ジキルの告白 公演情報 ジキルの告白」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.6
1-16件 / 16件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/11/11 (月) 19:00

     1973年夏に起こった「立教大学助教授教え子殺人事件」を題材にした「昭和事件シリーズ」の第5弾で、実際に起きた事件と犯人周辺、被害者周辺の人たちはこうであったのではないかという虚構とが良い按配で絡まっていて、まるで事件の前後を眼の前で目撃したかのような臨場感と、犯人がすぐ近くにいるのではないかと感じさせる演出方法、こちらの恐怖心を最大限に煽り、冷やりとさせ、緊迫させていて、この劇は見事だと感じた。
     勿論、役者の素に見える程のさりげない演技も伴って、この劇が劇映画やドキュメンタリー以上に真実味を帯びていてすごかった。

     教え子に何度か手を出しているような助教授大迫が女学生の林京子と奥さんと小さな子どもがいるのに関係を持ち、その教え子の女学生を殺したところから人生が狂い、平静を装いつつ、どんどん追い詰められ、最終的に一家心中というさらに悲劇的な結末となり、こうも人は転落するものなのかという絶望感、救いの一切ない終わり方に、重々しい余韻が残りました。
     しかし、助教授の友人、助教授の務める大学の仲間、奥さんなどを巻き込み、助教授が殺人を犯したことから今までのような日常が送れなくなり、みんなそれぞれが少しずつ追い詰められていくさまが丁寧に描かれていて、何とも言えない複雑な気持ちになった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    登場人物が、教授という頭のイイ人たちの為か、
    説明や進行が、とても解りやすかったです!
    結末は、その時代だったからなのでしょうかね!?

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     今作は実際に起こった事件をベースに書かれた。事件は井上陽水の「氷の世界」が流行った頃起きた。大学助教授による教え子殺人事件の舞台化である。痴情のもつれ、そう言ってしまえばそれだけの事件である。然し犯人はインテリ、名の知れた大学の助教授であり犯人が罪を認めてから被害者の遺体が発見されるまでに7か月以上を要した点は極めて特異である。このように解明に時間が掛かったのには、無論理由がある。

    ネタバレBOX


     その理由とは錯綜化である。犯行を犯したのは芥川も激賞した「The turn of the screw」を書いたHenry Jamesの研究者・大迫だが、事件を起こした年、彼がゼミで使った教本はStevensonの「Strange case of Dr Jekyll and Mr Hyde」という設定になっている。この設定が起こった事件通りなのか或いは創作であるのかという点迄自分は調べなかったので不明であるが作品化するに当たっての常套手段ではある。閑話休題、本題に入ろう。
     今作の錯綜は作家が事件を起こした犯人よりも周囲の人間を描くことに重点を置いて書いていることが無論その契機となってはいる。然し日本の研究者の一般的な在り様というか体質が関係していると解釈したのが自分の観方である。先にも述べたように事件自体は何処にでも転がっている痴情のもつれに過ぎない。特殊なのは周囲の対応なのである。自分はこのような特殊性に着目したという訳だ。研究者になる過程で修士課程、博士課程を経て多くの研究者はその道の専門家となるが、修士論文、博士論文を提出しなければ過程を終了したことにはならない。そして論文が通るか否かは査読で決まる。当然の事ながら指導教授を含め幾人かの先達が書かれた論文を読み判断をする訳であるが、論文提出者の今後の為に先達はサジェッションもするのが通例だ。そして研究者として生きて行く為に必要な最低限のことは、論文に記されていることに客観性があるか? ということである。無論他者の論文を真似たり、データを盗用するなどはもっての外、判明すれば忽ち落とされる。こういった事情もあるので兎に角、自らの視座で集めたデータを用いて客観化するという手法は謂わば研究者たる者の宿命と言えるかもしれない。それで大迫の犯行自認後も中々事件の解決への端緒が開かれなかった。而も航空機ハイジャック事件等もあった時代であるから成り行き次第で学生たちが大学を占拠して大学サイドの「倫理的腐敗や隠蔽」として問題化することも警戒せねばならなかった。周囲の者たちが置かれた状況はかようなものであった。だが被害者の遺体が発見されるのが極めて遅くなった理由は、矢張り大迫の個人的な心理的傾向に原因があったと思われる。この大迫の心理を心理学的に解いてゆく展開であったら、自分にはより面白い作品になったと思えるが、犯人そのものが犯罪を犯すに至り、事件の未解決化を図った心理的闇が抉られ描かれなかった点が自分には表層的に思えた。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白ろかったです。ただ、核となる実話がありがちな話しな感じがしました。ラストの見せ方が好きです。意外性を感じさせられました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    実際の有名な事件に基づいた作品なので、凡そのストーリー展開は分かっているのですが、巧みな構成に唸らさせられますね。実に見事でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    実際の起こった事件を基にした作品なので、この事件を知らない観客にもその概要を説明するための事実を提示する部分と作品のドラマ性を高めるためのフィクションの部分をどう融合させて一つの作品として見せていくかというのがポイントだったような気がする。

