実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/07/12 (金) 19:00
宗教二世の話と知って、どんなことなのか?と興味をもった。
また映画『ある船頭の話』でヒロインの少女役を演じた川島鈴遥さんが観たくて観劇。
舞台美術から引き込まれ、ベッドの上の青年の言葉に吸い寄せられたり投げ飛ばされたり…
少女と母と見事に演じていた川島鈴遥さんの紅一点が効いていましたね。
シンプルだからこそ複雑さが際立つ、ピント張り詰めた糸が見えた舞台でした。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/07/11 (木) 14:00
親は入信し精神的に満足しているが、残された子供は不幸。宗教団体の施設の中で、親から断絶された孤独感、虐待。宗教2世の問題に焦点をあて真正面から描く。いい作品でした。
実演鑑賞
満足度★★★
開演前、舞台上空のピンスポットライトが球状歯車のように幾何学的に回転している。ピカッと一点だけを照らすリズムが催眠効果を生む。
とある兇悪な事件を犯した被疑者(坂本慶介氏)が拘置所に鑑定留置されている。国選弁護人(田中亨氏)は心神喪失の為、責任能力なしのラインで弁護しようと面会を希望する。担当している精神科医(廣川三憲氏)はそれに難色を示す。被疑者はずっと夢の中を彷徨っていた。
僕は三日に一度、母を殺す。
僕は三日に一度、母を犯す。
僕は三日に一度、母から産み落とされる。
10歳の時、母親に連れられて遠い田舎の山奥にある教団施設まで延々と歩いたあの日の記憶。
オウム真理教や統一教会、カルト教団の絡んだ様々な事件を連想させる。村上龍が一気に書き殴ったような筆遣い。流れる旋律は『コインロッカー・ベイビーズ』っぽい。
紅一点、川島鈴遥(りりか)さんはベッキー的明るさと壇蜜系の憂いのある整った顔立ちで場を彩る。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/07/10 (水) 14:00
座席1階
宗教2世をテーマにした物語。キリスト教ふうの「メサイア」がつかさどり、入信した家族は子どもと大人に住居を分けられる。主人公は、幼い頃からこの子ども住居で暮らす少年ミムラ。母親との接触は「愛着は罪。最終的に欲望を生み、世界の平和を壊す」との教えで会うことはかなわない。
俳優は5人だけ。独白が中心となる主人公ミムラのせりふ量がすごい。しかし、よどみなく流れていく物語は、この俳優・坂本慶介の底力を示している。中央に置かれた病院のようなベッドを中心としたシンプルな演出も効果的。主人公が嫌う賛美歌のような音楽も人の心を切り裂くような役割で客席に迫る。
緻密に組み立てられた会話劇で、宗教2世の実態にスポットを当てていく舞台は見事だ。だが、あえて注文したい。宗教2世がテーマなので外れているかもしれないが、人はなぜこのようなカルト宗教に陥っていくのか、この舞台には姿を現さないミムラの母親の物語が少しあってもよかったのではないか。
1時間20分。メリハリの利いた切れのいい舞台で、満足度は高い。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/07/09 (火) 19:00
ベテランユニットによる秀作。観るべし!(3分押し)83分。
いわゆる「宗教2世」を題材に、殺人を犯したらしい青年と、彼を取り巻く宗教関係者や弁護士・精神科医が語る物語…、というような展開。シリアスな題材でもエンターテインメント要素を入れることが多いユニットだが、本作ではそういった要素はほとんどなく、重く厳しい展開が続く。主人公ミムラ(坂本慶介)・年少の少女シズル(川島鈴遥)・弁護士(田中亨)の若手3人に、同ユニットお馴染みの杉木隆幸、ベテランの廣川三憲が脇を締めて、タイトな舞台が展開されていた。手前に向けて傾斜した八百屋舞台に鉄製のベッドだけというシンプルな舞台で、特に印象に残ったのがライティングの美しさ。開演前に作・演出の詩森さんに「鈴遥さん、オススメですよ」といわれたのだが、事実上初舞台という川島も、他の役者陣も役割をしっかり演じて、見事だった。
実演鑑賞
満足度★★★★★
この作家は作品によって作風がかなり変わることがあるように思うが、今作は独特の雰囲気がなかなか良い。カルトが描かれた作品にふさわしい。舞台上はベッド一つだけで場面が展開されるところや、主人公と弁護士役が対照となるのが興味深い。若い俳優たちも相当の実力を有している。しかし、タイトルの「神話」とはどういうことだろ?