第46回関東高等学校演劇研究大会 公演情報 第46回関東高等学校演劇研究大会」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
1-14件 / 14件中
  • 満足度★★★

    静岡市立商業高等学校「私の上に降る雪は」
    中原中也の生涯を描いた作品。中原は8歳の時に亡き弟を歌ったのが詩作の最初だった。書けない事を苦悩しながら2冊目の詩集「在りし日の歌」の刊行を待たずして、30年の人生を終えた。

    個人的に中原の詩で一番好きなのは「汚れちまった悲しみに」だ。だから中原の生涯の描き方はどんなか興味津々だった。

    以下はネタバレBOXにて。。

    ネタバレBOX

    舞台は中原の17歳の時から30歳までを描いたもの。主に二人の女を描く。

    中原は17歳の時から3歳年上の女優長谷川泰子と同棲、翌年上京し、本格的な詩作活動を始めた。その後、泰子は友人だった小林秀雄のもとへ去り、26歳で遠縁に当る上野孝子と結婚。結婚後も自らの家庭の経済を顧みず泰子を援助していた。

    27歳の時に、最初の詩集「山羊の歌」の出版を果たす。2歳の長男の死に痛手を受け、療養所に入院、2冊目の詩集「在りし日の歌」の刊行を待たずして、30年の人生を終えた。

    劇中、太宰治に中原が「僕は貴方が嫌いだ」といったエピソードも含まれ、良く調べたな、と思う。それにしても三島由紀夫が22歳の時に「僕は貴方が嫌いだ」と面と向かって言ってのけた相手が太宰だから、太宰は嫌われたものだ。

    中原を物語にするのは至難の業だと思う。30歳で死んでるのだから、泰子と家族と詩集以外にあまり取り上げる題材はないからだ。それでも約1時間の制限の中で幻想的に描写していたと思う。


  • 満足度★★★

    茨城県立土浦第一高等学校「Damn!舞姫!!」
    演劇部員が部での活動や練習風景、淡い恋愛を物語にしたもの。劇中劇。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    部員たちは「舞姫」を練習しながら役とキャストを決めていく。「舞姫」は森鴎外がドイツ留学から帰国して約1年半後の1890年、陸軍軍医学校の教官となっていた森鴎外(本名・林太郎)が文壇デビューを飾る小説で、ベルリンの日本人留学生と悲恋に陥り、むごすぎる別離で狂女へ追いやられる少女「エリス」が登場する。

    部員たちは「舞姫」を読んだことがなく、その説明にナビ役として一人の部員が他の部員に教えて進ませるが、これは同時に観客にも理解してもらうことを意味する。

    部員の西はエリスが林太郎から受けた屈辱に憤慨し、史実や歴史を捻じ曲げてエリスの恋愛を成就させようと意見するが、同時に自分が現在進行中の淡い恋をも成就させたいという心持から、こうした発言になるのだった。誰かに恋した乙女は自分をエリスに投影してしまうものなのだ。悲劇のヒロインになりたくないばかりに・・。

    丸4年におよんだ林太郎の留学中、かりそめの情人としたドイツ人女性の秘事は帰国直後、海軍中将・赤松則良男爵の娘、登志子との縁談が整いつつあった林太郎の身辺を不穏にするスキャンダルの火種にもなる。そうして西自身も淡い恋が難しい局面を迎える。

    その後、エリスは故郷に帰るが、同じく西も完全に恋に破れてしまうのであった。

    演技をしながらも、恋に破れた西はその劇場を抑えられずに暴れフテルも気を取り直して夕日に向かって帰路に着くのだが、現代の女子高校生にしては淡すぎる恋の描写は逆に新鮮だったりする。

    ああ、そうやって青春していたんだね。・・・としみじみ懐かしむお年頃!笑




  • 満足度★★★★

    日本芸術高等学校「ゴジラ」
    音響が最高!ちゃららん♪ちゃららん♪~~から始まる音楽はまさにゴジラ。勿論、ハヤタ、モスラ、ピグモン、ミニラネタは登場しゴジラファンを沸かせる。どちらかというとゴジラよりも怪獣にめっさ詳しいワタクシはドキドキ、ワクワクしながら見入っちゃったよ。笑)
    物語に着ぐるみは登場しない。ゴジラもセットの裏側に乗っかってお山のてっぺんから人間がゴジラの動きをする。しかし着ぐるみはなくても充分に想像できる範疇だから、まったく問題はなかった。そうして、何故、ゴジラが着ぐるみを必要としなかったかが、終盤になって謎解きされる。
    それにしても・・ゴジラ役の木村雄作がめっさデカイ男だった。苦笑!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    三原山の噴火に伴ってやよいの家族は避難することになるのだが、噴火を見たやよいの妄想と家族の物語。殆どコメディ。

