ひとよ 公演情報 ひとよ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
21-34件 / 34件中
  • 満足度★★★★

    やや作りこみが過ぎるとは言え
    やはり、この劇団の資質は健在でした。

    会場に足を踏み入れた瞬間にワクワクします。

    上演時間は2時間弱なのに、その中にしっかりと、登場人物のそれぞれの15年が丁寧に描かれている。
    これだけの、特化された虚構世界の出来事を描きながら、その裏にきっちりと、人間の真実の姿が投影されているのは、ひとえに、桑原さんの筆力、演出力、そして、KAKUTAの劇団員の演技力のなせる技と、いつも感心します。

    ただ、今回の舞台は、自然な演技に定評のある劇団員と、役を演じるという演技法の一部客演陣との間に、微妙ながら、演技の不協和音を感じました。

    また、若い二人の登場人物が、蛇足に感じてしまいました。友国と木俣のカップルは出さない方が、話が散漫にならなかっただろうし、リアルさが増したように思いました。

    ネタバレBOX

    相変わらず、KAKUTAの桑原さん、若狭さん、高山さん、成清さん、原さんの役を生きる技術に魅了されました。

    普通、劇団員の場合、座付き作者が、似たような役を書く傾向があり、バランスを保つためや新しさを求めて、客演陣を投入する方法が取られるように感じる劇団が多いように思うのですが、KAKUTAの役者さんは、いつも、その芝居の役がまるでその人自身のように感じさせて下さるので、芝居内容だけではなしに、今度はあの役者さんはどんな人間として、舞台に現れるのだろうと、常に興味が尽きず、観劇を心待ちできる稀有な劇団だと感じます。

    今回もその期待は裏切られることがありませんでした。

    ただ、「ひとよ」に関する決め台詞を、客演の岡さんに任せたのは、失敗だったようにも感じました。岡さんは、役を演じるタイプの女優さんで、あの台詞の前に、さあ、ここで大事な台詞を言うぞという一瞬の溜め呼吸を感じてしまったのです。
    だから、最後の最後で、あー、これはお芝居だわという感じがしたままエンディングとなり、いつものKAKUTAの終幕から感じる衝撃が薄まってしまったように思い、そこがちょっと残念ではありました。

    まいどさん演じる堂下の顛末は、もう少し前に出して、終幕は家族だけにした方が効果的ではなかったかな?と感じます。

    いつもセットの巧みさに舌を巻くKAKUTAですが、今回も、舞台上空のタクシー車内の場面が秀逸で唸りました。運転手さん、3人の運転気質までが如実に表出されて、桑原さんて、あれだけ、重要な役を演じつつ、こんな演出をできるなんて、驚異的ですね。

    あ、そうそう、登場人物の台詞に出て来る「タクシードライバー」の映画感。私も当時全く同じ感想を持ちました。あの映画は決して面白いという内容ではありませんでしたが、あの主役の貧相な生活感が今でも胸に残ります。あの生き様は体験したくないなと。

    桑原さんて、私より何世代もお若いのに、すごい感性の持ち主だったんでしょうね。きっと幼少の砌から。当パンの彼女の巻頭文を読んだ時点で涙が出ました。
  • 満足度★★★★★

    無題171
    19:31開演〜21:24終演。チラシは以前から目にしていたけど、予定には入れてませんでした。今夜は休観日のはず…が、ふと予約したのは22日の朝、で、B列ほぼ中央、ということは、やっぱり最前列ってよくないのか?Liveじゃ絶対最前列じゃないか。観終わって改めて半券の写真を眺める…ここから舞台で観たものは想像できないなぁ…だから観る予定には入れなかった…あぶなく観逃すところだった、と深く反省。

    ネタバレBOX

    最前列ですと舞台の細かいところまでよくみえます。壊れかけたようなブラウンカンTV、「秋の交通安全運動実施中」「夜道の運転は慎重に」などの古びたポスター、下手ガラス戸の汚れ、無造作に丸められた傘、など細かいものまでよくできていますし、役者さんの息遣いがそのまま届きます。最後の取っ組み合い、舞台から飛び出すのかと思いましたし、流れる涙、舞い散る小雪や桜の花びらもよく見えます。2階部分、タクシーのセットはコミカル。

    前説からして、タクシー会社の社内アナウンス。

    雪が舞い散り、こはるが夕食..父親殺しを子供たちに伝えるシーンからスタート、壁に「ひとよ」の文字が浮かびます。

    15年後、家族の再会とすれちがい、堂下が抱える悲しみ

    家族を殺すということ...「家族内殺人」、「加害者家族」という新書があります、とても本作のようにはいかないものです。

    ひとつ、思い出深い夜ができました。続く(予定)
  • 満足度★★★★

    家族に横たわる暗く深い溝 でも・・・
    一瞬も気の抜けない舞台でした。広いシアタートラムの両端いっぱいを使って、去来する人々。それがとても自然なのはさすがです。
    舞台装置、よかったなー。
    人物ひとりひとりやその関係性にスポットがあてられるのは見事だなーと思いながら帰宅後リーフをみたら、一人だけどこで出てきたのかどうしても思いだせない人がいた・・・
    牛飼いと長男の嫁に救われましたが、あまりにも重いテーマ、これでいいのかなぁ。と少しのどにひっかかるのもまたよし。

