音楽劇 金鶏 二番花 公演情報 音楽劇 金鶏 二番花」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
1-20件 / 22件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    浜端ヨウヘイさんの主演舞台「金鶏二番花」を鑑賞しました。
    舞台を観るのは初めてでした。

    舞台上のヨウヘイさんは、ライブで見てきた姿とは全く違って見えました。

    声を聴けばやっぱりヨウヘイさんなのですが、舞台を観ている間いつもより遠くにいるようにもすごく近くにも感じる瞬間がありました。

    ヨウヘイさんが歌い出すと一気に引き込まれ、舞台がヨウヘイさん一色になるのが印象的でした。

    私はこれまであまり演劇そのものに触れる機会がありませんでした。
    なので戦前と戦後が交互に描かれ次々と移り変わる場面、降り注ぐような歌やダンス、登場人物達のセリフに圧倒され、最初は目が回りそうになりました。

    でも作品が進み各々の人物像が徐々に浮き上がってくるにつれ、それぞれの人物が厚みを帯びていきました。
    今日初めて出会った人物一人一人が、話が進むにつれまるで昔から知っている仲間のように親しみを感じていくのが不思議な感覚でした。

    普段は口下手だけど誰よりも熱い情熱を胸に秘めている出雲、ぶっきらぼうで粗野だけど優しさを秘めている宮、大好きな太陽の光をを見つめ続けたいという願いが叶わなかったペケ美。


    自分の言葉が多くの人の、そして息子の命をも奪ってしまったことで自責の念に苛まれ続けた河内。


    自分の作り出したものが、誰かの大切なものを奪ってしまったことに葛藤し苦しむ金原。

    それぞれが見ている蜃気楼の中に、自分だけの金鶏を見つけようと必死に生きている姿に心を打たれました。

    全ての登場人物に幸せになってほしい、あんなに辛い戦争を乗り越えてきて幸せにならないなんておかしい、と心から思いました。

    また時に言葉は人の生き方を左右するほど大きな影響を与えることがあると改めて感じました。

    河内が語っていた学徒出陣の際のエピソードのように、人の命を奪いかねないほどの刃となることがある一方で、人を絶望の淵から救い出す力もあります。

    サナトリウムでハナに宮が「あなたの松明になりたい」と言ったことが、兄を永遠に失ったことを知りまた自身の身体の状態のことで希望を失っていたハナ自身に、どれだけ希望を与えたのだろうと思いました。

    ヨウヘイさんの、宮の魂の叫びに心が震えました。

    一ヶ月ほどでこんなに素晴らしい舞台を作り上げてきた劇団の皆さん、ヨウヘイさんの努力や熱意に圧倒されました。
    明日で終わってしまうなんてなんだかもったいない、もっと続いてほしいなと感じました。

    一生忘れられない、素晴らしい経験をさせていただきました。ありがとうございます。

    私の中の金鶏とは何なのか、これから探し続けていきたいと思います。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    2回目。
    初回よりも面白く感じた。前回は金子侑加さんの老女の台詞がさっぱり聴き取れなかったが、かなり改善されていた。

    クリント・イーストウッド監督の硫黄島ニ部作『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』。アメリカ側と日本側に視点を分け「硫黄島の戦い」を映画化。アメリカが奪取後、日本本土空襲の発進基地となる重要な拠点だった為、地獄の激戦に。
    今作も『金鶏 二番花』『金鶏 一番花』で全体像が完成するように作られている。その為の伏線であろう台詞も多い。

    ここは本当に凄い才能が掛け合わさっていく様を体感できる場。居合わせることの幸運。作家(堀越涼氏)の見ている先はもっととんでもない場所だろう。本当に前人未踏の領域へ。

    ネタバレBOX

    2025年、NHK放送100周年を記念して黒柳徹子と先輩である宮田恵美(河口恵美子)が思い出を語るトーク番組。宮田恵美は亡くなっており、生きていても百歳を越えている為、1992年位の設定かな?と思ったが現在だった。そりゃ腰も曲がりゃ声もしゃがれる。

    ライターは消しゴム?、椅子はNHKと印字された箱馬、花束はメガホン、お菓子は紙テープ?、テーブルは脚立で見立てる。

    丸川敬之氏と浜端ヨウヘイ氏が天井から操るマリオネット劇。
    念仏を唱える母親(璃音〈りのん〉さん)を家に置きハレー彗星を見に外に駆け出す高柳健次郎(藤江花さん)。曲は「ハレー彗星から生き残れ」。幻想的な夜の丘を何処までも駆けていく宮沢賢治的名シーン。
    浜松高等工業学校に助教授として赴任し、学長(内田靖子さん)の訓示に心震わすシーン。その後、藤江花さんと内田靖子さんがタップを踏むのも決まる。

