平成中村座 四月大歌舞伎 公演情報 平成中村座 四月大歌舞伎」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.6
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★★★

    おゆきは誰?(小笠原騒動)
    と、とにかく思いました。

    歌舞伎で、こんなに活躍の場がある名子役さんを見るのは、久方ぶりです。

    もし、神様が、芝居好きな私に、「一度だけ舞台に立たせてあげるけど、何がいい?」と聞いてくれたら、「タイムスリップして、小笠原騒動のおゆきをやらせて!」とお願いするかも。

    そんな気持ちになるくらい、幼いながら、独壇場の演技でした。

    このストーリー、現代に置き換えても、きっとあちこちの会社とかで、実際にありそうなお話。

    でも、現代では、返り忠の忠義者は、いないでしょうね。

    ネタバレBOX

    のっけから、七之助さんの悪女っぷりが、凄まじい!

    自分の出世のために、恩ある養父を口元に笑みを湛えて、赤い帯紐で首を絞めていく様に、先日観た「お染の七役」からの進化を感じ、まずこちらにも笑みが浮かびました。

    一方、世話になった隼人への忠義一筋で、良助に惨殺されてしまう、仁義に厚いお早の役も、七之助さん、見事に演じ分けられました。

    たった数ヶ月で、役の演じ分けが巧みになられて、幼い頃から拝見している一ファンとして、至上の喜びを感じました。

    勘九郎さんの犬神兵部は、悪役を誠心誠意、懸命に演じているのは、わかるのですが、まだ若干、力みが強い感じがします。
    もう少し、余裕を持って、悪役を楽しんで演じられるようになる日を期待したいと思いました。

    扇雀さんの隼人、おかのには、共に、品格と色気があって、とてもこの芝居のリアル感を増幅させて、素敵でした。

    国生さんは、昔の光輝さんを彷彿とさせます。きっと、いい役者さんになられるだろうなと、こちらも楽しみ!

    米屋や酒屋、3人の取立て屋が、良助の娘おゆきの健気さに胸を打たれ、借金を取り立てるどころか、逆に、着ていた着物を譲って、襦袢だけで、帰る場面、笹野さん達の楽しげな演技で、心がほっこりし、その分、後の悲劇が際立つ、巧みな演出でした。

    それにしても、ずっと歌舞伎を観ていますが、「返り忠」という単語は初めて聞いた気がしました。
    橋之助さんの岡田良助の返り忠っぷりに心を打たれました。
    現代でも、返り忠になってくれるような人間が増えるといいのに…。
  • 満足度★★★★

    笑いとケレン味たっぷりの法界坊
    破戒僧の法界坊が悪行を繰り広げる物語が、串田和美さんの演出で笑いに満ちたものとなっていました。

    ナレーションでの登場人物紹介から始まり、コミカルな動きや、役者以上に目立つ黒衣、オペラみたいな歌唱といった、親しみやすい演出がたくさん施されていて、ストーリーがわからなくても演技だけで十分楽しめる作りになっていました。

    勘三郎さんと笹野高史さんがはっちゃけていて、最終幕以外はまるでコントのようでした。勘三郎さんは顔の白粉や、女型のゆっくりとした台詞回し等の歌舞伎のお決まり事、更には自分が病み上がりであることもネタにしていて笑えました。
    勘三郎さんに執拗にいじられても堪えて真面目に演じている橋之助さんや七之助さんの様子がおかしかったです。

    最終幕は打って変わってケレンの効いた豪快な立ち回りで、歌舞伎の様式美を劇的に表現していて素晴らしかったです。舞台奥の扉を開け放して、この作品の舞台となっている隅田川の土手を見渡す中(席によってはスカイツリーも見えるそうです)、開口部と舞台上に圧倒的な量の桜吹雪が舞い散り、10人程によって水平に持ち上げられた書き割りのパネルの上で見得を切る勘三郎さんが圧巻でした。

  • 満足度★★★★

    大サービスの法界坊
    かなり笑いがある舞台。歌舞伎の喜劇的な部分、奇抜な部分をさらにもう一押ししたドタバタが結構強烈。観客サービスは決して「笑い」一辺倒ではなく、「芸」も「趣向」も総動員して。なんといっても勘三郎さんの法界坊は身のこなしが軽やかで、かっぽれを踊りながら花道を引っ込んでいくところでは、大いに笑いつつ、体の切れの良さに感嘆。お年だとか、昨年は病気だったとか、全然感じさせず・・・
    大詰の「双面」では姫と法界坊の合体した怨霊)の踊りもキレイで迫力あり。劇場奥を開放して隅田川の桜を望みながらのフィナーレはここならではの趣向でしょうね。大いに盛り上がっていました。

