世界の果て 公演情報 世界の果て」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.6
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★★

    圧倒された
    建て込み一切無し。照明、音響、小道具、衣裳、そしてキャストも最小限。なのに圧倒された。シンプルを極めたあの空間で、あんなにもグロテスクな世界観を作り出せるとは。そして、ルデコのあの大黒柱をよく活用していると思った。
    作品の印象としては、やや朗読劇に足を突っ込んだかなというくらいの芝居だった。原作の地の文を、あれだけの場転の中で溶け込ませながら朗読することは至難の業であっただろうに。さすがである。全体の評価としては、チケット代の2倍は払っても後悔しない舞台であったと思う。
    しかし原作が原作であるため、途中のシーンではやや伝わりづらい表現があったり、単調な部分があったのが玉に瑕である。やや高度な解釈を観客に任せる点も見受けられたので、やはりとても難しい小説だったんだと思った。

  • 満足度★★★

    圧倒的な世界観にとりこまれる
    非常にシンプルな構造のステージ。
    終始演者の演技力の高さ、そして演出の美しさに目を奪われました。
    役者の汗が飛んでくる距離感での観劇は久しぶりで、
    4人の演者が所狭しと動き回る、躍動感にあふれる演技に圧倒されました。

    この方々には青山円形劇場の様な、広く、全角度から見渡せる演劇場を使っていただきたい。
    魅力が余すところなく伝わるような気がします。
    (ちなみに体はぶつかりました…どきっとしました、笑)

    空間の使い方も非常に巧みで、特に傘を使った演出が素晴らしかった。道具としての用途は勿論、音となり、形となり、時に心情を表す。寒気がするほど素晴らしかった。OHPも小学校以来目にしました。用途が気になり、思わず舞台ではなくOHPの操り具合を見てしまうシーンも多かった(笑

    ネタバレBOX

    私が女性だから感じただけかもしれませんが…
    紅一点の存在に良くも悪くも違和感を感じました。
    男性3人がそれぞれの個性を出しながらもまとまっているにも関わらず、
    女性のみひとりどこか浮いているような…声質のせいかもしれませんが。
    あえて違和感を感じさせる演出だったのであれば文句なく。
    ただ、4人で台詞を重ねているシーンや体を動かすシーンが
    どうしても女性一人が浮き気味で気になりました。
    統一感のなさを狙った演出?それとも?

    ストーリーは最後まで?と頭にクエスチョンマークが浮かんでしまい、
    やや消化不良気味でした。
    なにを伝えたかったのか…分からず。
    原作未読ですので、これを機会に読んでみて、改めて舞台を思い返したいと思います。

    どうでもいいのですが…映し出された「macci」という単語の表記、
    これは突っ込みどころ?笑いどころなの?と
    思わず吹き出しそうになったのは私だけだったのでしょうか。
    シリアスシーンでのスペルミスに一瞬脱力、現実に引き戻されました。
  • 満足度★★★

    楽しめました
    アクションリーディングのような形式なのでしょうか、ストーリーはちょっとシュールでわかりにくい所もありましたが、ダンスをまじえた凝ったアクションは印象的でした。オーバーヘッドプロジェクターの使い方が巧みで、こんな効果があるのかと、すっかり感心してしまいました。

  • 満足度★★★★

    不思議な時間をいただきました
    プロジェクターと蛍光灯を使った光と影の演出が素敵でした。
    役者がほとんど影で覆われる場面もありましたが、そんなときでも鮮やかでした。
    私は偶然、普段ならあまり選ばない入り口近くの角の席に座ったのですが、そこがちょうどプロジェクターの裏で、映像も役者もとても見やすかったです。

    役者の皆さんの動きや表情が、よく作られていて、不思議な世界を「体感」できました。

    原作は未読なのですが、このお芝居を見終わった後は、安部公房をはじめて読んだときに近い感じを受けました。

    上田桃子さんの無表情が魅力的でした。

    ネタバレBOX

    原作を読んでいないので、話の主題を誤解しているかもしれないのですが、捨てようとして捨てられずに自転車のカゴにのせてグルグル彷徨う、その死んだ犬というのが自分にとっては何なのかを考えさせられました。
    罪深い過去だったり、人に話せない恥だったり、面倒くさいしがらみだったり。
    結局は、捨てられないのかなーとか。
  • 満足度★★★★

