ITI世界の秀作短編研究シリーズ ドイツ編 公演情報 ITI世界の秀作短編研究シリーズ ドイツ編」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    『氷の下』
    『氷の下』

    上演場所にもとからあると思われるスクリーンに訳注的な解説なんかを投射してくれたり。← 主人公の名前は英語で云うと nobody という意味であること、とか。

    俳優さんは戯曲本ではなくタブレット端末を手に持って操作しながら。終幕時は、電源ボタンを押して、照明とともに暗転。

  • 満足度★★★

    『イドメネウス』鑑賞
    モーツァルトのオペラ『イドメネオ』で有名な、クレタの王イドメネウスとその息子イダマンテスの物語をベースに、登場人物の1人であるエレクトラの家族間での殺し合いのエピソードも接合しながら、様々な「もしも~だったら」と別の話の展開を見せては分岐点に戻って進む作品で、どの選択が正しいのか、また、正しい選択とは何を根拠にしているのかを考えさせられました。

    白い会議机が集められた周りに黒い箱状の椅子が点在していて、机の上や椅子、さらには客席内の椅子に場面毎に座る位置を変えながら物語が展開しました。元の物語と異なる展開になる時は明け透けなエロティシズムや猟奇的なグロテスクさを強調する方向へ行きがちなのが、いかにも現代ドイツ演劇らしいと思いました。

    役者と役あるいは語り手の関係が固定されていなくて、様々な役者の声で立体的にテクストが読まれ、役者達の台詞回しがしっかりしていて、視覚的な表現がなくても十分楽しめました。
    舞台となっている地中海地域を感じさせる雰囲気があるギターの生演奏による音楽が良かったです。

    変に弄くり回さず、戯曲の魅力がそのまま伝わって来る様な素直な演出でしたが、もう少しアクがあっても良いと思いました。

  • 満足度★★★

    『氷の下』鑑賞
    コンサルタント会社を舞台にして、効率を追求する資本主義やマスメディアによって社会から人間性が失われていく様をシニカルに描いた、政治的な作品でした。感情移入が出来るようなドラマが展開されるわけではないのですが、抽象的で取っ付きにくい感じはなく、素直に笑ったり怖さを感じたり出来ました。

    横一列に並べられた机と椅子、机の上にはマイクと水の入ったペットボトル、背後にはスクリーンというシンポジウムの様なセッティングの中、コンサルタント会社に転職してきた冴えない感じの中年男性とやり手な感じの2人の若い社員のモノローグが交互に語られる構成で、若い2人のポジティブな営業トークが空虚に連呼され、人間がいない、物達自身が経済活動を行うというシュールなディストピアが浮かび上がってくる物語でした。
    ドライな質感の台詞が続く中に、ユーモラスなミュージカルの描写があり、重いテーマとのギャップが面白かったです。

    役者達は本ではなくiPadを用いて台詞を読み上げるのが作品のテーマに合っていました。
    タイトルそのままに氷(のイミテーション)を使った演出は分かりやすく視覚的にも聴覚的にも上手く使われていましたが、表現がリテラル過ぎる様に感じられました。「氷」をもう少し象徴的に扱い、観客の心の中でイメージさせる方がその冷ややかさが伝わってきたと思います。
    最後に流れる、この公演の為に作られた歌がタイムリーで且つ皮肉が効いていて良かったです。

    戯曲は興味深い内容だったのですが、役者の台詞回しがぎこちなかったのが残念でした。

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