実演鑑賞
満足度★★★★
『思い出せない夢のいくつか』は列車内を舞台にした3人芝居である。
歌手の由子(兵藤公美)とその芸能人生の苦楽を共にしてきた長年のマネージャー安井(大竹直)、由子の付き人である貴和子(南風盛もえ)が地方巡業へと向かうため列車に乗っている。
3人は過去の世間話や窓の外の景色、そして空の星座についてのとりとめのないおしゃべりを続ける。一見なんてことのない、こちらもまた静かな会話劇だけど、さりげない一言一言がそれこそ星と星のようにつながり、3人の間に生じている穏やかではない起伏をそっと確かに握らせていく。
以下ネタバレBOXへ
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/12 (日) 10:30
「思い出せない夢のいくつか」
アゴラ劇場サヨナラ公演もあと3日を残すところとなり、建物外観の写真を撮る人が目につく。
大人3人の夜行列車の旅。
木製の座席とランプの灯りが、”大人の銀河鉄道の夜” を柔らかく見せる。
実演鑑賞
満足度★★★
『阿房列車』
1991年初演、『思い出せない夢のいくつか』(1994年初演)と同じ会話があったがこっちが先だった。オチのない話を皆で回す『すべらなくもない話』。何か落語っぽいよね。主演の中藤奨(なかとうしょう)氏の喋り方が太田光みたいで、笑いのない漫談を聴いている感じ。掛けっ放しの深夜ラジオを何となく聴いているような。
奥さん役のたむらみずほさんが流石だった。会話の何気ない一言に急に大声を上げてブチ切れるツッコミが客席を沸かす。
何気なく席についた田崎小春さんは話好きの夫婦に延々と捕まってしまう災難。
実演鑑賞
満足度★★★
『思い出せない夢のいくつか』
どさ回りの落ち目の歌手(兵藤公美さん)が列車に乗っての地方巡業。かつては一斉を風靡したこともあり、それに憧れた歌手志望の少女が今は付き人(南風盛〈はえもり〉もえさん)に。長い付き合いの裏も表も知るベテラン・マネージャー(大竹直〈ただし〉氏)。
兵藤公美さんは室井滋っぽい。会話の雰囲気が小林幸子を思わせる。結婚離婚のエピソードは大原麗子を連想。カンパニーデラシネラ、『気配』で主人公の奥さん役だった。
舞台美術が凄い出来。撒かれた白と灰色の砂利、敷かれた線路、昭和初期の木製の客車。車輪に見立てたバーベルが前後に転がっている。星座早見盤を取り出す南風盛もえさん。三人は蜜柑や林檎を食べながら窓の外の星を探す。煙草を吸いに行ったりジュースを買いに行ったり。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/05/10 (金) 19:00
『想い出せない…』を観た。静かな演劇だが、起伏はある。(3分押し)72分。
1994年に緑魔子を迎えて書き下ろした作品。「芸能人」の由子(兵藤久美)と古株マネージャーの安井(大竹直)と若い付け人の貴和子(南風盛もえ)が列車で旅する間のさまざまな会話。由子の芸能人というキャラクターのせいもあって、会話の起伏は『阿房列車』より大きいが、エンディングの美しさはまた一味ある。
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/05/09 (木) 19:00
『阿房列車』を観た。何も起こらない静かな演劇の典型と言おうか。(3分押し)66分。
内田百閒の紀行文をベースに、平田オリザが1991年に書き下ろし、何度か上演されていた戯曲。旅に出た夫婦が列車で出会う若い女性と、とりとももない会話を続ける。夢を見たかのようなエンディングが美しい。