    空間を創出する「あれ」の力
    昔、授業で使っていたあれが大活躍でした。

    原作は未読なので、
    その作品がどこまで舞台の空間とつながっているかは
    わからないのですが・・・。

    その空間に築かれたイメージは
    圧巻でした。、

    ネタバレBOX

    OHP(オーバーヘットプロジェクター)、
    齢がばれるかもですが学校では授業などで時々使われていて、
    休み時間などにはいろいろと遊んで先生に怒られたりもしていた
    定規とか、教室に置いてあったの水槽とか乗せたりして・・・。

    その遊び心が、極めてクリエーティブな
    創作の手段として舞台に生かされる。

    正直なところ、物語自体がわかりやすいものとは思わなかったし
    不条理というか織り上がるなかでの歪みに圧迫されたり
    針が飛んだように塗り替わるシーンのつながりもあって。
    にも関わらず、OHPを中心とした場の作り方や
    役者たちの身体が作り出す
    場ごとの印象がとてもクリアで、
    観る側を捕まえつづけるに十分な
    創意の連鎖があって、
    よしんば個々のシーンのつながりを見失っても
    舞台から目を離すことができない。

    そうして、積み重なったシーンが投げっぱなしにならず
    ループして作品に厚みが生まれ、
    その厚みがさらに踏み出して観る側を凌駕していく。
    中盤の時間が巻き戻ったような感覚が導く高揚や、
    終盤の闇への落下感、
    気が付けば
    生きることと死のボーダーが浮かび上がり、
    自分の立ち位置が滅失していて・・・。

    その感覚をOHPの作り出す空間が引き出し、
    揺らし、映えさせる。
    ナイロン100℃が使うような
    映像と演技の重なりに
    さらに、役者のオペレーションによる
    手作りの生々しさが加わって、
    精緻なだけにとどまらない、息遣いのようなものが
    舞台に織り込まれて・・・。
    これ凄い。

    たぶん作品の100%の理解には至っていないと思うのですが、
    観客として、ずっとテンションを持って
    想像力のリードを解き放ち、
    空間の色に染まることができました
  • 満足度★★★★

    クリスタルと熱
     中村 文則の小説「世界の果て」の舞台化である。中村と同世代の文学座同期生が中心となって旗揚げしたUNKSの演出、上村 聡史は、硬質な文体でヒトの暗部を見詰める中村の作風に興味を持っていたという。だが、演劇化に当たって、作品にエネルギーを注入し、これまで培い、経験を重ねて習慣化し殻になってしまった自分達の在り様を敢えて再検証してみようとしている。コンテンポラリーダンスの楠原 竜也を巻き込んだのもこのような理由からだと言う。
     当然のことながら、ここまで自覚的に自らの立ち位置を検証し、創作エネルギーを習慣の検証に用い、解体された要素を、再度、構成することは、並大抵の仕事ではない。まして、原作のテイストは、やはり守ってのことである。
     この難題に挑み、成功した舞台ということができる。洗練された演出は小道具の使い方、OHPの適切な使用法、鍛えられた身体に見合う抽象度の高い演技と話法、シンプルな作りで深さをあらわすことのできる知性の高さによって、観客のイマジネーションを掻き立てる。原作の突き放すことによって、ヒトの闇を描く手法にエネルギーを注入することに成功した質の高い舞台である。

  • 満足度★★★

    奇妙
    チケットプレゼントにて鑑賞。原作は未読。

    ネタバレBOX

    部屋で死んでた見知らぬ犬を捨てにいく話とか、とある旅館で客が失踪する話とか。

    原作を再構成した舞台だけど、そのセリフが多くてちょっと疲れた。
    話というよりも、プロジェクタの光の照明とか、なんとも言えないダンスとか、そんなとこに惹かれた。特に終盤の水槽に文字フィルムを浮かべるの。文字をどう視覚化するのかって意味で、キラリと光ってた。

    「世界の果て」っていわれるとそんな気もする。
  • 満足度★★★★

    ユニークなスタイルの
    ライティング、演出で楽しみました。演出というより、方法論の違いかな?こういう劇は初めてで、でも今まで何で見たことなかったんだろう、と不思議に思った。語りを中心にパフォーマンスを加えながら場を構築していく方法で、ストーリーに深い関係を持つライティングも面白い。ただ芥川賞が文学的であってもエンターテイメント性が薄いのと同様に、こちらもきわめて文学的で昨今のエンターテイメント性を前面に持ってくる劇に較べるといささか退屈なのも事実。抑制のよく利いたパフォーマンスが更にそれに拍車をかける。どんなに動いても、声を震わせていても、どこかきちんと枠に収まっている感があった。どこかでドカーンとはじけても良かったかもしれない。

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