  • 満足度★★★★★

    昼の部 法界坊 楽しかったです。
    劇場迄の道、桜咲く隅田川が素敵でいいお花見コース。来月で平成中村座が終わってしまうのが淋しいです。勘三郎さん、笹野さんが大いに笑わせてくれます。橋之助さんは涼しげな2枚目がぴったり。兄弟も良かったです。ラスト20分はまさに釘付け、アクロバット~歌舞伎役者さんって凄いなぁと毎回感動します。終演後も客席から大歓声。好き嫌いはあるでしょうが串田演出、私は好きです。惜しげもなく使われる大量の花吹雪はまさに圧巻です。歌舞伎を初めての方や地方から出てくる両親にはぴったりの演目ですね。舞台も桜、劇場の外も桜。贅沢な時間を堪能です。

  • 満足度★★★★

    盛り沢山な『小笠原騒動』
    実際にあった御家騒動を題材にした作品で、笑わせる所も泣かせる所もある物語に、宙吊りやアクロバティックな立ち回り、様々な美術の仕掛けもあり、休憩込みで4時間あるにも関わらず、長さを感じさせませんでした。

    序幕~一幕目は人物関係を追うのに集中力を持って行かれてしまい、演技や演出を楽しむ余裕があまりありませんでしたが、二幕目からはドラマチックな展開に惹き付けられ、とても面白かったです。
    二幕目前半は笹野高史さんのまるでコントのようなコミカルな演技が楽しく、後半では子役の女の子の親を思う健気さに心を動かされました。
    三幕目は橋之助さんと勘九郎さんの水車小屋での激しい決闘シーンが見所で、本水を用いた大掛りなセットの中、屋根に登ったり池の入ったりして客席を沸かせていました。特に水車に掴まって回転するのが凄かったです。
    大詰は大勢の追手と戦う勘九郎さんの軽やかな身のこなしが見事でした。全員勢揃いの最後のシーンが格好良かったです。

    客席の中を歩き回ったり、池の水をわざと客の方に飛ばしたりと観客との一体感を高める賑やかな演出が楽しかったです。

  • 満足度★★★★★

    第2部【小笠原騒動】観劇
    明治14年の作品ですが、とても歌舞伎らしい演目でした。

    ネタバレBOX

    狐の恩返し的な要素があって、悪にも華を持たせる大立ち回りと最後死なずに見得を切って終わる手法、そして橋之助さんがなんで悪役なんだろうと思っていたところ、家族の無理心中で心を入れ替えて、いったん裏切った主君に再度忠を尽くす、これを「返り忠」と言うんですね、歌舞伎らしい要素がふんだんに盛り込まれた作品で大満足でした。

    掛け取りを懐柔する小さな女の子はけなげでした。そして驚くことに掛け取りの一人が笹野高史さんだったんですね。掛けを棒引きにして、さらに着物を脱いで置いていくに至っては大笑いしました。

    歌舞伎俳優以外の人が歌舞伎の舞台に立つのを見るのは、松竹の係員役で女性が舞台に登場してきたとき以来でした。
  • 満足度★★★★★

    やっぱり良い
    大嵐の日に見に行きました。平成中村座はテント小屋なので、風雨の音がものすごかったです。
    幕間には舞台の後ろを外しているのでしょう、風も吹きこんできました。
    しかしながら、芝居が始まると全く気になりませんでした。

    「小笠原騒動」、あまり上演されない演目ですが、面白い!
    お家騒動、人情噺、幽霊、立ち回り、早変わり、狐の妖力、けれん味たっぷりで歌舞伎のおもしろいところを詰め込みながら、ストーリーもわかりやすく、はじめてみる人にもお勧めです。

    ネタバレBOX

    七之助のお大は、養父が(悪者に斬りかけられて)逃げ込んだ幕の裏から、その父親の首を赤い扱帯で絞めながら登場。
    凄味のある悪女っぷりが、美しかったです。

    勘九郎は、悪人犬神兵部と飛脚小平次を演じ分け、顔も見得もほれぼれするほど決まってました。
    以前観たときよりも太ももが一回りまたたくましくなっていて、精進しているなあと(太ももで・笑)感じました。

    ちょっとしか出て来ない勘三郎丈も、貫録といい人オーラが全開で、ああ大詰めだ!と気持ちを盛り上げてくれます。
    気持ちのいいお芝居です。

    特筆すべきが、良助の娘、お雪。子役の子が、可愛いのです!!
    この上なく健気なのです。笹野高史の米屋が取りたてできなくなるほど(笑)
    この場面、すごく良いです。  この子どもを見るだけでも、行った方が良いよ。と強く勧めます。

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