    ネタバレBOX

    おとんがうざくて殺意を持つ、というのは、多かれ少なかれどの家族にでもあることなのでは と思います。そこをいきなり飛び越えたところから始まり、その後を残された人々はどう生きてきたか、という話なのですが、そこにはどうしてもそれまでに形成された人間性が垣間見えるはず。惜しむらくは、3人兄弟にそこが描ききれていないところ。
    長男のどもり、次男の性格・・・最後の母ちゃんの慟哭だけがそれを垣間見せたように思います。

    牛飼いの不思議な魅力、とてもよかった!
  • 満足度★★★★

    演劇の定番といえるテーマ
    で、オーソドックスな舞台でした。期待しすぎちゃっていたせいか、まじめな作りにちょっと物足りなさも感じましたが、吉永さん登場以降、シリアスな中にお笑いもあって、グッと引き込まれました。

  • 満足度★★★

    なかなか楽しめた!
    個人的には、なかなか楽しめた!家族愛を描いた作品。
    どちらかというと今回は好みではない作風であったが、
    それでも感銘を受ける内容であった。
    次回公演も観たいと思った。

    ネタバレBOX

    家族愛を描いた作品。
    家庭内暴力をする夫を3人の子供を守るために殺害する妻。
    家族に夫を殺害したことを告白し、15年後に家に戻ることを言い残して、
    警察へ行くところから物語は始まる。

    <良かった点>
    ・子供を守るために妻が夫を殺害したことが、家族にとって、
    それぞれの人生にどのようなことであったのかを、描いている点。
    ここは感銘を受けた。
    ・外人役?をやった役者さんがコミカルで楽しい点。

    <ちょっと好みではなかった点>
    ・結局、外人役?の人が何故妻を追ってやってきたのか、が不明。
    牧場がつぶれたということは分かったが。。
    そして、何故、最終的に突然さるのか、が分からない。(転換期とは言ってたが)。なんだか唐突感あり。
    ・妻の友達とタクシー会社の従業員の不倫の下り。
    そして、妻の友達が介護していた義理の母親を殺害するという点。
    これは不要な感じがした。。
  • 満足度★★★★★

    絶対、オススメします!!
    この舞台、まだ観ていない人は、絶対的にオススメします!!

    観劇して、こんなに嗚咽するまで泣いたのは初めてでした。

    タクシー会社とその社員たちは、それぞれに「重いもの」を抱えながらも、懸命に毎日を生きている。

    何をしたからって、それが消えるわけでもない。

    泣いても、笑っても、それがズシンと体の奥底でうずきながら、それでも昨日と変わらぬ毎日を生きる。

    家族や仲間どうしで傷つけ合い、支え合う。その当たり前のことを、鷲掴みにして舞台上に引き上げてきたのがこの作品だと思う。

    家族のことを描く場合、その根底に流れる得体の知れない感情の渦を象徴するような、周りからすると「ささいなこと」に上手く焦点を当てることが、とても効果的だとわかった。

    役者、脚本、演出、全てがすばらしかった!!

    ネタバレBOX

    今回の場合、長男が「しゃべりがどもっていて、指が曲がっている」ということが、家族関係の深い歪みを象徴している。
  • 満足度★★★★★

    オバケ!
    タクシー用語一つ憶えた。
    あの日から15年、どんな気持で生活してきたのか? 聞きたいこと、言いたいことそんな家族を自分のことのように見入っていた。

    ネタバレBOX

    ラスト、兄弟の笑顔にホッとし、こはるの泣きに涙した。
  • 満足度★★★★

    もぐたんのお姉さん
    お母さん役の岡まゆみさん、どっかで見たかもな~と思ってましたが今日気づきました。
    長寿番組「まんがはじめて物語」の2代目お姉さんじゃないですか。(なつかす・・・。初代がうつみ宮土理で、お、ロングおじさんも出てるよ。)
    ・・・・・・・すいません関係ない話を・・・えと芝居はよくできていて、感動する場面もありました。意図どおりのことができている感じです。
    しかし、冒頭の場面にいくまでの経緯(短くていいので)があったらなぁと思いました。

  • 満足度★★★★★

    不器用で可愛い人たちのお話
    人間って不器用だと感じながらも、その中で戦って支えあって生きている姿が可愛いものだと実感しました。頑張って強く生きようとしながらも、弱いなぁと。
    それぞれのキャラクターがとても生きていて、濃くもありながらも自然で面白かったです。

  • 満足度★★★★★

    人よ・・・
    良いお芝居を見ると、幸せな気持ちになります。
    この日も、しみじみ幸せをかみしめながら帰宅しました。
    ありがとうございます。
    友達にも勧めました。たくさんの友人に観てもらいたいです。

    全米が泣いてもまず泣かない私ですが、最後泣いてしまいました。
    不覚。でも、気持ちの良い涙でした。

    特別な一夜から始まる話であり、素敵な人たちの話でした。
    タイトルはやっぱり「一夜」だけでない、「人よ」のダブルミーニングですね。
    一人ひとりの登場人物が愛しく魅力的な存在でした。