    金子侑加さんの姉(高岡由季さん)は帝国放送効果団のアコーディオン。

    宮内國郎のウルトラマン調「ピストルと大砲」。

    浜端ヨウヘイ氏は声が上田晋也と富澤たけしっぽくもある。左肩を痛めているのか湿布。
    サナトリウムで浜端ヨウヘイ氏が起こした騒動、ラジオから流れてきた曲(「僕の可愛い妹よ」)を「この曲好き!」と歌い出して内田靖子さんが治める。この曲が良い曲で、河西美季さんが歌う妹・中野亜美さんへの歌に繋がる。

    照明技師の武市佳久氏と田久保柚香さんの悲恋。「恋は日光網膜症」も良かった。

    「特効野郎!ストレプトマイシン」は『ゴジラ対ヘドラ』の名曲「かえせ! 太陽を」を思い起こさせる出来。サナトリウム看護婦トリオで決める。織詠(おりえ)さん、藤江花さん、古川和佳奈さん。

    ラストの紅白メドレーは前回よりも曲数が増えていたと思う。作品を彩った歌のリフレインは上手い。

    神宮外苑で行われた「出陣学徒壮行会」を実況した井上裕朗氏。その中に愛する息子もいた。隠れて酒を飲んでやり切れない思い。ビルマで戦死した息子。戦後も酒に溺れる。彼の存在が作品の柱になっている。

    スマトラ島は石油など天然資源が豊富だった為、爆撃されず。そこで見た蜃気楼。

    当時のテレビのイメージは街頭テレビに群がる人々と力道山。今作に足りないのはテレビのイメージ。ラジオ番組の印象の方が強くなっている。

    井上裕朗氏、内田靖子さん、田久保柚香さんの方が物語の引きが強い。

    「遠くまで届ける為にテレビはあるんだ。きっと向こう(あの世)にだって届いてるよ。」
    「人生は生放送。」

    鴻上尚史でお馴染みのOpus「Live Is Life」を思い出す。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    感想はネタバレboxに書きます

