荷 公演情報 」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★

    刺激的だった坂手さんの演出
    中に入ってまず息をのんだ船底を模した客席配置。可動式オープンスペースを生かしたブレヒトの芝居小屋ならではの文字通り「芝居小屋」としての楽しさがある公演だった。

    東京演劇アンサンブルの場合、最近流行の劇団員が他劇団へ客演する機会はほとんどないと思うので、今回のように、韓国の作品で、韓国人俳優との共演、外部演出家などによる刺激を受けることはとても貴重で有意義だと思う。

    坂手洋二氏の斬新な演出に、若い劇団員たちが柔軟性でよくついて行ってる印象で、いつもの新劇とはまったく違う魅力を発揮していた。

    「本当に東京演劇アンサンブル?」という嬉しい驚きがあった。

    このお芝居、ふだん、東京演劇アンサンブルを観たことがない人や、坂手洋二ファンにもぜひ観てほしいレアな作品だと思ったが、新劇になじみがない人に足を運んでもらうことは難しいのかもしれない。

    それでも、ブログなどを検索すると、演劇関係者、小劇場ファンも多数来場され、好評を呼び、話題になったようで嬉しく思う。

    このコラボが劇団員の今後の舞台生活に必ずやプラスになることを信じている。

    ネタバレBOX

    日本と韓国、両国が抱える「問題」を象徴するような舞台中央の大きな水瓶に浮かぶ「荷」。

    この舞台装置が秀逸である。

    水瓶の水は惨事の海にもなる。

    2つの家族の間を「荷」が行き来するさまを眺めながら、観客の私たちも、船底で心が揺れ動いていく気分。

    日本の家族の娘の「私が知らない時代の責任を背負いながらいつまで謝り続けなければいけないのか」という想いは、我々日本人の本音でもあると思う。

    「こうである」という押し付けはなく、観客それぞれの心にくさびを打ち込むような深い作品だった。

    難を言えば、私の席からは字幕が直角で見えにくく、視力も弱いもので、韓国語のセリフについていくのが辛かった。

    俳優では、原口久美子さんの明晰な台詞と、情感あふれる桑原睦さんが印象に残った。

    「噂をする日本人トリオ」の使い方も面白かった。

    東京演劇アンサンブルは、創始者の故広渡常敏氏が桐朋で教えていた関係で、劇団員には桐朋卒業生が多い。

    今回演出助手を勤めた赤澤ムックさんもやはり桐朋OGで、劇団員の中にに同期生もいて、良き潤滑油となったようで、公演成功の陰には赤澤さんの活躍を称える声があったことを追記しておく。

    コリッチには赤澤さんのファンも多いと思うので。
  • 満足度★★★★

    簡単に言葉を吐けない
    荷 
    東京演劇アンサンブルが、武蔵関にあるブレヒトの芝居小屋で、今回上演したのは鄭 福根作 坂手 洋二演出 の「荷」だ。
    描かれたのは、1945年8月24日、舞鶴沖で爆沈した浮島丸事件を巡る日韓関係である。恥ずかしい話だが、評者は作品を見る迄、この事件の内実を知らなかった。うろ覚えに知っていたのは、浮島丸事件という名称だけである。恐らく、読者の多くがこの件に関して知っていることは、自分と大同小異ではあるまいか。この国では、「選良」に都合の悪い事実、情報は隠されるのが常だからである。だが、この件を、事件と呼ぶのは、間違いだろう。これは、日本の「選良」が、自国民に対してと同じように他国の亜細亜人に対して犯した犯罪だからだ。だが、「選良」以外の日本人が、他国のアジア人に罪を犯さなかったというのではない。多くの日本人が、罪を犯した。従って、現在、日本人として生きている我々にも看過できない、民族の倫理的問題を扱った重い作品だ。
    評者がこのように断ずるのは、3.11以降も、この国で猛威を揮う「選良」の悪辣は、戦中と本質的に一切変わっていないからである。彼らの薄汚い自己保身と瞞着、また選良の利益の為に今、捨てられている弱者。即ち、子供、女性、障害者、被差別者、下層階級。その構造が変わっておらず、民衆の側からの有効な反撃が、オルタナティブな形で現れることが無いからである。それは、我々日本人の恥そのものだと感じられるのだ。
    ネットでは、読まれる文字の量も限られる。また、ネタバレは避けたいので、詳しくは述べない。この舞台で描かれているのは、戦争直後と数十年後だが、これは、過去の作品では無い。当に、今、この国で起こっている現実であり、人としての恥を知る人間ならば誰一人見過ごすことはできない、私の問題である。最後、荷は宙吊り状態に置かれる。然し、これこそ、観客に向けた鋭いメッセージであった。

