面白い
原作は数度しか読んでいないものの結構な思い入れがあったので、この劇はどんなものになるのか、非常に楽しみでした。
自分が原作から受けていた印象とはところどころ違う解釈だったけど、芝居としてとても面白かったです。
特に舞台美術・照明は迫力があった。音響は少し大げさに感じました。翌日もリピートしましたが飽きずに見ることが出来ました。
満足度★★★★
消化、そして昇華。
題材が夢野久作の奇書ということで、学生劇団がどのように舞台化するのか、果たしてクオリティはどうなのかとかなり楽しみにしていました。
結果、期待を遥かに超えて。 あの変質狂的な論文や散文の部分がものの見事に消化され、気の狂いそうなほどの堂々巡り感も「演劇として」実に力強く、退廃的な美しさで見事に舞台として昇華されていました。
この霞座という劇団の、自分達の信じる演劇を真摯に創り上げる姿勢と、醸し出すフェティッシュ感は結構私好み。公演後に一橋純平くんが所属したこともあり、注目していきたい劇団の一つになりました。
満足度★★★★
へたれずに解ききる
導入部分の作りこみや
そこに満ちるテンションを観ていて、
物語が解けきるかが不安だったのですが・・・、
杞憂でありました。
へたれずに、したたかに
原作を知らぬ観客にも
物語が降りてきました。
満足度★★★★
原作の本筋を抽出
本筋をあれやこれやで覆い隠した原作から隠蔽物を取り除きシンプルにして90分に収めたのは見事。
喩えて言えば、木の葉や小枝まで入っているどろみずを濾過に濾過を重ねて飲める水にしてお出ししました、というか、誘拐犯からの電話のバックの音からノイズを取り除いて場所特定に繋がる音を抽出したというか、みたいな。
そのために明治・大正期の古風な趣まで漉し取ってしまった気がしないでもないが、全体の出来から考えれば「誤差範囲内」的なものか?
同様に、以前原作を読んだ時のイメージと異なり主人公が冒頭から取り乱し気味だったりするのも「誤差範囲内」。
一方、選曲も良かったのであるが 「どーよ、これ」的に大き目の音量で主張し過ぎたのは残念。
音楽はあくまで引立て役であって、その引立て役があんなに自己主張するのはいかがなものか?
とはいえ、シンプルながら美しく機能的な装置や群読の使い方なども含めて満足度高し。
なお、ある部分から落語「粗忽長屋」を連想してニンマリ。
あと、事前に頂いた道案内メールのおかげで迷うことなくストレートに会場に着くことができた。
「不親切」などと書いた御仁はメールをご覧にならなかったのかしら?
満足度★★★★
流石、演劇専攻の学科を持つ大学の演劇部
原作のテイストを汲みながら、推理を中心に据えて構築してあり、学生劇団としては、間違いなく全国でトップクラスだろう。また、描かれた内容の中心で問われていることが、研究者の倫理であることは、現在、生起している、原発問題の中核を成す問題であり、時代感覚も鋭い。舞台美術、照明などにも、様々な工夫がこらしてあり、この舞台から、プロとして巣立って行く人もいると感じた。演技でも、迫真の演技ができた役者が居た。このまま延びれば、プロの一流になれるだろう。ここではあえて、その役名を挙げないが、目の表情などは、特に素晴らしかった。今後を期待している。
満足度★★★★★
計算
わからない。複雑。全体像が見えない。かもしれない。
でも、すごく計算されている気がする。ちゃんと構成されている気がする。
パーツパーツを思い出すといろいろヒントがある。
だから、わからないけど面白かった。あっという間の90分。
迫力あります。背筋が冷えることもあります。
500円は安すぎる。
面白かったので、原作本を即注文してしまった・・・。
追加:一晩ぐるぐる思い出して、満足度変更。