満足度★★★
片桐はいり演じる仁科というすごい母親。
池袋の東京芸術劇場を訪れた。かつて,鶴屋南北戯曲賞をとった作品は,かなりインパクトのあるものだった。本谷有希子は,この『遭難』をどのようなプロセスで完成させたのか,そして,今回再演したのだろうか。
四人の教師が,モンスターな母親・仁科と格闘するような話であるか,のような印象から物語はスタートする。この母親は,江國という若い女性教師を攻め立てる。わが子が,意識を回復しないのは,アンタのせいだ!。しかし,あとでわかって来るが,この母親は,子どもを虐待していて,それが,きっかけだったかもしれない。
江國は,たしかに仁科君から告白されたこともあった。もしかして,失恋のショックだったかもしれない。しかし,話の骨格としては,主役である里見という国語教師が,仁科君から,相談の手紙を受けていたのだ。同僚のきまじめな石原は,その事実を知っていたのである。里見は事実を,インペイをする。石原は怒る。
里見がすごいのは,さほど罪もない不破という軽薄な男性教師までも,今回の事件にひきずりこんでいく。びっくりするのは,唯一良識もありけがれもなかった石原は,ほとんど「弱み」がないことゆえに,全員の標的になりかけることである。これが,社会の真実ならば,そこに救いはないだろう。気の毒である。
一方に,片桐はいり演じる仁科というすごい母親。それに対して,里見というずるい人間がいる。里見のような人間も実際たしかにいるだろう。ただ,その人間には,その人間の歴史があって,もはや性格やら,主義は変えようもない。一番苦しみ,一番かわいそうなのは,里見だったりする。その里見に世界は崩壊させられるのか。
満足度★★★★
個人的には
良かったと思いました。代役としての菅原さんの演技も好きでした。
菅原さんのファンになりました。このトラウマや自意識というのがどこか自分に投影されているような気になってしまうのがさすが本谷有希子作品と思いました。他の役者さんの熱演も凄かったです。
サンプルでの松井さんの演技も観てみたいなと思いました。
ただやはり女性での里見役が見てみたいなと思いました。
勉強になりました。ありがとうございます。
満足度★★★
本谷節と女優
本谷さんの劇は相変わらず、人の痛いところというかエグいところを突いてきますね。本谷節健在といったところです。
たいつもの本谷作品の「それでもスカッと終わる」劇ではありませんでしたが、それでもよく出来た作品だと思います。
ただ、やっぱり主人公を男性にしたのはちょっと失敗だったかなーと。途中までは女性と思い込んでみていましたが、最後は男性に戻ってしまい、一瞬で興ざめしてしまいました。
満足度★★★
「エグイ」。
思わず出る言葉は「エグイ」だった。
人の嫌な面をさらして見せるような展開が、凄かった。
閉鎖された人間関係の中で事件が起きて、その空間の中で捻じ曲げられて繰り広げられるゆがんだ論理。
次々に人の弱味に付け込んで広がっていく。
しかしその中に浸かってしまっている人間は、納得させられてしまう。
凄い内容だった。
さて本作は、初演の時に見逃してしまったため、今回は先行予約で確実にチケットゲットして
待ち臨んでいたところ、何と直前に主役の黒沢あすかさんが病気で降板!
しかも代役が男優という異例の展開!
両面オールカラーの本チラまで、新主役で作り直されるという力の入れ具合はさすがと思ったが。
やはり、女優が演じた場合と、男優が演じた場合では大きく意味が変わってしまう。
主役降板を逆手にとって、ならば再演ながらも全く新しい作品にしてしまおうと
前向きに考えたのかもしれません。
しかし、直前で別の女優はやりにくい?から、いっそのこと男優にしてしまえと
飛び道具を出してきたような…感じです。
本音を言うとやはり、黒沢あすか さんで観たかった。
きっと、もっと『エグイ』出来になったに違いない!
満足度★★★★
観た
賞を取っているだけあって、脚本がとても面白いくて、力強い。
引き込まれた。2時間強あっという間。
代役を男優にしたのが良かったのかも。
菅原さんは大変だったと思う。
面白かった。
初、劇団、本谷有希子
ずっと気になっていた、『劇団、本谷有希子』やっと観劇できました!
降板になってしまった女優さんの代役を男性のかたがつとめると聞いて
ビックリ&ワクワクしていましたが、意外に違和感なし(笑)
保護者役の片桐はいりさんが、とってもおもしろかったです!
出演者みなさんのキャラがたっていて、気をぬけない2時間でした。
シリアスな展開なのに、笑いどころがたくさんあって…
斜め前の席のマダムがツボってしまったのか、ずっと爆笑してました。
本谷流シリアスコメディ、楽しませていただきました!
満足度★★★
きもいな~
狭い職員室での演技、濃いですね~。里見は相変わらず気持ち悪い性格でした(笑)人間の素性が出れば世の中の人間、里見みたいになるのか?と思ってしまった。
満足度★★★★
濃い時間
本谷さんの描くエグイ女がけっこう苦手で。少ない登場人物で繰り広げられる濃~い人間世界は大好きなんですけど。でも今回は女教師役が男性だったことで(まさかの菅原永二さん!さわやか時代が懐かしい。。。)軽さが出ていて、個人的には有りがたいと思って観ておりました。役者さんが皆良い!はいりさんと松井さんのやり取りは、カメラマンも撮りながら笑っていました。(撮影日でした)
満足度★★★★
劇団、本谷有希子「遭難、」
面白かった。中学校の職員室での教師と保護者のてんやわんや。不謹慎な笑いを手練れの俳優陣が手堅く決めて行く。ベロリと剥けるように本音が露呈し、目まぐるしく状況が変化するのがスリリングかつ滑稽。舞台を覆う壁のおかげで、私の心の中の話と思えた。約二時間五分。
満足度★★★
遭難は好きです。
初演を拝見したている好きな戯曲。
やはり里見は凄いと思いますが、主演降板の影響はありましたね。
好きで女性役も得意な菅原さんだ代役を務めていました。
佐津川さん松井さん美波さんも良かった、
それでも空気が軽かったんですね、菅原さんの女装自体は
普通面白くみてしまってるので、篠井さん位違和感ないならOKだけど
こればっかりは仕方ない事かな、面白いのは確かなので初見はお勧め
満足度★★★★★
劇団、本谷有希子「遭難、」観ました
名古屋で三年前に、地元劇団が公演した舞台を観てます(オリジナルにかなり参考にしたと思われる、上質な舞台でした)。
今回の本谷再演版は後ろのほうの席で観たけど、キャストが皆、独自の魅力を持って役にハマっている。代役の菅原さんも、すり切れた感じの里見が意外で新鮮。
仕掛けとしては、あの「壁」によって芝居と観客の距離感が変わるのが面白い。回想シーンの閉塞感もラストの微妙な解放感も、視覚的にぴったり表現。磨りガラスに映るシルエットも、存在への想像を刺激。
順を追って薄皮が剥がされるサスペンスドラマは、筋を知っていても見応えあり。私にとってはやはり、これが本谷さんの代表作です(回想シーンで泣いた男。身に覚えあり…)