満足度★★★
夜の部鑑賞
隅田公園に建てられた仮設劇場(といっても立派な造りでした)での公演で、新年最初の公演に相応しい華やかな作品2本でした。歌舞伎は数回しか観たことがないので、あまり深いところまでは感じ取れなかったのですが、休憩を含めての4時間を飽きることなく楽しめました。
『寿曽我対面』
五郎、十郎の曽我兄弟が父の敵である工藤祐経の所へやって来る物語で、古めかしい台詞や、ギリシャ劇のコロスの様に一列に並び順に台詞を繋げて行ったり、何度も見得を切ったりと非常に様式化された演出が興味深い作品でした。
勘三郎さん演じる兄・十郎の慎重さと橋之助さん演じる弟・五郎の気の荒さの対比が楽しかったです。派手な化粧や衣装も華やかで素敵でした。
『於染久松色読販』
お染と久松の悲恋の物語を中心に様々なエピソードが絡み合い、陰惨なシーンからコミカルなシーンまで盛り沢山な作品でした。お染、久松を初めとして7役を次々に演じた七之助さんの演じ分けが見事でした。小道具やセット、身代わりの役者を用いての早替りが楽しかったです。第3幕は舞踊が中心で繊細な表現から豪快なアクションまであり、華やかでした。
大道具が可動式になっていて、幕を閉じないまま行われるダイナミックな転換も楽しかったです。
満足度★★★
8年後の七之助さんのお六に期待します
昔、息子が、曽我五郎を、自分が、久松を踊ったことがあり、そういう懐かしさも手伝って、楽しみに雪の隅田川に初芝居を観に参りました。
「お染の七役」の方は、芝居のストーリーに重きを置くよりは、七役早替わりの趣向を楽しむ芝居だと思うのですが、それでも、芝居の核として、土手のお六と鬼門の喜兵衛夫妻の場の高揚感は、大事な要素です。
その点において、まだ今の七之助さんの若さでは、体現しきれない部分がありました。
8年後か10年後あたりの彼の再演に期待してしまいました。
それと、これは余談ですが、足元がお寒い方にと案内係りの勧めるブランケットが有料なのには驚きました。500円ですと購買を勧めていましたが、あれほど、当日その場で必要なだけで、持ち帰るには、荷物になるし、無用の長物になるものはないと思うのですが。
これは、来て頂いたお客様の居心地のために、無料で貸し出すべき物だと思いました。
満足度★★★★★
夜の部よかったです
私の2012年初観劇は、やっぱり歌舞伎になりました。
お正月らしい寿曽我対面は、中村座の(小さい)舞台でとても華やかに見えました。勘三郎丈の曽我十郎は初めて見ましたが、とても柔らかく優しい感じでした。
今まで見た十郎では、五郎を止める場面での指の反りを美しいと思いましたが、勘三郎丈は、その場面で手のひらを五郎の胸に当てていたのが印象的でした。
お正月らしく目出度い舞台でよかったです。
七之助のお染七役は、玉三郎監修らしく、科白回しや表情に玉三郎丈そっくりなところがたびたびありました。特にお光やお六。
まだ真似ている段階でしょうが、そのうち七之助の芸になると思います。
早変りも(さすが中村屋だけに)すばやくて、みんな大喜びでした。