    やよいの父は裏千家一ノ瀬流茶道だったが、この父がめっさ面白い。裏千家のくせに味音痴なのだ。更に祖母のキャラクターもハンパではない。この家族を牛耳っているのが祖母なのだ。笑

    やよいはゴジラを好きになってしまい結婚の約束をする。そこでゴジラはやよいの家族に「やよいさんをください。」とのっし、のっし・・と頼みに来るわけだ。びっくり仰天した家族は勿論、反対するがゴジラは火を噴きながら説得する。笑

    しかし祖母は黙っていない。お前にはミニラという子どもがいるじゃないか!結婚しててやよいをくれとはどうゆうことじゃ!・・と。笑
    困ったゴジラは一時退散し、怪獣仲間に相談するのだが、ここでの会話がバカバカしくもリアルなコメディ。円谷英二も登場させちゃうのだから、いやはやワタクシなど大いに楽しんで笑ったわさ。

    悩みぬいたゴジラは生まれ変わってやよいの元に必ず現れる。その時は結婚しよう!とこれまた火を噴きながら山に戻っていったのだった。やがて三原山は噴火し、一ノ瀬家と地域の人々は避難する為に船に乗り込むのだが、やよいだけが中々、乗り込まない。遠くの噴火を愛しそうに眺めているのだった。そこに慌てて逃げてきたでっかい青年を見つけたやよいは「ゴジラ?、・・ゴジラ!!」と叫ぶ。その名前の真意をよく理解出来ない青年は、首をかしげながらも、とりあえず、さあ、一緒に逃げよう!とやよいの手を掴むのであった。めでたしめでたし。

    個人的にものすっごく楽しんでものすっごく笑った。
    やよいがゴジラに恋した場面から、ゴジラが山に戻るまではやよいの妄想の中の物語だが、結果、ゴジラのような青年と恋に落ちる予感を残しほんわかとさせる終わり方は心地よかった。

  • 満足度★★★★★

    つかこうへいと井上ひさしはこれを知るまいがために死んだのだ。
    六本木高等学校「六本木少女地獄 関東修羅場列島横断紅色花吹雪ver.」

    唐が蜷川が野田がいなくなろうとも大丈夫。

  • 満足度★★★★★

    東京都立六本木高等学校「六本木少女地獄」
    800人の会場を騒然とさせた芝居。とにかく素晴らしいの一言。ここ数年、こんな破壊力のある芝居を観たことがあっただろうか・・。終焉後、大人も学生も、しばし、我を忘れてシーーン・・となった。そして少したってからザワツキ、そうして口々に「凄いね」と絶賛していた。高校生の殆どはこんな演技をした彼らに衝撃を受けたようだった。そうしてワタクシも。姉を演じた若狭明美の、観客丸ごとぶち殺してやる的な演技に全身の毛という毛が逆立ったように感じた。
    脚本は原くくる(生徒創作)だ。これは本としてもヒットするだろうし、映画でもイケル。そんな六本木少女地獄。


    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX

    シーンは行方不明になった両親に置き去りにされた姉とひきこもりの弟の描写から。姉は弟を苛めぬく。姉は居なくなった父の真実を弟には告げず、「父さんはボクロケットミントンの有名な選手だった。」と嘘をつく。「まったく情けない。お前も強くなって父さんのようにおなり。」と。

    やがて弟はその気になって父の跡を継ぎボクロケットミントンの選手になるが、このボクロケットミントンの説明がハチャメチャで面白い。その後のコミカルでバカバカしくてハイテンションな情景はアニメを見てるようで、かなり笑った。もしかしたらこのままコメディとして確立させるのか?なんて考えながら観ていたら、後半からのうねりのスピードは素早かった。

    過去の描写から。
    姉は、父親から近親相姦される。この時の姉が空を突き刺すような絶叫は観ていた観客を凍りつかせるような演技力だった。壮絶としか言いようのない絶叫は孤独と絶望とこの世の終わりを告げられた時に発する恐竜のような声だった。何もかもが滅んで虚ろになっていくさま。その断末魔のどこにも届かない叫び。ただ苦しみと怒りと悲しみから発せられる切り裂くような叫び。渾身の力を込め、声の限りに叫んだ姉はカラッポだった。静寂な空気を揺るがすように、その声は会場に響き渡ってストンと落ちた。