    ネタバレBOX

    まずはじめに、果たして中野亜美さんは元々徹子のモノマネが出来たのか? 中野亜美さんの特技を聞いたことないので分からないのですが、もし特技に書いてないのであれば、今後は書いた方がいいと思いました。 そしてメイクはそのままで、背中と声色だけで年齢を変えてしまう金子侑加さんに驚異しました。あの座り方はまさにおばあちゃんでしたし、時々寝そうになってるかのように見える動作もリアルおばあちゃんって思いました。 で、その後おばあちゃんから若い女性に変わっていくのがまた凄かった! この舞台で凄く印象的だったのは影なんです。 この二人が話してるシーンに出てくる影は、多分、奥に別の役者さんがいて、照明で映し出してたんだと思います。 でもその後のいくつかのシーンは、舞台上にいる人たちを前から照明役の役者さんが映して、影を大きくしたり、小さくしたり、斜めにしたりと色々やっていて、私は途中からその照明役の役者さんの動きから目が離せなくなってしまいました。 演じるのは武市佳久さん。あやめ十八番ではおなじみの役者さんで、これまでもいくつかの舞台を拝見したことがあります。 その中でも今回の役は本当に印象的でした。 こないだの7月5日になにかあるという話のように、いつの時代にもそういう予言のような話はあるのかもしれません。 今では待ってる人が多いハレー彗星も、昔は隕石が落ちて空気が無くなるかもという恐怖の対象だったみたいです。 このシーンの照明も本当にきれいだった。 走る男の子の躍動感と、流れる星空と人々が本当に印象的でした。 反戦歌の『愛おしいもの』 生きて帰ってくると言うと責められた時代。国の為に死んでくるということが褒められた狂った時代。この曲のように誰が見ても反戦歌とわからない反戦歌がこの時代にも作られてたかもしれないと思いました。 テレビが始まったばかりの頃の照明が凄くきつくて暑かったという話は聞いたことがありました。 そのため出演者の人はメイクを濃い目にしてたという話がありました。話の中で照明で人形が燃えるシーンがありましたが、日焼けしたり、人によってはヤケドしそうになるほどキツイ光だったのかもしれません。 照明を見続けたことで、日光網膜症という病気にかかってしまい、このままでは失明してしまうかもということで仕事を辞めるアナウンサーの役を演じたのがこれまたあやめ十八番でおなじみの田久保柚香さん。 田久保さんって毎回ビジュアルと声色が凄く変わるんですよ。 しだれ咲きサマーストームの時はコミカル、百夜車の時はちょっとパンキッシュ、そして私が息をのんだ六英花朽葉。毎回え?同じ人?って前の舞台のパンフレットを引っ張り出して見ちゃう。 今回の役は最初は可愛くてドジっ子みたいな感じでしたが、話が進むにつれおちゃらけていたように見えた彼女が、何に対しても一生懸命な努力家で、武市さんに片思いしてるのかと思ったら実は両思いだったのに、別れを選ぶ姿に涙が止まりませんでした。 『恋は日光網膜症』という曲は、曲もいいんですけど、武市さんと田久保さんの歌声が凄くいいと思いました。 この二人のことを書いてると永遠に書けてしまうので、ここでストレプトマイシンの話に移りたいと思います。 ストレプトマイシン?それは結核の治療薬の名前でした。 当時日本では結核は死の病と言われていて、結核にかかった人は、サナトリウムと呼ばれる療養施設に行ってました。 太宰治の小説にサナトリウムに行って看護師に恋をする話とかありましたね。 でもここでの治療は、どう考えても余計命縮めてない?って治療法が多くて、とりあえず空気の良い海の近くにある施設(海風が身体に良いと思われてた)で、海風にさらされるというものでした。 冬の寒い時期も窓を開けて海風が病室に入ってくるようにしてたそうで、結核から肺炎になって死んだのでは?誰?この治療法考えた人?って思います。 そんな治療法だったので治る人は少なく(多分治った人は治療のおかげじゃなくて自然治癒だと思われる…)そこに現れたのがストレプトマイシンという薬。でもこの薬は劇薬だったので、長く結核にかかっていてすでに体力が無い人は、逆に命を縮めてしまうものだったのでは?と思われます。 これで患者さんたちを助けることが出来るかもしれない!これまで数多くの患者を助けることが出来ずにいた看護師さんたちの喜びが現れた『特効野郎!ストレプトマイシン』 名曲過ぎた…そしてまるで戦隊ものを見るかのようだった…。 もう途中から看護師の白い服が赤とピンクと黄色に見えた…。 涙の後のまさかの曲だった…。 本当にめちゃくちゃ泣かされてめちゃくちゃ笑わされた舞台でした。 毎度おなじみの出演者さんもいれば、はじめましての方もいましたが、前々から思っていましたが、今回の舞台を見て私は確信しました。 堀越さんて、声が良い人好きですよね? というか声良くないとあやめ十八番の舞台出れませんよね? 今回初めて見た桂憲一さんと鈴木真之介さんの声を聞いて、絶対そう!!って思ってしまいました(笑) 秋にやる一番花、池袋でやると聞いてもしや!と思ってましたが、そろそろ劇団側から発表あると思うので黙っておきます(笑) 今年があやめ十八番にとって素敵な年になりますように。これからも素敵な舞台を楽しみにしています。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    歌、踊り、秀逸でした!舞台装置がまた、素晴らしかったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    またあやめが名作を作った。
    楽前日に観たことを後悔した。もう一度観たかったからだ。
    いつもとテイストの違いがあったが、新境地を開いたという感じ。
    達者な役者の熱量とストーリー展開のたくみさで3時間弱のお芝居があっという間。もっともっと観たいと思った。
    全ての登場人物に愛着が湧き、全ての音楽に心を揺さぶられた。お見事。私は早稲田大学時代から金子侑加さんフアンだが、どんどん演技がうまくなりどんどん魅力的になっている。ベテランアナウンサー役の井上裕朗さんがいい味を出していた。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    まず、今回のセットが秀逸。音楽隊の使い方も上手いし、冒頭のシーンから舞台への導入もスムーズ。楽曲の中には歌詞が聞き取りにくいものが幾つかあったが、ロビーで歌詞カードを配っているので助かった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/07/12 (土) 18:30

    座・高円寺を贅沢に端から端まで生かした舞台演出で良かった。
    テレビ創成期に起きた様々な人間模様が悲喜こもごも表現されていて素晴らしかった。
    音楽隊との親和が良く、楽しんで観ることが出来た。
    9月の舞台も楽しみにしています。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    鑑賞日2025/07/12 (土)

