『希望』 -チェ・スンフン×日本人俳優- 公演情報 『希望』 -チェ・スンフン×日本人俳優-」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.8
1-4件 / 4件中
  • 満足度

    「いや~、きっついきっつい」
    トイレで一緒になった女性の第一声。まさにそのとおり。きつくてイタイ。いまどきこんな出来損ないのアングラ劇みたいなのをやるとは蛮勇がすぎて滑稽だ。おまけに苦悩の表現がみんな一緒。静止から動き始めてだんだん激しくなり、狂気のように苦悩し、うめき、また静かになる。全く同じパターンを3度も繰り返されると、途中席を蹴る人が続出するのも当然だ。私はこの劇はいったいどういう落とし前をつけるつもりなのか興味があったので我慢して最後まで見たが、隣のおじさんが何度も私のほうをちらちらと伺い、(通路側だったので)出たそうにしていたのが気の毒だった。すみません~。終演後、気の無い、しかし温かい拍手が聞こえた。さすが、名にしおう礼儀正しい日本人だ。韓国人演出家に気兼ねしたのだろう。劇の落とし前は予想したとおり、やっぱり何にもないのであった。

    ネタバレBOX

    満足度はマイナス5ぐらいだが、何にもつけないと平均に反映されないので、一応星ひとつ。
  • 満足度★★★

    理性を捨てたパフォーマンス
    韓国の演出家、チェ・スンフンさんと日本の役者とのコラボレーションで作られ、物語性を感じさせない悲痛な雰囲気のパフォーマンスが繰り広げられる作品でした。

    上手に便器、下手に浴槽が置かれた舞台の4方に沿って本が床に散乱していて、開場時から2人ずつの男女が壁際に全く動かずに佇んでいて、黒い服と靴を身に付けた4人の女性が舞台の中央に出て来て新聞を広げたり、畳んだり、頭に巻き付けたりするシークエンス、黒服の女性の1人が赤い照明に照らされる中で次第に興奮状態になって行くシークエンス、壁際の4人がそれぞれ決まった動作をしつつ、ゆっくりと舞台を周回するシークエンスのパターンが4回繰り返される、明快な構成からなっていて、音楽もそれぞれのシークエンス毎にタイプの異なるノイズミュージックが対応付けられていました。
    黒の女性のソロは、涎や涙を垂れ流しながら、断片的な台詞を絶叫したり、吠えるように歌ったり、骨箱に入った遺灰を体に塗りたくったり撒き散らしたりといった、理性のリミットが外されたような狂気じみたもので、タイトルとは裏腹に絶望を感じさせました。

    壮絶なパフォーマンスによって、芸術が備える、精神を解放する儀式的な力を浮かび上がらせる意図があるように思えたのですが、同じパターンを繰り返す図式的な時間構成は野生的な表現を戯画化してしまっていたように感じました。また音楽の音量と役者のテンションが対応し過ぎていて滑稽に見えたのが残念でした。

    観客に媚びることのないハードコアな表現を貫く姿勢は素晴らしいと思いますが、いかにも「前衛」に見える表現を安易に用いがちに感じました。

  • 満足度★★

    醜・悲・痛
    まるで役者の身体が試されているような舞台。
    「コトバ」のない詩。

    っていう感じで、いいな、と思ったところもあったのだが…。

    ネタバレBOX

    冒頭から台詞を廃した舞台に、「これはイイかも」と思ったのだが、どうも響いてこない。

    何故だろうと思ったら、静から激していくパターンが、それこそワンパターンに繰り返されるからではないかと思った。
    ホワイトノイズのようなものが全編に聞こえ、それが轟音になっていくのはちょっとシビれるのだが、それにほぼ合わせて舞台の上では、激してくる。

    静にあって、動作を制御している役者が、徐々に気持ちを高まらせていくというのは、やっている役者にはもの凄い快感があるのではないかと思った。

    それがあまりにもワンパターンでどうも不感症になってきてしまうようだ。
    演出家から与えられた課題を気持ち良くこなしている感じというか。

    確かに当パンに書いてあったことで作り上げられた舞台であることは、理解できた。

    しかし、やっぱり何か響いてこないのだ。

    混乱しつつ、さらに乱れていく舞台の上と、淡々と進む役者の身体の対比は美しくなっていくと思ったのだが、やっぱり私には響かない。
    そうなると、なんとなく舞台の上にあるものが、「意味ありげ」にしか見えてこなくなってくる。