    そんなことをした父は行方不明になって、その幻影を引きずることになった姉。街でうろつくとオヤジに5万でどうだ?と声をかけられる。5万じゃ安いよ、オッサン!と返事する。なぜ女に生まれちゃったんだろう。ああ、嫌だ嫌だ女なんて・・と、女であることの卑屈さも表現しながら、しかし、姉はその叫びの後に全てを許すという。父の行為も全てを。そうして私たち兄弟が世界を征服してやる、とのたまう。それは兄弟の希望だ。

    少女が飼っていた鳥かごの中の鳥は卵を産むが孵らない。なぜって卵を替えていたから。



    個人的な意見だが優勝に値する作品だと思う。現代の少女が抱えた問題作だとも思う。終焉後、ワタクシはうるうると涙が溢れ、しばし席を立てなかったのだった。



    (六本木高校はチャレンジスクールです。定時制・総合学科・三部制・単位制で開校6年目を迎えました。制服はなく、上履きもありません。不登校経験者や高校中退経験者が多く在籍しています。)


  • 満足度★★★★★

    浜松海の星高等学校「ホーリーナイト」
    素敵なファンタジーだった。個人的にこういった芝居は好みで大好きなのだが、このミュージカルで歌われるキャストらの声が美しい。特に素晴らしかったのは北谷優希の天使のような声。また、キャッツのような衣装で広場に集る猫たちの集会の場面では、バックに映るブルーの空とそこに浮かび上がる大きな満月のワンシーンはシンプルな舞台セットと完璧に融合し美しい一枚の画を見てるかのようだった。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    小学生のあきらは飼い猫のホーリーを庇って自分が事故にあってしまう。これに責任を感じたホーリーは落ち込んで家出をしてしまう。ホーリーが居なくなってしまってから笑顔を失くしてしまったあきらを見たサンタクロースはサンタ学校のサンタの見習い生・2号に課題を出す。それは「あきらを笑顔にすること」。

    これを受けて2号は白い猫となりホーリー達の仲間になってあきらの想いを伝えることを思いつく。猫たちはどうしたらあきらを笑顔に出来るか、どんなプレゼントをしたら喜ぶかを考えた挙句、「ホーリーナイト」の物語を歌にしてプレゼントしようと考えた。「ホーリーナイト」はクリスマスの晩に拾われた黒猫と家族の物語だ。

    こうして2号はあきらを広場に読んで猫たちの歌を聴かせるのであった。ベタで解りやすい何処にでもあるような内容だ。だけれど、とにかく楽しかったしキャストらが吐くセリフもひじょうに聞き易かった。滑舌が素晴らしい。シンプルだけれどジーーン・・と響いて、じわっとしてなんだか涙が出た。心が温かな甘水で満たされたような芝居だった。

    夢と希望に満ちたファンタジー。



  • 満足度★★★

    茗渓学園高等学校「うちに来るって本気ですか?」
    御殿場家の騒動コメディ。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    御殿場家の姉の元へネット・結婚情報センターで知り合った男が尋ねてくるという。しかし、姉はそんなちょっとカッコ悪い事を兄弟に知られたくない。ひた隠しに隠そうとした姉の行為から、兄弟は偶然にも多くの勘違いをし、その勘違いから騒動になる。

    ここでの兄弟達はおっちょこちょいで人の話を最後まで聞かない。笑  
    その結果、勘違いのたらい回しとなったコメディだった。
    小説家を目指す兄の残念すぎる勘違い度が観ものだった。

  • 満足度★★★★★

    神奈川県立大船高等学校・音楽劇「銀河鉄道幻想」
    大会出場常連校。部員52名、顧問6名の演劇部。これだけで他校の弱小部と比較したら随分、有利に思えるが、それを払拭させるような演技だった。つまり他校をうんと引き離した完成度。レベルの高さだった。キャストら全員が揃いもそろって発声が完璧。欠点がない舞台だった。強いていうなら折角の生の音楽隊の演奏なのだから、BGMの導入はせず、生で完結して欲しかったのだが・・。無理か?


    以下はネタばれBOXにて。

    ネタバレBOX

    物語は宮澤賢治が過ごした幼少からの数年間の家族との関わりあいや、学校でのいじめを通して「銀河鉄道」のカンパネルラに自分に投影して描写した劇中劇。これらの情景を舞台を二つに分けて同時進行させる。舞台右側は「銀河鉄道」、左は宮沢賢治の妹・トシの病床場面だった。

    この演出の見事さったらない。右は童話の世界で左は現実の世界を同時に観られるのだから。

    更に目を見張るのが舞台セットだ。両サイドに設置した回転舞台は暗転の度にぐるぐる回って観客を楽しませ、更にトシが死ぬシーンでは大きなホウズキの提灯が橙色の灯火のようにぼんやりと灯がともるのだ。その光景はまるで今から死者を誘導しながらあの世へ向かっていくかのようだった。

    前半では笑い、後半では号泣した舞台だったが、これらを観客に説明するかのようなナビ役が大人になった宮澤賢治だ。
    かつての彼が家族の集合写真に入らなかった家族の肖像、賢治の居ない肖像を悔やみ、やり直し写真に納まった賢治の追憶の物語。

    確実にレベルアップした完璧な舞台だった。歌も素晴らしい!!