    ステキなシーンは所々あったけど、全体的にはいつものあやめ十八番らしさがなかったように感じました。
    堀越さんが出演されてなかったのは大きいと思います。。 あの独特な声色や、はじまりの口上がなかったのは淋しいです。 

    ネタバレBOX

    "放送の原点を築いた作り手たちの信念の物語" とありますが、残念ながらそのへんがイマイチ伝わってこなかったかな。 アナウンサーが中心になってたような。 あと、アンサンブルの人たちがあやつり人形みたいになってた演出、どんな意図があったのか?わかりませんでした。  それから、はじめてのテレビを見た人々の驚きや喜び、感動みたいな反応が描かれてなかったように思いました。。 
    それと個人的には、ドラマでも映画でも、老人が出てきて若い頃の出来事を回想するっていうのが好きじゃないので……残念でした。。
  • 実演鑑賞

    昨年夏にたまたま見たこの劇団の夏芝居が、結構好感を持って楽しめたので、もう一度とでかけたら、まぁ、これは散々である。ガラにないことをやるものではない、いう好例である。
    よく知らないことを聞きかじりでやるものではないといってもいい。
    前回の舞台は東京郊外のその地域では有名な神社の境内にあるお土産団子屋の一家の話である。跡継ぎの話から、稼ぎ時の祭りの工夫まで外からは想像するだけで実際は知らない話が、素朴なホームドラマの笑いと共に並べられ、しかも教訓におちいらず描かれていて、客席も地域の観客も多く、いかにも高円寺の劇場に似合っていた。
    今回はテレビ創世記の放送局奮闘記である。放送局となると、国家機関である。名物団子が売り物の神社とはワケが違う。神社なら例えば、神主一家なら、周囲をよく見てドラマを書けばいい。前回はそういう実録ものの良さが出ていた。だが、放送局の主要商品がラジオからテレビにかわる時期となればその周囲は神社の比ではない。歴史が直に物語にはんえいsるからリアリテイのある場所設定をみつけるだけで大事である。それが出来ていない。仕方がないから、周辺図書の使えそうな逸話を探す。沢山でている。これは放送史、これは黒柳徹子、ここは井上ひさし、トよく知られているおなじみエピオードをを並べることになってしまうが、それでは辻褄が合わない。一番具合が悪いのは、テレビの創世記はラジオは既にメディアとして成立していたことである。そこを、創立者苦労物語で作ろうとして者だから話がヘンなことになってしまう。その辺は作者も気がついているようだが、基本知識がないのだから仕方買いそれなのにGHQの放送管理にまで話を拡げるから全く話の収拾が付いていない。もっと話を絞っていかなければ。

    ネタバレBOX

    もう一つ大ネタがあるなト思い出せないで居たら、夕べ思い出した。「南の島に雪がフル」ラジオで当たり、テレビで当たったが、もうみなわすれている。覚えているのは85才以上。あと10年もすれば、みな忘れているようなエピソードだから誹られることもなかったかも知れないが、こういうことはいつかバレるものである。確か東宝では舞台にもなった。小野田勇作。記憶というものは一つと陸地があると、ぞろぞろ出てくる。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    舞台の熱量と使い方に歌詞まで下さり
    歌への思いが伝わる作品でした
    長丁場ながらも先の展開が気になり
    飽きのこない時間を味わえました

    ネタバレBOX

    テレビジョン黎明期を担った歌手さんに
    当時を振り返って回想を語ってもらい
    それを時系列に沿って再現してく方式です
    チョイとお婆さん時の
    嗄れ声が聴き取り辛かったかな

