公演情報
「花がこがれる」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/07/06 (日) 12:00
花屋を目指してきた(実際には、病院のベットで重病で生死の間を彷徨っている)少女は、花屋があった筈のところで花の魔女が運営するスナックのような魔女の店に迷い込む。
そして、魔女の店のアクが強くて個性豊かで、騒がしい常連客たち、魔女の店を切り盛りする何処か謎めいていて、でも底抜けに明るく、その場を癒し、人々の心を照らし、良い気持ちにさせるが、人懐っこいが、掴みどころのない花の魔女、また花の魔女と真逆で一見冷たく、ミステリアスで、星占いが得意で、厳格な現実主義者で、冗談が通じなくて、ニヒルで、取っ付きにくく、人と群れることを嫌い、気難しいが、本当は良い人な星の魔女たちとの少し不思議な交流を通して、少女のアイリスが少しずつ成長していくといった風に劇が途中までは進んでいた。
なのでこれは、小説で映画化もされた『コーヒーが冷めないうちに』と似たような構造だなぁと感じた。
常連客たちが頼むお酒や紅茶に花の汁を垂らすと、それが不思議な効果を生むという構造も、『コーヒーが冷めないうちに』における少し不思議な体験ができるコーヒーといったところが、偶然にも良い意味で似通っていた。
更に、それに加えて、舞台所狭しと飾られた花々や微かに香るお香の匂いが劇世界に彩りを添えて、華やかで優雅な雰囲気で、『コーヒーが冷めないうちに』をより、洗練させた大人な感じで、少し不思議な最高級な世界観が出来上がっているように感じた。
しかし劇の中盤から後半にかけて、花の魔女の店に来る常連客たちが既に生きている人間でなく、それも立派に生を全うしたというより、石膏になるのが夢だったが、馬に轢かれて事故死した男や、プリマドンナだったが、才能を周りに妬まれ、嫉まれ、追い詰められて自殺したセーラ、魔女の店に来ると南のほうに旅行に行ってきた話を周りにいる客たちに嬉々として話していたアビーも、生きていた時は北の国で夫のDVと寒さに耐えながら、精神的にも肉体的にも追い込まれて、病死して、魔女の店に彷徨っているといったような境遇の、実に凄惨で、救い難い幽霊たちが、現世と夢の境界線である魔女の家に留まっているというような実態が浮かび上がってくる。
更に、魔女狩り、異端審問といった不吉で不穏な中世の時代に実際に行われていたことが、花の魔女や星の魔女も例外ではなく、巻き込まれていく、暗雲立ち込め、シリアスな展開に驚愕してしまった。
但し、最後のほうで生死を彷徨っていたアイリスが時空を超え、夢と現実の狭間にある魔女の店から、皆に迷惑をかけまいとして、自ら出て行った花の魔女カガミを助けに行き、現実ではアイリスが重病から立ち直ることができるという奇跡なような展開に、途中まで救いようが無い終わり方になるのではないかという絶体絶命で、不穏な感じが漂っていて、どうなるんだろうとドキドキしていただけに、感じ入ってしまった。
前半から途中までの少し不思議で謎めいてはいるが、ゆったりと優雅で大人、そして華やかさもあるような感じとは、中盤から後半にかけてはほとんど違って、暗くて、不穏な感じが劇の終盤まで続くという大きく物語が変化していき、劇が進むに従って、花の魔女カガミが隠す秘密や、魔女の店に集う常連客たちの過去が明らかになっていく展開、その構成が見事だと感じた。
Aキャストバージョンの劇を観たが、終わった後にトークショーがあったので、聞いた。
A、BのWキャストとも同じ役者だが、A、Bではそれぞれ違う役を演じ、役者によっては全くイメージが違う役を演じられ、劇作、演出家であり、俳優として今回の劇にも出ている港谷順さんの独断と偏見で、役を役者に振り分けた話など、込み入った話や裏話が聞けて興味深かった。
また、トークショーの際に港谷順さんが今回の劇に出てくる登場人物たちの役名が、実際にある花の名前や鉱石から取っていたり、名作小説『ハイジ』に出てくる登場人物から取っていたり、性格も花言葉の意味から取っていたりと、港谷順さんのセンスの良さや、お洒落さ、譲れないこだわりといったものが伝わってきて、非常に興味深かった。
実演鑑賞
満足度★★★★
時間と場所を自在に操った幻想劇。この世界観に浸れるかどうかが肝。謳いにある「香りを演出に加えた」は、会場入り口で お香を焚き 優雅な匂いを漂わすが、物語に直接影響しているかどうかは判らない。
舞台美術や人物の名前が 物語の世界観を表しているが、それに早く気が付くか。救いか冒涜か、人の心の奥底にある願望、それを現代では別の形で…。
(上演時間1時間45分 休憩なし)【Bチーム】
実演鑑賞
満足度★★★★★
Aチームを観劇しました。
劇場入口から癒される香りが漂い、花が溢れるセットも素敵でした。
ファンタジックで意外性もあるストーリーで、面白かったです。
不思議な雰囲気に、役者さん達の熱演も加わり、夢の世界に入り込んだ感覚になりました。
素敵な時間を過ごしました。
実演鑑賞
満足度★★★★
舞台に花や香が溢れて、いるだけで心地よい空間でした。お話も最後に意外な謎解きがあり、引き込まれました。アフタートークやお見送りも楽しめて、サービス精神満載でした。お花屋さん役の人が面白かったです。
実演鑑賞
尺103分。通常の観劇体験のみならず香や音との共感覚すら楽しめるゆったりした舞台空間は秀逸。最終的な☆印、追記は後送するがお勧めである。未だ予約も可とのこと。