実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/09/29 (日) 14:00
座席1階
自己啓発などでよく登場する、アドラー心理学「嫌われる勇気」の舞台化。自分の課題と他人の課題を分けて考える「課題の分離」など、アドラーの概念を取り上げながら舞台は進んでいくが、この物語がアドラー心理学を分かりやすく示しているかというと、そうは言えないのではないか。スクリーンに示されるアドラーの言葉との遊離を感じた場面もあった。
冒頭、男女の惨殺事件に臨場した刑事たちの場面から始まる。若い女性がすぐに自首し、犯行を認めるが、すぐに黙秘してしまう。殺害されたのは彼女の両親。この事件がどう、アドラー心理学と結び付くのかがスッと頭に入ってこなかった。もう一つは、事件を捜査する中年の刑事。娘が事故死したことが引っ掛かっており、ある大学教授を訪ねる。彼女は生前に、教授のアドラーの講義を聴講していた。彼女と大学教授との対話、そして彼女の父親である刑事と教授の対話。双方の会話劇を見ても、自分は「嫌われる勇気」とのかかわりをすぐに理解することはできなかった。
今起きていることを、過去の問題が原因と考えてはいけない、と説明される。では、この事件の容疑者はそれに当てはまるのかと考える。舞台が進行し、事件の背景が分かってくると、この事件がアドラー心理学の説明とは逆に解離してるんじゃないかとすら思えてくる。
ただ、アドラーは人が幸せを感じるための3つの条件として、自己を受容する、他者への信頼、他者への貢献と教える。これについては、この舞台を見終わった時に、確かにそうかなという感想を持てる。
私には難解だった。