舞台版 嫌われる勇気【9/23公演中止】 公演情報 ウォーキング・スタッフ「舞台版 嫌われる勇気【9/23公演中止】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    原作は岸見一郎+古賀史健「嫌われる勇気」で2013年暮にダイヤモンド社から刊行された。当時のベストセラーなのだが延々と売れ続けて今年でとうとう累計300万部になったという。それを記念しての2015年の舞台版の再演なのだ。同時に特別なイベントも行われる。

    原作は著者の解釈によるアドラー心理学のエッセンスを哲人と若者の対話形式で解説している。有名なのは「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」とか「他人は変えられないが自分は変えられる」とかの印象的な標語である。まあ自己啓発系か宗教であるが、高額なセミナーに連れて行かれたり信者から執拗な勧誘を受けることがないので是々非々で日常に取り入れていけば良いのである。

    さてこの原作をそのまま舞台にすることはほとんど不可能である。問いかけと応答の連続では始まって10分で全観客が眠りに落ちてしまうだろう。そこで舞台版は和田憲明によってサスペンス仕立てに作り上げられた。哲人にあたる大学教授と若者にあたる刑事の娘の対話をベースとして、そこに虐待を受けてきた女性による殺人事件を多層的に組み合わせている。

    さて問題はこの創作された部分である。ここは原作の雰囲気とはかなり違っていて演劇的といえるのだが、冒頭の派手な殺人シーンはただの悪趣味で観客を馬鹿にしている。なぜ原著者はこういう改変を認めたのか不思議なくらいだが、相手の領域には干渉しないというアドラーの教えを守ったのだろう。

    原作を気に入って舞台も観てみようという方には全くおすすめしない。原作を未読の方はこの舞台を観るよりも原作を読むべきである(audible版もあり)。こんな嫌味な文書を投稿しなくても良いじゃないかとも思うのだが「嫌われる勇気」を出して書いておく。

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    2024/09/28 10:39

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