    ネタバレBOX

    タイトルや内容からドロドロした愛憎劇を想像していたのだがそうではなかった。犯人の大学教員ではなく、その妻や大学関係者に焦点が当てられていた。何故かと思ったが当日パンフの高橋氏の「ご挨拶」で納得した。
    実際に作品では犯人の妻の微妙な心の揺れや徐々にずれていく感じが丁寧に描かれていたし、犯人の親友、加納の誠実さや大学関係者の苦悩も伝わってきた。
    ただ、被害者の元恋人(宮本)の存在や犯人の妻(純子)が宮本に会いに行くシーンは必要だったのだろうかと疑問に思う。作りすぎの様な感じを受けた。事実に押されてドラマ性が薄まらないようにするための方策だったのか、と思うのは考えすぎか。
    いずれにしても変わった視点で描かれた作品は新鮮で刺激的だった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白いことはたしかだが、少々不自然だったり冗長だったりする場面・会話があって違和感が若干あった。今から半世紀前の1970年代の人々の思考や会話を想像にたよって作劇する難しさがあったのかなと思う。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白かったです。変わった描き方でしたが、展開にドキドキしました。
    「1973年大学助教授教え子殺人事件」と検索すると実際の事件について詳しく知ることができましたが、事前に読まなくて良かったです。

    ネタバレBOX

    舞台はフィクションでした。事件の大筋はその通りなんですが、人物像がずいぶん違います。劇中井上陽水の「夢の中へ」が流れますが、終演後に高橋さんに「本当にこの曲だったんですか?」と聞こうと思っていたら、助教授家族の一家心中という結末に「フィクションじゃーん!!!」と心の中で叫んでしまいました。遺書はあったようですが、事件の細かいところまで書いてあるとは思えません。まして「夢の中へ」だったかどうか、いや、そんなレコードがあったかどうかさえわからないと思います。劇中の人物像も随分違っていて、助教授はもっとクズだし、純子さんはだいぶ美化されていると感じました。
    印象的な赤い靴は本当だったようです。
    事実をもとにした話はどう見たらいいのやら悩むことがある私です。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    先日拝見しました。昭和事件シリーズは二つ前のトリカブト事件を拝見しました。今回も内容もお芝居も秀逸でした。実際の事件の記事を読んでみたのですが、本当によく事情も組み込んで、心の動きも表現されていて素晴らしかったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    演劇は、その作者の主張が強く表れ、時に観る側が取り残されることがあります。モヤモヤした状態で話の内容に入っていってもよく分かりません。そんな経験が時たまあるものの、今日の芝居の導入、とても上手い。簡単に言ってしまえば分かり易いのです。何故「ジキル」かも最初に語られ、状況設定を明確にしています。殺される教え子は出てきませんが、登場人物の数、休憩無しの1時間50分も適切だと思いました。サンモールスタジオ、約100人程度の収容人数の小劇場、濃密な環境です。大学内の人物が事件の対応に右往左往、議論を重ねます。学校の隠蔽体質がよく描かれています。もっと早く警察に連絡していれば、さらなる悲劇は避けられたのではないかと思いました。大学職員・阿久津役の清水ひとみの演技が一本調子になりがちな芝居を和らげてくれました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    昭和に起こった実際の事件を元にした舞台シリーズ
    かすかに記憶にある1973年の立教大学の事件で、最初の場面のナレーションでその頃のことを思い出す
    開演前からかかる曲も懐かしい
    中央の舞台で演じるのは1人~4人で、転換のたびに誰かがその前に立ってナレーションし状況が分かりやすかった
    周囲に数名が座る演出も面白い
    最初と最後は主人公大迫が「ジキルとハイド」のスティーヴンソンの詩を読む完全な反復で呼応していたが、そのとらえ方は異なってきていた
    カラスの声や雨の音などの音響が絶妙だったのだが、最後の一家心中の前の回想シーンの井上陽水の歌はやかましすぎた
    この場面は対比を狙ったのだろうが唐突な明るさでやりすぎという感じがした
    これがせっかくの雰囲気を壊して残念だった
    教授の「どう負けるかだ」というセリフがすべてを語っていたかな
    キャストは皆好演で、大学職員阿久津役の清水ひとみがなかなかいい味を出していた