    結核で吐血するシーンの
    小道具の用い方が巧みでした

    舞台の高さも十二分に活かして
    上の方も舞台として用いて
    右上には大きな円形の装置も配して
    ブラウン管みたいに影絵を映したり
    工夫も楽しめました
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    素晴らしかったです。
    舞台の使い方、お話の進め方、色々な小道具を変化させて何物にも見せてしまう技術、そして素晴らしい役者の方々ほんとに素晴らしかった。歌詞が心に染みいり何度も涙しました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    素晴らしいの一言に尽きる。とにかく,観劇後の満足感が半端ない。いつも思うのですが,あやめ十八番さんの芝居は,まず舞台装置が秀逸で,芝居がホント立体的で臨場感を創り出しています。特に,今回は前方の席だったので,役者さんが近いこともあり,芝居が迫ってくる感には芝居の醍醐味を感じざるを得ません。また,楽士さんの配置もその一つで,役者との兼務がスムーズでもあり,舞台造りの構想にはただただ感心です。さて,今回のこのお芝居,入り込むのにちょっと時間がかかりましたが,時代背景,物語が理解できると加速度的に面白さが増していきます。良く出来たホンだと思いました。そして,皆さん,歌も芝居も素晴らしく,演技に文句のつけようなどありません。とにかく,観劇の満足感があり,ちょっと事情により多くの舞台観劇が難しくなってきましたが,あやめ十八番さんの芝居だけは観続けていきたいと心に誓うほどの観劇でした。絶対におススメの舞台です。

  • 実演鑑賞

    テレビ黎明期とそれ以前を描いた群像劇。
    本格的な音楽劇。
    歌、踊り、演奏みんな見事。

    これだけ豪華な作品をこの入場料で上演したのは奇跡と思う。助成されているとはいえ。

    ネタバレBOX

    特にピアニストは演奏も上手い上に、演技も本物の俳優の演技。ただただ感心。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     オープニングの見事な演出は、一気に観客を演劇空間に引っ張り込む。いつもの生演奏の良さ、そしてよくぞこれだけ多くの歌の上手い而も演技もしっかりした役者を揃えたと感心させる。実力派あやめ十八番の面目躍如たる作品。観るべし! 華5つ☆ 脚本の良さは言うまでもない。

    ネタバレBOX


     舞台美術が一風変わっている。通常の板下手奥に当たる部分に生演奏楽団。ホリゾントには幕が掛かり袖の役割も果たす。その手前が長尺の板。この板のセンターに階段が設えられ手前に丁度先に挙げた板に相対するように半分程の尺の板が中央を開けて組み立てられており、これら長短3つの板の間に一間程の可動板が各1つ設えられている。階段手前の隙間には場面によって照明機材や撮影機材が置かれる。また奥の組み立て板上手天井から直径4mはあろうと思われる巨大な円形蛍光装置(これは場面によって太陽の象徴としても用いられる)のような物が下がっている。時代は太平洋戦争から敗戦後GHQの支配体制が終了する頃迄。即ちラジオからTV草創期に掛けての時代だ。
     現在のような録画放送主体と異なり生放送、生放映準備期から開始迄の時期である。坩堝にカオスを仕込んだような現場は時代と価値観の大転換期で初の試みも多く技術的にも新たな民生技術が開発されるようになって人々の心は沸き立っていた。無かったのは資金や戦争で失われた人材であった。その為、現場スタッフ個々の負担は重く泊まり込み等も日常だったが仕事への熱気だけは旺盛であった。更にアプレゲールの波に乗って個性的な女性が漸くその価値を認められ始めた時期でもあった。だが一方で戦争中に挙国一致政策を採る国策下、数万の学徒動員兵に激を飛ばす任務を負わされ、息子を含む未来ある若者たちを死に追いやったと生涯苦悩する名アナウンサーら戦中から活躍していた花形スタッフの耐え難い苦悩が渦巻いていたことも忘れてはならない。
     ところで金鶏は天界に棲む金の卵を産むと伝えられる鶏であるが、この金鶏が鳴く声を合図に地上に暮らす鶏たちが明けの聲を一斉に挙げると伝えられており、勅命で金鶏を捉え金の卵を産ませて国富を増すという話もあったとの話迄出てくる。事の真偽は兎も角、フランスの国鳥は時の聲を挙げる鶏だ。人々の湧き上がる念を象徴するかのような鶏の鳴き声に先行きに期待しようとの念が象徴されるのも道理かも知れぬ。
     今作には幾つかの恋と宿命が紡がれる。一つ成就した目出度い恋はスマトラ戦線に派遣され現地で催された演芸会で歌舞伎の白波五人男を観、そのスマトラで味わった握り飯の余りの旨さに命を失うことに初めて恐怖を覚えた出雲 幹とその素敵なラブレターに応じ結婚したNHK放送団第一期生の喜代子。悲恋に終わったのは、幹と同期のNHKアナウンサー宮 義勝。彼は新番組決起を誓った席で吐血、左肺に大きな影が映るほど重い結核で倒れ由比ガ浜のサナトリウムに収容されたが、このサナトリウムでのもう1人の重病人・ハナに出会い恋に落ちた。空気だけは良いが、治る希はほぼ無く唯何もできずに生きる生活は極めて耐え難いものであった。そんな中、重病人であるハナはあくまで明るく人々に接し、光り輝いていたのである。そして彼らの療養中にアメリカで結核の特効薬・ストレプトマイシンが開発された。不治の病、業病と恐れられた結核治癒の可能性が出て来たのである。然し劇薬ストレプトマイシンが効果を挙げたのは宮のみであった。二人は結婚式の衣装を纏い出雲がライカで撮ってくれた写真に納まることはできたが添い遂げることは出来なかったのである。もう1つ、明確な恋になったかも知れない宿命の出会いがあった。以下でそれを記そう。
     正式にTV放送を始める前には準備期間が設けられこの期間中は本番同様1万ワットの照明を出演者に当て撮影に臨んでいた。それほど強い光を当てなければTV画像として放映できる像が撮れなかったからである。この為被写体として映される女性アナウンサ-・美濃 明美は角膜を焼かれ遂に現場を去る悲劇に見舞われる。照明技師・歌井 東吉は美しく撮ってやりたいと願いその為に必要な技術を駆使した。明美の目が痛い、涙が出る等の訴えは無視された。1万ワットの照明なしでは放映できる像を撮れなかった技術的問題があったことと、照明のプロとしての奢りもあった。がそれは明美の目を傷つけずにはおかなかった。無論この事例はTV草創期の悲劇の1つであり他に今作には描かれなかった多くの悲劇が在ったと考えるべきである。初めてTV映像を送信することに成功した第一人者・金原 賢三博士も草創期の技術の到達点がヒトを傷つけてしまうことに至ってしまったことを深い痛みと共に詫びているが、今作の名シーンの1つだろう。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白かったです。
    テレビ放送の原点を描いたストーリーで、その熱さに感動しました。
    生演奏、歌やダンス、パントマイム、時代を感じる衣裳等、目も耳も楽しめる内容で、何とも贅沢でした。
    役者さん達の演技も素晴らしく、浜端ヨウヘイさんの声が何とも魅力的でした。
    仕事への情熱、恋愛、友情、戦争、色々な物が詰まった素敵な舞台でした!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    日本のテレビジョン実験放送に関わる人々の努力と奮闘の群像劇。公演の魅力は、舞台美術を駆使し、当時の状況を音楽を交えテンポよく展開する。休憩含め約3時間近い物語だが、飽きるどころか 目が離せない。物語は色々なエピソードを盛り込んでいるが、それらが緻密に連関していく。それを観(魅)せる演出も手が込んでいる。

