音楽劇 金鶏 二番花 公演情報 音楽劇 金鶏 二番花」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
21-24件 / 24件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    第一幕80分休憩10分第二幕85分。

    時代は1992年だろうか?NHK放送劇団一期生の老女がNHKスタジオで後輩の五期生の女性タレントとトーク。日本のテレビ放送の歴史を振り返る特番のようだ。亡くなった旦那は日本を代表する名アナウンサーだった。思い返せば時は1950年(昭和25年)11月、NHKは週1回だけ1日3時間の定期実験放送を開始。それを日本橋三越の会場にて一般に公開。先は何も見えないがあり余る情熱だけはスタジオ中に満ち満ちていた。

    織り込まれる戦時中のNHKラジオ局でのエピソード。詩を募集し選ばれたものに曲を付けて歌にする番組。そこに送られてきた「愛おしいもの」。時局柄、反戦歌として検閲される恐れもあった。だが金子侑加さんがその歌を歌うことで人々の運命が動く。

    MVPは内田靖子さんだろう。やるな。
    浜端ヨウヘイ氏はイケメンの諏訪魔(全日本プロレスのレスラー)みたいでカッコイイ。本職は歌手なので流石の歌声。
    中野亜美さんの多彩な表情は昔から『おはよう!スパンク』を連想する。金子侑加さんとの二枚看板までになるとは。
    田久保柚香さんは必ず胸に残る存在。巧い。

    黒柳徹子の話を思い出す。養成所時代、アメリカからNBCのプロデューサー、テッド・アレグレッティが技術的な指導の為来日し講演。「今後テレビは今世紀最大のメディアになるだろう。いずれ世界中のあらゆるものを見ることができるようになる。使い方次第でテレビは人々を幸せに導き、世界に永遠の平和をもたらすことができる」。その言葉に感銘を受けこの仕事に誇りを持ってやってきたと。

    もの凄いボリューム、一回だけじゃ物足りない。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    第一幕が描き込みや仕掛けが多過ぎ、ごちゃごちゃして何か世界に入りづらかった。クリストファー・ノーランの映画みたいな情報量。それが第二幕は嘘のように全てのエピソードが綺麗に澄んでクリアにされる。流石。凄い魔法。成程。

    日本のテレビの父、高柳健次郎。今作では桂憲一氏演ずる金原賢三。9月に演る『金鶏 一番花』の主人公でもある。
    彼がNHKスタジオでインタビューに答えている。「何故、テレビを発明しようと思ったんですか?」
    思い起こすのは11歳の頃、ハレー彗星の接近で地球上の空気が吸えなくなり窒息死するというデマが飛んだ。パニックに陥る民衆。帰宅した高柳少年は母親に死ぬ前に何がしたいのか尋ねる。「そうね、歌舞伎がもう一度観たいかしらね。東京まで観に行くにはお金がかかり過ぎる。歌舞伎の方からこっちに来てくれればいいのに」。
    日本中に伝わる金鶏伝説。天上に住む金の鶏は無限に金の卵を産む。それを捕まえた者が国の何処かに埋めたという。国が危機に陥った時こそそれを掘り出せと。工業学校の入学式、胸に残る恩師の言葉。「その金鶏が埋まっている場所は君達自身の胸の中だ。必死になってそれを掘り出して国を救え」。
    人形劇でその少年時代を再現するのだが、演じている藤江花さんのパントマイムが凄かった。勿論他の方も。

    使う小物をスタジオの道具で見立てる。煙草は白い鉛筆、葉巻はマジック、湯呑みは養生テープ、ベッドは脚立。そして吐く血は赤鉛筆の束。

    円谷プロの特撮モノのような曲やヒーロー物の「特効野郎!ストレプトマイシン」の振付にやられた。

    高橋圭三、宮田輝、和田信賢、藤倉修一、河口恵美子、黒柳徹子などがモデル。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    毎度素晴らしい作品を見せていただけるあやめ十八番さんのミュージカル調の舞台の初日を拝見。テレビ放送草創期に携わる人々の苦難と情熱、時代を切り開いていく圧倒的なパワーを堪能しました。必見です。必見。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    初日を観劇(あと2回は観るので、観たらもうちょっと書き込みます……結局、4回観ました)。
    あやめ十八番さんは、言うことなしっていうか。称賛のみなんですが。

    演劇の面白さ、魅力、華やかさ、美しさがこれでもかと押し寄せてくるんですよ。
    今作は珍しく、かなり陽性の作品でもあって。
    数々の歌や身体表現も良かったなあ。

    本、演出、美術、役者、楽隊(生の音響)、照明。
    全部、すげえわっていう。

    自分の受け止められるキャパシティの問題なんですが、あまりにも盛沢山で。
    ちょっと飽和して、どこに視点を置いたらいいのか迷子になりそうだったってのは、ありましたね。
    いや、どのエピソードも強火で気持ちをもってかれて、それが次から次なので。
    圧巻すぎて、疲労しちゃったっていうか。

    初見はそんな感じだったんですが……リピートすればするほど発見があって、どんどん体感時間短くなっていきました。
    二幕の連続するドラマも本当に感動的で涙する場面多いんですけど。
    一幕のオープニングにあたる、人形劇と影絵と歌謡ショーが全部重なるようなところが個人的には感動して落涙ポイントだったかも。
    なんてロマン的で美しいんだって。

    動かせる範囲自体はかなりシンプルだけど、舞台中央を横断する稼働デッキによって、奈落の位置が移動するみたいな造りになっていて、存分に使った演出は見事だったな。
    その稼働デッキの移動だけじゃなくて、歌って踊って、人によっては楽隊にも参加して、色んな役になるアンサンブルの尊さ、見事さ。
    芝居にもシームレスで参加する、生演奏、生効果音の楽隊は、あやめ知ってる人なら言わずもがな。
    照明も凄いんだよな。照明みるだけでも後方席の価値ある。
    役者もねえ、いい人ぞろいで、誰が目立つってこともなく、みんな凄い。
    最高でした。
    今年も総合点だと、あやめ十八番が一番かな。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    すんばらしかった。今年のベスト5には入れたい作品。
    昭和25年、日本初のテレビ実験放送が始まった日本放送機構を舞台に2人のアナウンサーを中心に描いた群像劇で、登場人物のすべてに思いを馳せずにはいられない。
    中野亜美さんは役名からしてテレビ草創期から今も活躍するあのお方を思わせる役で、劇中でアプレゲールと称される通り、新しい時代の希望そのもので太陽のような存在だった(ちなみに舞台上にも大きな太陽があり、これの使い方も面白い)。
    キャストは本当に全員よくてお一人お一人名前を挙げたいぐらいだけど、中でも結核を患うアナウンサー役の浜端ヨウヘイさんは声もよくて歌もうまくて一際印象に残った。本業はシンガーソングライターだそうで納得。
    吉田能さんによる音楽もとてもよく、ミュージカルだったらここで拍手が起きるのにと思うこともしばしば。ミュージシャンが役者としても登場するのもあやめ十八番の音楽劇ならでは。アンサンブル的立場の役者さんたちも粒揃い。
    本作は13日までの上演だけど既に土日は前売完売。残すは平日の6ステ(木曜は休演日)。予約は急がれたし。あ、配信もあるでよ。

    9月に東京芸術劇場シアターイースト(お久しぶりね〜)で上演される草創記『金鶏 一番花』も今から楽しみ。

このページのQRコードです。

拡大