満足度★★★★★
めっさ重い内容。
知的障害者を持つ長男、仕事でヘッドハンティングをされるほど有能な妹、そしてその両親の4人が登場人物。
そして父親の定年退職記念で温泉旅行へ。
長男は子供の頃に家族のとあるいざこざから高熱を出して知的障害者になってしまったのだけど、
満足度★★★★★
家族ゆえに
前回観た方が、高く評価されていたので、ポッカリ空いた時間に観に行った。
満席で最後列の端だったが、舞台は見やすかった。
父、母、息子、娘、家族4人の温泉旅行。
大抵の家庭で、子供たちが成人すると、家族旅行は「妥協」のうちに成立している場合が多いようだがこの家族はより深刻な条件(あえて条件と書かせていただくが)のもとに家族として成立している。
「罪」というのはこの劇の場合、それぞれの「生き方」と置き換えることもできるが、私自身もまた、母の病気を巡り、父との間でこの家族のように、「罪」をめぐって対立が起きた経験を持つだけに身につまされた。
家族だけに、自分を責め、相手を責め、この劇のように堂々めぐりになってしまう。そのときに救いとなるのは第三者の視点である。
そして最終的には家族だからこそ、人間として、互いに許し、思い合うしかないのだということを改めて考えたお芝居である。
満足度★★★★
言葉の前にあるものの強さと弱さ
キリスト教圏の家族は、アイラブユーという言葉で左脳的に踏み固めた地盤のうえに成り立っている。日本の家族はそうではない。それは言葉の前にある。だから弱い。否、だからこそ強いのか。
見終わってそんなことを考えた。
すごいと思ったのはテーマ性とストーリー性の配分の加減。日本の家族問題というのはある種普遍的なテーマだが、それを充分踏まえつつ、そこに依存せず、この家族に特殊的な「罪の意識」に起因する「この家族の事情」をストーリーのエンジンにしている。
そうだからこそ、この芝居はああいうふうに終われるのだと思うし、よくある「近代家族もの」から一線を画すことに成功しているのだと思う。
満足度★★★★★
名作の再演、必見!
前回観たときも完成度の高い作品だと思ったが、今回はさらにその感が強まった。空気感が凄く、密度の高い作品でぐいぐい引き込まれる。
まず、シンプルながら旅館の一室を見事にデフォルメした舞台美術が秀逸。
そこで繰り広げられる家族の物語は、取り繕っても取り繕ってもほころびが出る家族の関係を4人の名優が見事に描写している。
蓬莱竜太の脚本がまた、さすがの出来である。