    本作は「金鶏 二番花」となっているが、9月には「金鶏 一番花」(池袋演劇祭参加作品)が予定されている。本作で、日本テレビジョン開発 第一人者の金原賢三がどうして これに取り組むようになったのか、その理由を語っている。その金原に焦点を当てたのが「金鶏 一番花」で、本作と併せ壮大なテレビの物語が紡がれるようだ。

    物語は、NHK放送劇団・第一期生の老女が、後輩・五期生の女性のインタビューを受け、テレビ放送の黎明期を回想する形態で進む。技術も人材も未成熟で、試行錯誤の繰り返し。しかし 気概と活気に満ち溢れていたことが窺い知れる。そこには戦後の復興を願う人々の姿がある。
    (上演時間2時間45分 途中休憩10分) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は 回廊のような作りだが、真ん中の空いている空間も上手/下手から舞台板を動かし情景を作る。正面は幕、所々にあるハンガーに衣裳が吊るされている。NHKと刻印された箱馬、TVカメラや照明機材。上手の天井には傾いた円形(パラボラアンテナ風)。会場の高さも利用し、別空間を作る。ちなみに円形は太陽やブラウン管を表しているようだ。
    下手に帝国放送効果団の演奏メンバー(ピアノ、アコーディオン、ファゴット、パーカッション、クラリネット)。上演前は設営音や喧騒が聞こえる。

    金原が子供の頃、ハレー彗星の接近により地球滅亡といった噂が流れた。彼は 母に死ぬ前に何がしたいか尋ねた。「歌舞伎がもう一度観たい。(浜松から)東京へ観に行くにはお金がかかる。歌舞伎の方からこっちに来てくれれば」と。そして東京高等工業学校の入学式で恩師から「金鶏は無限に金の卵を産み、国の何処かに埋めた。国が危機に陥った時それを掘り出せ・・その金鶏が埋まっている場所は君達自身の胸の中だ。それを掘り出して国を救え」と、勿論アイデアのことであろう。

