満足度★★★★
思いがめぐる好演。
「浮島丸事件」を描いた作品。
近現代史の日韓・韓日関係を描いた芝居って、「日本人として反省し、しっかりと考えたいと思います」的な感想を喚起するものになりがちだけど・・・この芝居は、さらにその一歩、前進したもののように感じました。
武蔵関は、観劇以外に行くことはないので・・・ちょっと早めに家を出て、二郎系ラーメン店「いごっそう」へ(駐車場空いててヨカッタ)。味噌つけ麺を堪能。翌朝の朝食用に、「豚めし」をお土産に。
会場は、ブレヒトの芝居小屋。あいかわらずシブイ構えの建物。公演を知らせる幕が、建物にかかっていました。この2012年に、この幕・・・なんか新鮮な感じ。
受付を済ませ、ロビーで一服。
濃いコーヒーに口をつけながら、公演パンフレットを一読。
文字数・内容ともに充実したパンフレット。公演前に読んで、肩の荷を下ろして観劇するもよし、観劇後に読んで、じっくりと芝居を反芻するもよし。
東京演劇アンサンブルのパンフレットは、再読に値する読み物。
500円と迷うことのない価格なので、ぜひ!
靴を脱いで、芝居小屋へ。
すごい。。。
自前の劇場とは言え、ここまで大掛かりなセットを創るか、普通。
客席も、どこからでも観やすいように創られている(と思う)。
大人な観客が多いので、椅子席ではなく桟敷席へ。
桟敷席であぐらをかくと、なんとなく江戸時代の芝居小屋に来たような感じ。
平成中村座も、こんな感じで一度公演してみてもいいんじゃないか?なんて思ってしまうくらい「良い雰囲気」。
この桟敷席、座るのに躊躇するような作りになっているんですが・・・おすすめです。背もたれもあるので楽です。あと、役者とビシバシ目があいます(笑)
芝居は、「説明」の通り。
「この手の芝居をやるってことは、どうせ左巻きっぽい内容なんでしょ?」と忌避するなかれ、という芝居でした。
登場する「今を生きる」韓国人は、サムスンや現代を大メーカーに仕立て上げた2012年の韓国人の感性を持ち合わせていました。
過去を非難し、過去を謝罪する。
それだけの時代(そのこと自体は必要なことなのですが)から一歩進んだ「向き合う」時代になっていくんだな、いや、もうなりつつあるんだな。。。そんなことを思う芝居でした。
なんか青臭いけど、芝居を観ながらジョン・レノンの『Imagine 』を想っちゃった。
このまま日本が没落していくとしたならば、ボクら日本人に、どのような境遇が待ちうけているのだろうか?きっと隆盛を誇っているであろう中国は、日本をどう扱っていくのだろうか?
なぜ、生まれた国が違うということが、ここまで境遇を変えてしまうのか?
国と国との「上下関係」って、経済力だけなのか?
いろんな思いが巡る芝居でした。
来月の渡韓で友に会う時までには、ちょっとだけでもボクの思いが形を成していればイイなあ。
最後に・・・字幕は(この芝居では韓国人役者が2名参加しています。母国語での芝居です)、日本語だけじゃなくて、ハングルを添えた方が雰囲気が出るような気がします。