    良い芝居をありがとうございました。

    ネタバレBOX

    子どもたちの為に父親を殺したお母さん。
    冒頭から、いきなり衝撃的な一夜を目の当たりにして、そこからグイグイ物語に引き込まれました。

    岡まゆみさんというと美人女優、お姫様女優(大河の細川ガラシャからか?)のイメージがあったので、最初驚いたのですが、すぐに気にならなくなり、いつしか「お母ちゃん」にしか見えなくなりました。
    確かにおばちゃんと言うには不自然なほど美しいのですが、息子のためにモナカを投げつけるところなど、「お母ちゃん」そのものでした。
    離れて住んでいる母親のことを思い出し、何度も涙が出そうになりましたが、そのたびにものすごく良いタイミングで、笑わせてくれた「ヨシナガさん」。最高です。ありがとうございました。
    私は、芝居でも映画でも、他人がそばにいるときに泣くことをよしとしません。
    芝居中に鼻をすするなんてとんでもない。(自分がするのもNGだけれど、他人のその音を聞かされるのも、実は嫌)
    そんな私ですが、最後の、それまでずっと笑っていたお母ちゃんの号泣シーンには、涙の堰が切れました。
    アンケートを記入しながら、鼻水ダラダラたれ流してました。不覚。

    まいど豊さんの泥酔からその後に続く暴行シーンはとても演技には思えず、本気で怖かったです。
    (あの場面があったので、死んだ父親がどんな男だったのかも想像できました)
    芝居が終わってから「改めて役者ってすごいな」と思った次第です。
    大満足のお芝居でした。ありがとうございます。


    自分用覚書
    「自分にとって特別な夜でも、他の人にとってはただの夜だよ。でも、自分にとって特別ならいいじゃないか」
    「膝小僧もなか」
    「代わりについてきたものもいっぱいある」
    「牛が踏んでも泣かない」
    「転換期です」
  • 満足度★★★★★

    初KAKUTA
     KAKUTAさん初観です。「ブラジルの怪物」で桑原さんを観てから、桑原さんの演出作品を見てみたいというのが動機でした。
     冒頭の雪を舞台全体のコントラストで映えた印象で引き込ませたり、舞台上の左右、上と見る人を飽きさせない配慮のきめ細かい演出、それに沿った美術、音楽の使いかたなど期待以上のお芝居でした。
     このお芝居の観劇を迷われている方や「KAKUTA」を観たことがない方には是非お勧めします。但しシュールさを全面に表したテーマや恋愛至上のテーマの演劇がお好みな方には向かないかも知れません。私はリピートします。

  • 満足度★★★★★

    思えば遠くへ来たもんだ
     結成15年おめでとうございます。2001年以前から何度か拝見しているので、もうずいぶんと長いお付き合いになりますが、今もこうして続けていらっしゃることが我が事のように嬉しく思います。

     あまり演劇を観たことがない友人に、「今度芝居を観に行くんだ」というと、必ずと言っていいほど「喜劇?悲劇?」というようにジャンルわけをされるのですが、僕はそのことにずっと違和感を抱いていました。だって、顔で笑って心で泣いて、なんてことは人生の中では当たり前のようにあるわけで、舞台が人生を写す鏡だとすれば、芝居だってそう簡単に割り切れるものじゃないと思っていたからです。

     KAKUTAの芝居は、そのバランスというかブレンド具合が絶妙で、単純なハッピーエンドを迎えるわけでもないし、社会派的な問題提起をされるわけでもありません。人と人が関わり生きていくといくということは、当たり前のように面白さと難しさがあるわけで、気をてらった演出や演技を用いずとも、それらを見事に表現しており、だからこそ観客は気がつくと登場人物一人ひとりに感情移入してしまい、どっぷりと物語に浸ってしまうのです。

     20代の初々しい青春群像劇も好きでしたが、30代半ばだからこそ描ける「今」を、存分に味わうことができて、片道2時間の道のりもなんのその。楽日に向かってますます加速していくであろうこの芝居、ぜひお友達を連れて観に行ってください。それもできれば普段芝居をあまり観ない友人を。

  • 満足度★★★★

    じんわりと、ボディーブローのように
    人生の喜びと悲しみが迫ってくる群像劇。一人一人が劇中のキャラクターとしてではなく、それぞれの人生を背負った人間に見えるところがすごいです!何度でも見たくなる名作。シアタートラムの大きな舞台も上下にうまく使われ、さまざまな人の一瞬をうまく切り取っていた。すごい、実力派ですね。
    劇中15年も経っているのに、苦労を重ねたはずのお母さんが全く外見も性格も声も変わってなかったのがちょっと不自然な感じだったかな。

  • 満足度★★★★★

    素敵な時間
    見てみたかったこの劇団

    伏線の思わぬ展開に笑いホロ

    喜怒哀楽が沢山詰まって素敵

    次回から自腹切って絶対みたい劇団がまた増えてしまった

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