  • 実演鑑賞

    凄い!力作と呼ぶがふさわしい作品。

    ネタバレBOX

    前作が犯人と犯行に主眼をおいたのに対して、今作で犯人周辺の市井の人々の巻き込まれに主眼がおかれていた。
    その点では和歌山カレー事件の劇に近いものがあるのかなあと。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    こけら落とし観劇
    丁寧に時代の説明と
    引き込み方が上手だった
    女性の化粧とかは
    再現難しいかったかなぁと
    思えたが
    衣装とか当時の時代背景の説明や表現
    それと
    効果音楽が巧みな作品であったなぁと
    先に事件を調べる等の
    情報を入れとかない
    自分のスタイルに満足出来たデス
    琴線に触れまくった
    約二時間の作品

    ネタバレBOX

    探し物は何ですか?の
    大音量からのラストは
    演出すげ~なーと思った
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    圧巻でした。史実というか事実をベースにしているだけありすごくリアリティがありました。音効もバッチシですし役者さんの演技も満点です。理想的な舞台で最初から最後まで安心して観ていられました。役者さんの心理描写が素晴らしく話の内容に完全にのめり込むことができました。最高の時間をありがとうございました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白かったです。
    昭和を感じさせる、登場人物達の考え方や行動が興味深かったです。
    殺人を隠蔽する(隠蔽するか迷う)なんて考えられないけど、特殊な環境や、何より昭和という時代背景なのかなと思いました。
    緊迫感と迫力のある観応えのある舞台でした!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    説明は「1973年、有名な大学の助教授・大迫は、長きに渡り愛人として関係を結んでいた女子大生を別れ話の末に殺害」とあり、その結末は既に知らされている。公演は「悲劇的な運命を辿る大学助教授一家の姿を彼の周囲の人々の視点で描く」とあり、彼の家族や友人という個人的、そして大学という社会的、その2つの観点を巧みに織り交ぜて描いた好公演。

    上演前から懐かしき歌謡曲が流れ、昭和という時代の香りを漂わせる。物語の中でも昭和時代の結婚観が語られ、今の意識との隔世の感を描き出す。興味深いのは、当時の結婚したら離婚しないという感覚(意識)の中に潜ませた真の理由が怖い。一方、漫画や映画で話題になった「同棲時代」という入籍に拘らない形態が現れ始めたのは、この時期ではなかったか。
    冒頭と最後、 出演者全員でその時代の特徴的な事件・出来事を呟き、その時代を知らない者、または その時代を現実に生きてきた者、その幅広い世代に関心を持ってもらうような演出。同時に 物語としての掴みであり、最後は心象付といった効果を期待しているようだ。

    本作は 本人ではなく、周囲の人々の推察的または客観的な心情描写になっていること、結末が分かっているため、例えば 前作「あなたはわたしに死を与えたートリカブト殺人事件」のようなミステリーやサスペンスといった関心・刺激、その惹きつける魅力が弱いように感じられた。とは言え、展開は 心情表現と事件経緯といった違い(場面転換)にメリハリをつけるためナレーションで繋ぎ、物語(事件)の梗概をハッキリ描き出している。観応え十分。
    (上演時間2時間 休憩なし) 追記予定

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