舞台版 嫌われる勇気【9/23公演中止】 公演情報 舞台版 嫌われる勇気【9/23公演中止】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    鑑賞日2024/09/29 (日) 14:00

    座席1階

    自己啓発などでよく登場する、アドラー心理学「嫌われる勇気」の舞台化。自分の課題と他人の課題を分けて考える「課題の分離」など、アドラーの概念を取り上げながら舞台は進んでいくが、この物語がアドラー心理学を分かりやすく示しているかというと、そうは言えないのではないか。スクリーンに示されるアドラーの言葉との遊離を感じた場面もあった。

    冒頭、男女の惨殺事件に臨場した刑事たちの場面から始まる。若い女性がすぐに自首し、犯行を認めるが、すぐに黙秘してしまう。殺害されたのは彼女の両親。この事件がどう、アドラー心理学と結び付くのかがスッと頭に入ってこなかった。もう一つは、事件を捜査する中年の刑事。娘が事故死したことが引っ掛かっており、ある大学教授を訪ねる。彼女は生前に、教授のアドラーの講義を聴講していた。彼女と大学教授との対話、そして彼女の父親である刑事と教授の対話。双方の会話劇を見ても、自分は「嫌われる勇気」とのかかわりをすぐに理解することはできなかった。

    今起きていることを、過去の問題が原因と考えてはいけない、と説明される。では、この事件の容疑者はそれに当てはまるのかと考える。舞台が進行し、事件の背景が分かってくると、この事件がアドラー心理学の説明とは逆に解離してるんじゃないかとすら思えてくる。
    ただ、アドラーは人が幸せを感じるための3つの条件として、自己を受容する、他者への信頼、他者への貢献と教える。これについては、この舞台を見終わった時に、確かにそうかなという感想を持てる。

    私には難解だった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    原作は岸見一郎+古賀史健「嫌われる勇気」で2013年暮にダイヤモンド社から刊行された。当時のベストセラーなのだが延々と売れ続けて今年でとうとう累計300万部になったという。それを記念しての2015年の舞台版の再演なのだ。同時に特別なイベントも行われる。

    原作は著者の解釈によるアドラー心理学のエッセンスを哲人と若者の対話形式で解説している。有名なのは「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」とか「他人は変えられないが自分は変えられる」とかの印象的な標語である。まあ自己啓発系か宗教であるが、高額なセミナーに連れて行かれたり信者から執拗な勧誘を受けることがないので是々非々で日常に取り入れていけば良いのである。

    さてこの原作をそのまま舞台にすることはほとんど不可能である。問いかけと応答の連続では始まって10分で全観客が眠りに落ちてしまうだろう。そこで舞台版は和田憲明によってサスペンス仕立てに作り上げられた。哲人にあたる大学教授と若者にあたる刑事の娘の対話をベースとして、そこに虐待を受けてきた女性による殺人事件を多層的に組み合わせている。

    さて問題はこの創作された部分である。ここは原作の雰囲気とはかなり違っていて演劇的といえるのだが、冒頭の派手な殺人シーンはただの悪趣味で観客を馬鹿にしている。なぜ原著者はこういう改変を認めたのか不思議なくらいだが、相手の領域には干渉しないというアドラーの教えを守ったのだろう。

    原作を気に入って舞台も観てみようという方には全くおすすめしない。原作を未読の方はこの舞台を観るよりも原作を読むべきである(audible版もあり)。こんな嫌味な文書を投稿しなくても良いじゃないかとも思うのだが「嫌われる勇気」を出して書いておく。

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