『熱狂』・『あの記憶の記録』3月に完全再演致します!!詳しくは劇団ページをcheck!! 公演情報 劇団チョコレートケーキ「『熱狂』・『あの記憶の記録』3月に完全再演致します!!詳しくは劇団ページをcheck!!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    熱さを描く冷静さ
    残念ながら「熱狂」だけしか観ることができませんでしたが、
    あの会場に一つの時代の生々しい熱が現出したことにびっくり。

    しかも、その背景には、タブーもイメージも乗り越えた
    歴史の冷静な切り取りがあって。
    シーンによってはライブ映像を観るような感覚すらあり、
    違和感なく、時間を忘れて見入ってしまいました。

    ネタバレBOX

    演劇としての構造は、とてもシンプルで、
    ある意味歴史をなぞったにすぎないとは思うのです。
    でも、その作りは同時にとてもしたたかで、
    物語の外枠を、ヒットラーの近くにあった一人の男の視座に固定して、
    シーンにただ引き込まれることのないようにしたうえで、
    幾つものシーンに圧倒的な強さを作ることで、
    観る側にとって既知の歴史に新しい俯瞰を作り出していく。

    断片を映画などでしか見たことがなかった
    ナチスの熱狂の裏に潜む
    ヒットラーやその側近たちの、
    抱いたものや確執などを、
    絶妙な立ち位置で見せる中で、
    歴史に人間臭さを与え、その人間臭さゆえの危うさを感じさせ、
    さらには、その熱狂の理も体感させる力が
    舞台にはあって。
    時として場面の熱が、作品自体のダイナミズムを
    少々薄っぺらくしてしまう部分はあったのですが、
    役者たちがなす演説は、大衆の陶酔を理解できるほどに圧倒的で、
    狂言回し(ヒットラーの付き人)の進める時間の組み方もしなやか。

    作り手の表現の意図に加えて、その剛腕と繊細さ、
    そして役者たちの底力に取り込まれてしまいました。



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    2012/11/12 06:09

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