    室内撮影は、光量が少ないとキレイに映せない。その熱量のため部屋は暑く、しかも人手不足でアナウンサーが映像関係の仕事を手伝っていた。スーツを脱ぎ下着姿で 上階から人形を操る姿が、滑稽であり奮闘でもある。この操り人形のパフォーマンスが秀逸で、無表情で、目だけは大きく見開き踊る。しかし強い照明光のせいで目を傷め、仕事を辞めざるを得ない といった苦悩もある。さて 幕に映した操り人形のシルエット、いろんな角度から映すが、それはテレビ撮影技法であり、ブラウン管のモノクロ映像。

    多くの人に言葉を伝える仕事 アナウンサー、そのマイクを前に忸怩たる思いが甦る。戦時中、学徒出陣で戦意高揚をするような言葉を発した。また戦地で銃を撃った人間が人前で放送できるのか、そんな苦悩が付きまとう。一方、GHQの文化担当部署であるCIEとのテレビジョン放送を巡る議論が興味深い。今後の方向性について、CIEの意向を尋ねるが、先方からは自分たちで考えること。そこに敗戦国としてではなく自立を促すような示唆。戦地スマトラで、慰問のために行った素人芸の「白浪五人男(浜松に縁)」、しっかり日本の伝統芸能である歌舞伎が出てくる。

    素人芸でも人の心は動かせる。この発想が、ラジオ放送 紅白音楽試合になり 今の「NHK紅白歌合戦」に続く。毎年 大晦日に行い続ければ、それは「文化」になる。CIEから敗戦国が「合戦」などと苦言を呈されるが、そこに黎明期の人々の気概を示す。
    音楽劇として全16曲、希望者には歌詞が配布される。音楽劇だから、場景に応じて合唱や独唱で聴かせる。特に出雲喜代子役の金子侑加さん と 黒柏繭役の中野亜美さんは印象に残った。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    前作「雑種・・」を観た同じ座・高円寺の広いステージで、前回は対面客席だったが今回は通常の一方向観劇。TV画面を覗く構図に似つかわしい。横に十一間、奥も六間はある。舞台ツラから二列目かのステージ台を両脇を残して外し、中央の一つは一列目も外し、上手下手両側に一間四方の台が可動式の台として場面ごとに動される(人一人が引っ張ったり押したりで動く。高さ1M程度だろうか)。その向こう一、二間あたりには巨大な白いレースが吊され、その手前全体がTVスタジオ、周辺の照明機材(本物)も舞台装置に馴染んで溶け込んでいる(照明係りの役が一度それを使う場面がある)。レースカーテンが切れた上部、客席からは遥か上を見上げる格好だが、キャットウォークにも人物が動く。実験放送に着手したNHK(日本放送機構)を管轄するGHQの下部機関CIE(?)の日系人トップが君臨するように歩く姿、またスタッフが糸操り人形を手板で操ったり・・。
    上手のシーリング近い高さには太陽のようにデカいパラボラのような円の物体が吊るされ、ぼんやりと白く光る(これは照明を当ててそう見せている)。楽器隊は下手奥。Key、Dr、accord、ファゴット?、tpが入って五重奏と贅沢。
    「音楽劇」と謳うだけあり、普段のあやめ十八番も生演奏の劇伴は劇全体に及ぶが、その比でなく、拍手ものの華麗な(レビュー曲のような)楽曲から、涙ものの胸熱の歌、他バリエーションはミュージカル並み(音楽劇との名称は控えめに感じる)。
    C/Dの分数コード(の短三度上げ)のノリ(これは言葉で説明できん)が冒頭でポロリンと流れた時は「ほーらTVだよ」と無理に盛り上げ話に付き合わされる訳じゃあるまい、と一瞬警戒したがすぐに解消。戦中の回想をまじえた終戦直後が舞台のTV黎明期の話が、ありきたりにならず、戦争を都合よくドラマに利用しておらず(これには観客それぞれの感覚があるだろう)、史実を踏まえつつも遊び、と言って飛躍し過ぎず、芝居が紡がれていた。
    自分はドラマの「甘さ」に敏感(否定的な意味で)なたちであるが、音楽的表現はそれを凌駕する事がある。これを勘案したらお釣りが出るほど高評価に値する舞台。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    熱のこもったテレビ放映作成の物語でした。

