いのち ~フル~ 公演情報 いのち ~フル~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.6
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★★

    無題34
    ちょっと迷って楽日での観劇となりました。すでに8人の方がコメントをよせていらっしゃいますので、ほんの少し。

    ネタバレBOX

    自殺者(お話のうえでは、未遂)からの臓器移植については、事故の場合と違って考えさせられるものがあるようです。7/18に「いのちへの作法-自殺者からの臓器摘出は許されるのか?」という講演がありますし、検索するとやはりいろいろなご意見があります。Yes / No。

    臓器移植というと、帚木蓬生さんの「臓器農場」がお薦め。「エンブリオ」「インターセックス」なんかも面白いです。

    予約の際ご面倒をおかけしました。やはりみにきてよかった。

    終わりは「Mother」ですね。ということは、ジョンになぞらえてみると、生みの親と育ての親ということかな…
  • 満足度★★★★

    考えるきっかけに・・・
    あまり考えたこともなかった臓器移植の意思カードの意味について 考えるきっかけになりました。

    シンプルながらも 照明や舞台を上手に使っていて、会場の小ささを感じさせない迫力がありました。

    ネタバレBOX

    ただ、色々詰め込みすぎというか・・他の方のネタバレにもありますが、コンビニ夫婦の子供の可能性があるのにDNA鑑定をせずに、結局どちらの子供だったのか もやもやした気持ちが残りました。

    それと自殺を目撃した女の子も、あれでいいのか?という気持ちのままで、やはりもやもや・・・。

    刑事も刑事らしいことをまったくしていないのがちょっと不自然で、刑事が偶然同じ病院にいる必要性があまり感じられませんでした。

    ただ、移植カードのくだりは迫力があり本当に引き込まれました。
    それと風船。少年の命の重みを表現しているようでインパクトがあって良かったです。

    考える良いきっかけになり、多くの人に見て欲しいと思います。
  • 満足度★★★

    臓器移植というナイーブな問題
    これをストレートプレイで公演したならどんだけ重厚な作品になっただろうと思われる。しかしこの劇団にはまだそういった演技力だけで見せる舞台は重荷だったようで、こういう劇団によく見られる逃げのコネタを盛り込んだ舞台だった。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    まず、自殺患者をストレッチャーに乗せた救急隊員が舞台に現われた時は意表を突かれた。この時点ではストレートプレイでやるのか・・と思ったくらいだ。そのうちコミカルな刑事らの登場で、そっちかぁ・・と思ったのだ。笑

    今回の物語は14歳の自殺患者が運ばれてきたことから始まる臓器移植に対し院内の医療現場に関わるドクター、看護師、移植コーディネーター、家族らの思惑を描いた舞台だった。今回の物語の見どころとして、それぞれの立場が違えば考え方も違ってくるのは当然なのだが、丹羽医師の言動はある意味、現場医師として普通のような気がする。

    移植専門の大病院に到っては臓器移植執刀医が臓器の持ち主の名前さえ知らされない場合も多い。この時点で臓器はモノであり執刀医氏はそういった詳細を知らされない方が雑多なストレスや、煩わしさから逃れることが出来、ただ単に執刀医として仕事がこなせるのだ。まさに病院は臓器農場のような感覚にさえなるが現場は意外にそんな感じなのかな、とも想像する。

    ドクター達は常に移植待ちの患者や家族をみながら、ついに亡くなってしまう患者らを歯がゆい思いでみてるのかもしれない。だから移植を率先する医師が待ちの患者寄りになるのは致し方ないことで、一体の死者の臓器で何人助かるか・・の対比を巧妙に演出していたように思う。

    また人間の死後、魂と共に蘇ると信じるアジアの信仰と、欧米のように死者の身体と魂は別物という信仰の違いも、日本での移植をめぐる家族の心理の問題も浮き彫りにさせる。

    赤い風船と少年の演出、赤いドレスとハイヒールの少年の母の描写、これらは暗い舞台に赤々と映えて否が応でも目に焼きついた。このカラーを操る絵画的な芸術性に反比例するように、二人の刑事のアホッぽさも中々コミカルな仕掛けだ。物語は解りやすく観易い。強いていえば助長に感じられる場面もあったのでその部分を濃縮させて欲しかった。
  • 満足度★★★★

    演劇として多少の難あり・・・でも多くの人に観てもらい考えてほしい
    内容については他の方の「ネタバレ」にも出ているので、
    重複は避けますが、
    やはり刑事まで登場させて、またDNA鑑定まで台詞で言及しておいて、
    最後は出自をうやむやにしてしまったのは、構成上どうなのかな?と。

    それから、私が何より気になったのは、
    台詞回しで、まるで専門書から抜け出したような、
    堅くて、書き言葉調で、説明的な言い回しが多かったこと
    (医学的説明に限らず他の台詞でも)。
    今でも、専門用語を羅列して素人にはよく分からない説明をする
    医療関係者もいるが(法律専門家にもいるが・・・)、
    以前よりは、その辺を改善する努力もなされているし、
    リアルの医療関係者でも、もっと噛み砕いた表現ができる人もいるのでは?
    と思った次第。