    女性の叫び、特に悲痛な音に聞こえるものが多く、それが、どのシーンであっても不快にしか聞こえなかったのも残念。

    「醜」や「悲」や「痛」の中に、「美」もあるはずだと思ったのだが。そんな感じにまで突き抜けて行かないもどかしさ。
    もちろん、粉のシーンはよかったけれど…。
    これも、役者には快感なんだろうなぁ、という他人事の感想しかわかなかったのだが。

    「希望」って何だっんだろう。

    「何か」が、「どうにかなると」もの凄い舞台になるような気がする。
    とは言え。その「何か」が何なのか、「どうにかなる」とは何なのかは、皆目見当がつかないのだ。

    こういう言い方が適切がどうかはわからないが、観る人を選ぶ舞台であったのではないだろうか。で、私は選ばれなかったということで。

    平たく言ってしまえば、2時間という時間の長さはそれほど感じなかったものの、特に後半は苦痛でしかなかったという体験を久々にした舞台であった。

    音響の感じはよかった。

    それと地震のほうが、舞台の上よりもインパクトと、気持ちの揺さぶった、ということもあったのかも。
  • 満足度★★★★★

    キクなあ。。。
    会話のない舞台。

    抽象的な身体表現&メタファにあふれていて、最初は、面食らったが・・・。

    開演30分くらい経った頃。

    舞台上で繰り広げられているものに対して、地獄絵図のように重苦しく、鳥獣戯画のように軽妙に「人間そのもの」を表現してるなあ、と感じ始めてから、グイグイ引き込まれた!

    舞台上で繰り広げられる世界に、ズッポリズブズブにひたりきった!

    そこからの90分。あっという間に感じた。この手の舞台では、初めてかも。


    この舞台は、韓国の演出家チェ・スンフンさんが、「説明」に書いてあるようなテーマを、役者さんに投げかけて、それぞれのシーンを作り上げていく・・・という作り方をしたらしい。

    それらのシーン。

    これは、観る人それぞれで、感じ方もおもしろさも違ってくるんだろうなあ。

    「正解」を探るんじゃなくて、身近な人々や街の風景を想起したら・・・とってもリアルになった。 ま、ボク自身が持ち合わせている「業」や「欲望」「生き様」そのものなのかもしれないけどさ・・・「自分のことはさて置いて」のほうが、気がラク(笑)

    チェさんの用意する「正解」はあるんだろうけども・・・それぞれが、何かを感じ取って、人生の色付けに使えたら、それでイイと思った。

    アフタートークでは、謙遜の言葉が連発した役者さんたち・・・。

    その身体表現、すばらしかったです!おもしろかったです!脳に身体に・・・ビンビンきました!!!

    ネタバレBOX

    身体に養生テープで書物を張り付ける男。でも、内面に浸透してないあたり・・・ボクみたいだね。

    いろんなものを欲しがる女。でも、欲しいものが多すぎて、挙句の果て、なにが欲しいのかもわからなくなって、結局なにも残らない・・・ボクはそうじゃない、と思いたい(笑)

    欲望のまま生きる女。結果、訳わからない状況に・・・そんな時もあるよね。

    禁欲的で有りたいのに、袋小路に迷い込む男・・・そんなもんだよね。


    作られた知識・情報から逃れようとしても・・・それらは結局、誰かが引き継いでしまう。同じことの繰り返し。

    純粋無垢で、希望にあふれた赤ん坊だって、育てるのは今を生きる人間だから。

    芸術や宗教だって、所詮は気休め。

    ま、芸術とは?宗教とは?なんてどうでも良くて、「人生、寝て食ってヤッて、チョン」で充分って思いもあるにはあるんだけど。


    それはそうと・・・


    トイレからキャベツが出てきちゃった時は・・・唸ったなあ(笑)


    あと、白塗り(←親しい人の骨粉を塗ったくってる状況?)って、凄いわ。

    この『希望』を観て、初めて白塗りが放つ力強さに酔いしれた。

このページのQRコードです。

拡大