  • 満足度★★★★

    思いがめぐる好演。
    「浮島丸事件」を描いた作品。

    近現代史の日韓・韓日関係を描いた芝居って、「日本人として反省し、しっかりと考えたいと思います」的な感想を喚起するものになりがちだけど・・・この芝居は、さらにその一歩、前進したもののように感じました。

    武蔵関は、観劇以外に行くことはないので・・・ちょっと早めに家を出て、二郎系ラーメン店「いごっそう」へ(駐車場空いててヨカッタ)。味噌つけ麺を堪能。翌朝の朝食用に、「豚めし」をお土産に。

    会場は、ブレヒトの芝居小屋。あいかわらずシブイ構えの建物。公演を知らせる幕が、建物にかかっていました。この2012年に、この幕・・・なんか新鮮な感じ。

    受付を済ませ、ロビーで一服。

    濃いコーヒーに口をつけながら、公演パンフレットを一読。
    文字数・内容ともに充実したパンフレット。公演前に読んで、肩の荷を下ろして観劇するもよし、観劇後に読んで、じっくりと芝居を反芻するもよし。

    東京演劇アンサンブルのパンフレットは、再読に値する読み物。
    500円と迷うことのない価格なので、ぜひ!

    靴を脱いで、芝居小屋へ。


    すごい。。。


    自前の劇場とは言え、ここまで大掛かりなセットを創るか、普通。

    客席も、どこからでも観やすいように創られている(と思う)。

    大人な観客が多いので、椅子席ではなく桟敷席へ。

    桟敷席であぐらをかくと、なんとなく江戸時代の芝居小屋に来たような感じ。
    平成中村座も、こんな感じで一度公演してみてもいいんじゃないか?なんて思ってしまうくらい「良い雰囲気」。

    この桟敷席、座るのに躊躇するような作りになっているんですが・・・おすすめです。背もたれもあるので楽です。あと、役者とビシバシ目があいます(笑)

    芝居は、「説明」の通り。

    「この手の芝居をやるってことは、どうせ左巻きっぽい内容なんでしょ?」と忌避するなかれ、という芝居でした。

    登場する「今を生きる」韓国人は、サムスンや現代を大メーカーに仕立て上げた2012年の韓国人の感性を持ち合わせていました。

    過去を非難し、過去を謝罪する。

    それだけの時代(そのこと自体は必要なことなのですが)から一歩進んだ「向き合う」時代になっていくんだな、いや、もうなりつつあるんだな。。。そんなことを思う芝居でした。

    なんか青臭いけど、芝居を観ながらジョン・レノンの『Imagine 』を想っちゃった。

    このまま日本が没落していくとしたならば、ボクら日本人に、どのような境遇が待ちうけているのだろうか?きっと隆盛を誇っているであろう中国は、日本をどう扱っていくのだろうか?

    なぜ、生まれた国が違うということが、ここまで境遇を変えてしまうのか?

    国と国との「上下関係」って、経済力だけなのか?

    いろんな思いが巡る芝居でした。

    来月の渡韓で友に会う時までには、ちょっとだけでもボクの思いが形を成していればイイなあ。

    最後に・・・字幕は(この芝居では韓国人役者が2名参加しています。母国語での芝居です)、日本語だけじゃなくて、ハングルを添えた方が雰囲気が出るような気がします。

  • 満足度★★★★★

    すばらしかった
    話は特に盛り上がりがあるわけでもなく、淡々と進むが、コンテンポラリーの舞踊的要素が、彼らの苦しみや苦悩、時には喜びをもり立てていて、目が離せなかった。
    ずっしりと重い内容だが、1時間半という短い時間の中に凝縮されており、見ていて重すぎず、軽すぎず。
    久々にあと、3回くらい見たいと思った。
    舞台の装置も良かった(^-^)

  • 満足度★★★★★

    海をはさんで
    舞台上手側は日本を
    下手側は韓国を表し

    間には、水をたたえた大きなカメ。
    その上に浮かぶ、荷物。

    送っては送り返されを繰り返す荷物のように
    歴史にちゅうぶらりんにされた人々を
    力強く
    ときに哀しく
    美しく描いていました。

    コンテンポラリーのような前衛的な踊りも
    物語とよくあっていまして、見応えありました。


    雪の中見に行ったかいがありました。

  • 満足度★★★★★

    良かった
    固い話かと想像していたのですが、もちろんシリアスな内容ですが。
    終始、舞台に、引き込まれました。

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