    例えば、看護師から移植コーディネーターに転身した新人と、
    元同僚の看護師との対話でも、友人という設定なのだが、
    最初は対立関係かと思わせるほど表情が互いに硬く、
    最後の頃、やっと冗談や笑顔が見られるあたり、
    どうなのかな、と思ってしまった。

    また、看護師の父のコンビニ店長が、娘の勤務先のある医師に、
    不躾な質問をするあたりも、必然性にやや難がある気が私はした。

    しかし、移植をやりたい医師と、
    それに反対する先輩コーディネーター、同僚医師との、
    激しいやり取りの場面など、
    「生命とは?」「医療とは?」を観る者にも考えさせる場面で、
    見ごたえがあった。

    ということで、正直、3Pにしようか4Pにしようか迷いましたが、
    演劇として多少難ありでも、
    多くの人に観てもらってこの問題を考えてほしいということから、
    4Pとしました。

  • 満足度★★★

    臨場感があり
    臓器移植問題にとある事件を絡ませた緻密に構成された筋書きに期待感が高まりました。

    ネタバレBOX

    自殺未遂の少年が病院に運び込まれ、脳死になろうとしていることから、関係者、医師、臓器移植コーディネーターが絡んで臓器移植の検討に入り、さらには過去の誘拐事件との関係性が疑われ佳境に入っていきましたが、そもそもどうなんだろうと思いました。

    もしかして少年はコンビニ経営者の息子であるかもしれないという重要な事実が判明したのに、医師がDNA検査を行わなおうとしないのが不思議でした。そこが解決されなければ、臓器提供の話は始まらないような気がします。

    酒蔵の方は厄介払いという気持ちが強いので、医療関係者の言うがままです。コンビニの方は、たとえ本当の肉親だとしても一緒に暮らしたことが無いので判断はできかねます。

    このケースは初めから臓器移植には不適切でした。

    本来、少年の身体に傷を付け、臓器を摘出することについて、家族が悩み、中止するのか、あるいは移植に踏み切るのか、そういったことが描かれて然るべきだと思うのですが、臓器の提供を待っている患者さんの立場に立ちすぎて少し目が曇ってしまった女医と、脳死が想定されれば無条件に動いてしまう若手臓器移植コーディネーターの暴走だけが目立っていました。

    そして刑事も怠慢でした。誘拐事件の解決のためにDNA検査で親子関係を調べようともしませんでした。残念です。
  • 満足度★★★

    避けて通れないテーマ。
    臓器移植は売買、死、倫理、家族、確執等々の深い問題を含み、当事者にしかわからない多くの理屈抜きの感情が浮き彫りにされる。医療用語を駆使しなかなかの出来栄えではあるが、もう少しショートカットしても良かったのでは。誘拐された息子と自殺未遂の少年が同一人物なのかどうか・・・・DNA鑑定の話題も出ず、解明にはミステリアスさも欠けていたように思えるし、刑事がいやにコミカルなのもしっくり来ない。面白いのはいいのだが、バランス的にはやや・・・・難がある。コーディネーターの心理的な表現は日本人としては納得かな。いずれにしても死を迎える側と死を待つ側、両方の親族の心理をどう表現してゆくのか今後の課題として楽しみにしたいものだ。クーラーが効きすぎて咳をしてしまった。節電に協力を!

  • 満足度★★★★

    印象的で日本的なお話
    ほうっと声を上げたくなるくらい、印象的で美しい幕開け。つかみは最高だったと思います。臓器移植という難しい問題を取り上げてはいますが、最終的には職業倫理と、いかにも日本人らしい感情論の対比になっていて、分かりやすかったです。舞台の構成も良く、俳優さんの発声もきれい。小さな声なのに、ホールの隅々にまでよく響いてました。でも、倉橋医師の演技がなんだかTVの連ドラみたいと思ったのは私だけでしょうか・・・・。それに冷房効きすぎで、寒かったです。しかし、照明などの演出や効果、場面の変換も鮮やかで、いい舞台でした!

    ネタバレBOX

    職業として臓器移植を進めたい医師と、死に行く者への憐憫と愛情からそれに対立するグループ。子供を誘拐された家族と、その事件の未解決を汚点と考える刑事。そして、移植コーディネーター。三つの職業倫理と感情がぶつかっていいドラマになっていたと思います。ストーリーに突っ込みたい点はありますが、(何故あっさりDNA 鑑定をしないのか、とか)あのエンディングにするためには、そういうわけにも行かないんですね。う~ん、あの美しいエンディングのために、臓器移植という問題がちょっとなおざりになってしまった気がする。感情や憐憫が職業理論に優った、みたいないかにも日本的なエンディング。私は、あの家族はたとえDNA鑑定で自分の子供ではないと判明しても、やはり臨終に立会い、孤独な少年の死を見送ったと思います。

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