    ネタバレBOX

    テレビ放送を作るために、たくさんの人の努力と奮闘があったことがよく伝わってきました。舞台を幅広く有効に使い、とても効果的な生演奏の音楽、そして歌、印象に強く残りました。あまりの感動に、自分の気持ちと頭の中がまだ整理できていません。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    第一幕80分休憩10分第二幕85分。

    時代は1992年だろうか?NHK放送劇団一期生の老女がNHKスタジオで後輩の五期生の女性タレントとトーク。日本のテレビ放送の歴史を振り返る特番のようだ。亡くなった旦那は日本を代表する名アナウンサーだった。思い返せば時は1950年(昭和25年)11月、NHKは週1回だけ1日3時間の定期実験放送を開始。それを日本橋三越の会場にて一般に公開。先は何も見えないがあり余る情熱だけはスタジオ中に満ち満ちていた。

    織り込まれる戦時中のNHKラジオ局でのエピソード。詩を募集し選ばれたものに曲を付けて歌にする番組。そこに送られてきた「愛おしいもの」。時局柄、反戦歌として検閲される恐れもあった。だが金子侑加さんがその歌を歌うことで人々の運命が動く。

    MVPは内田靖子さんだろう。やるな。
    浜端ヨウヘイ氏はイケメンの諏訪魔(全日本プロレスのレスラー)みたいでカッコイイ。本職は歌手なので流石の歌声。
    中野亜美さんの多彩な表情は昔から『おはよう!スパンク』を連想する。金子侑加さんとの二枚看板までになるとは。
    田久保柚香さんは必ず胸に残る存在。巧い。

    黒柳徹子の話を思い出す。養成所時代、アメリカからNBCのプロデューサー、テッド・アレグレッティが技術的な指導の為来日し講演。「今後テレビは今世紀最大のメディアになるだろう。いずれ世界中のあらゆるものを見ることができるようになる。使い方次第でテレビは人々を幸せに導き、世界に永遠の平和をもたらすことができる」。その言葉に感銘を受けこの仕事に誇りを持ってやってきたと。

    もの凄いボリューム、一回だけじゃ物足りない。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    第一幕が描き込みや仕掛けが多過ぎ、ごちゃごちゃして何か世界に入りづらかった。クリストファー・ノーランの映画みたいな情報量。それが第二幕は嘘のように全てのエピソードが綺麗に澄んでクリアにされる。流石。凄い魔法。成程。

    日本のテレビの父、高柳健次郎。今作では桂憲一氏演ずる金原賢三。9月に演る『金鶏 一番花』の主人公でもある。
    彼がNHKスタジオでインタビューに答えている。「何故、テレビを発明しようと思ったんですか?」
    思い起こすのは11歳の頃、ハレー彗星の接近で地球上の空気が吸えなくなり窒息死するというデマが飛んだ。パニックに陥る民衆。帰宅した高柳少年は母親に死ぬ前に何がしたいのか尋ねる。「そうね、歌舞伎がもう一度観たいかしらね。東京まで観に行くにはお金がかかり過ぎる。歌舞伎の方からこっちに来てくれればいいのに」。
    日本中に伝わる金鶏伝説。天上に住む金の鶏は無限に金の卵を産む。それを捕まえた者が国の何処かに埋めたという。国が危機に陥った時こそそれを掘り出せと。工業学校の入学式、胸に残る恩師の言葉。「その金鶏が埋まっている場所は君達自身の胸の中だ。必死になってそれを掘り出して国を救え」。
    人形劇でその少年時代を再現するのだが、演じている藤江花さんのパントマイムが凄かった。勿論他の方も。

    使う小物をスタジオの道具で見立てる。煙草は白い鉛筆、葉巻はマジック、湯呑みは養生テープ、ベッドは脚立。そして吐く血は赤鉛筆の束。

    円谷プロの特撮モノのような曲やヒーロー物の「特効野郎!ストレプトマイシン」の振付にやられた。

    高橋圭三、宮田輝、和田信賢、藤倉修一、河口恵美子、黒柳徹子などがモデル。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    毎度素晴らしい作品を見せていただけるあやめ十八番さんのミュージカル調の舞台の初日を拝見。テレビ放送草創期に携わる人々の苦難と情熱、時代を切り開いていく圧倒的なパワーを堪能しました。必見です。必見。

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