解できるほどに圧倒的で、
    狂言回し(ヒットラーの付き人)の進める時間の組み方もしなやか。

    作り手の表現の意図に加えて、その剛腕と繊細さ、
    そして役者たちの底力に取り込まれてしまいました。



  • 満足度★★★★

    熱狂
    ヒトラーが権力の頂点に上り詰めるまでの過程が描かれている。
    大衆は彼の演説に酔いしれて、集団ヒステリー状態になり、それが第二世界大戦へとなっていく。西尾友樹氏の演技には、鬼気迫るものがあり、きっとヒトラーもそうであったのであろうことが想像される。
    取り巻きも、多士済々であり、それらの部下を使いこなすことがヒトラーのヒトラーたる所以なのであろう。素晴らしい芝居であった。

    蛇足であるが、中国や韓国の過剰なナショナリズムは、どこへ行くのかがふと頭の中をよぎった。

  • 満足度★★★

    あの記憶の記録
    役者さんの迫力、脚本の重み、すべてがきました。次回もたのしみです。

  • 満足度★★★

    「あの記憶の記録」
    素朴な疑問として「どうして日本人がユダヤ人の話を書いたのだろう?」と思った。そんな遠くの人の話でないと平和や正義の話は語れないのか・・?そもそも我々日本人はあの当時ナチの側にいたのである。役者の方々は非常に熱演であった。2時間まったく飽きさせない演出も見事だったが、どこか距離を感じた。

    ネタバレBOX

    小道具はもう少しあってもよかったのでは?兄夫婦がてみやげも持たずに弟夫婦の家を訪れることはないだろうし、ケーキの箱を渡すとか、研究者がメモも取らずに人の話を聞くことはないと思う。70年代初めならもう取材用のテープレコーダーもあったはず。

    「正義」の定義はよかった。「人を悲しませないこと」
  • 満足度★★★

    ぐいぐいひきこまれる
    でも実際にあったかのような会話・演説を軸にした脚本および無難なとしかいいようのない演出には不満が残る(評判高い劇団だけに・・・)。そういう意味ではもう1本のほうがおもしろかったのかも。今回初見だったがまた観たいし次回への期待度は今回より高くなった。

  • 満足度★★★

    噂通り
    こりっちアワードで一位を取った作品であるということで、見ておこうと思っていきました。確かに噂通りの作品だったように思えました。役者のレベルも高く、強制収容所で生き残ってしまった人間の悲劇などが、痛かったのですが、
    なんでしょう。楽しかに見ていて、面白さはあるのだけど、予想を超えない。
    すごいなとも思うのだけど、もっとすごいモノを見てしまったからか、
    おぼんろのゴベリンドンの沼を抑えての一位に期待しすぎてしまったかもしれない。見終わった後に、なぜか、とても残念な気持ちになってしまいました。

  • あの記憶の記録
    感想は言葉にし難い。ここで語られていることは参考文献とした記録を元に、作家が編み直した記憶だからである。肉声を伴って記録を再現することに意義はあるが、いかにその記録を、物語としての記憶に再構成するかに作家の度量が表れ出てくる。

    記録は(改竄されていない限りにおいて)事実であり、記憶は虚妄だ。現今の作家が歴史を取り扱うには、記録を元にして物語=虚妄の記憶を作り、その中に何かしらの真実を見つけ出すための努力が必要とされる。

    ネタバレBOX

    今回の作品、上演時間のほぼ半分は登場人物が個人の記憶を語ることに費やされた。そしてある一人の人物がそれを記録していた。つまり記憶を元に記録を作り上げる現場を我々観客は目撃するわけである。

    歴史を歴史のままに記録するのは歴史家にでも任せればよい。そうではなく作家が書いた作品を観にきた以上は、物語=虚妄の記憶からいかなる真実を見出すかに観客は期待する。

    ゆえに憎しみは何ものをも生まない、という戦争を考える上で割とありきたりな解答に行き着いてしまったのは、平凡であったように思う。

    作家の意義として必ずしも新しいものを生みだすべきだとは言わない。が、すでにその記録について扱う作品が数ある中で、なにゆえに改めて自分の手で描きたいと思ったか、というオリジナリティを見たいところではあった。

    ……と、脚本についてばかり触れてしまったので、他についても一言だけ書いておく。

    演出としては八人もの登場人物がいながら、空間を混雑しているように見せず、また自然と観客の集中力を人物に向けさせることに成功していて良かった。役者もみなさんそれぞれに役として自分なりの考えを持っていたようにおもう。

    僕は作家志望の人間なので、とりわけ脚本への意見が多くなってしまうものだが、他意はない。なお満足度に関しては、そもそも作品を星の数や点数で評価することに違和感があるためにつけていないことを明記しておく。
  • 熱狂
    難しいお話でしたが、パワーと熱があって面白かったです。

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