  • 満足度★★★★

    山梨県立甲府昭和高等学校「冒険授業」
    とにもかくにも素晴らしい内容。ナンセンスコメディの描写もありながら、暗転後は悩める高校生の現実を描写する。その表現の仕方は斬新!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    物語は高校生の教室の現風景から。

    授業の内容は教師が「勉強は世界を旅するようなものだから楽しい。それは冒険みたいなもんだ。」と話す。観ているとそのナンセンスな話しっぷりは確かに面白い。

    しかし物語りの真意は不登校になったともちゃんの脳内の、つまり夢の中の物語だと解ってくる。と、同時にともちゃんの親友のもとちゃんも、ともちゃんを心配するあまり不登校になっていた。

    物語は彼女二人の担任と生徒らを絡めながらかつてのイマジナリーフレンド、脳内ツイッターと切なく、しかしコミカルに勧めていく。内容は盛りだくさんだ。そんな仮想現実の世界で悩みながらも現実を知り、本来の姿にもどっていくともちゃんともとちゃんの物語。

    実に素晴らしい内容だった。
    知るということはよく生きること。というのが心に響いた。
    惜しむらくは箱が大きかった為にセリフが聞こえ辛い点があったこと。

  • 満足度★★★★

    清泉女学院高等学校「モンタージュ~はじまりの記憶~」
    モンタージュはわりに高校演劇では取り上げられやすい芝居だ。
    ある日、2人の老女が会話をしている。片方の老女は昔の思い出を楽しげに語っていた。しかし、もう片方の老女は語られる思い出すべてを覚えていなかった。それどころか、何を思い出しても嘘のように思えてしまうと言って・・・。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    三人芝居。
    舞台の始まりは椅子に腰掛けた老女2人のシーンから。
    二人の老婆っぷりがいい。
    老女1は老女2に昔の記憶を話しかけるところから物語は始まるが、自分たちが住んでいた細い裏路地のパン屋の話は実におとめちっく。そのパン屋は狭い路地をカニ歩きでメロンパンを抱えながら入っていく。そんな歩き方をしないと狭い路地に入ることが出来ないからだ。メロンパンの入った箱を両手で持って顎で押さえながら入ると、パン屋は自分の周りにメロンパンを20個置いただけのちっさなパン屋だった。

    狭い路地でパンを売っているけれど誰も気がつかない。
    この話を老女1は老女2に「先に私が貴女に教えたのに他のみんなに自分が見つけたみたいな話をしたでしょ?どうして貴女はいつもそんななのよ。昔っから貴女はそうだったわね?」と、かつての少女だった頃の回想シーンに移る。

    その回想シーンではお互いの写真のこと、缶けりをして遊んだ記憶、少年と少女の淡い恋物語、お互いの家族のことなどを子供のようにお互いをいぢりながら描写していく。この二人の関係がいい。

    少年と少女の恋物語では老女2は少年を好きだったのに、少年の気持ちに正直に答えられなかった記憶が蘇る。老女2は自分の気持ちとは反対に少年に『老人になったらここで逢いましょう。』と約束してしまった自分がいた。「何故あのとき、少年を好きだって言えなかったのだろう。ずっと後悔してた。いつも片意地張って素直になれない。そんな自分が嫌で嫌で、嫌なことはすべて嘘にしてしまいたかった。すべてを嘘にしてしまったら、そうしたら、自分が何処にも居ないんじゃないか?って思ったの。」と老女1に告白する。

    そうして場面は最初のシーンに伏線を繋げ、お互いに老女たちは「貴女が必要なの。」とちっさい頃から友達でいた事に感謝する。そうして記憶を失ったこのように思えた老女2はかつて埋めた写真を掘り起こして、最初のお互いにお互いを楽しくいぢり合うシーンに戻る。

    今回は演出が見事だった。終盤のシーンでは美しい影絵をみてるかのよう。老女独特の持つ風景や世界観を上手に描写し、また、過去に遡っての少女たちのシーンが素敵だった。

    強いていうなら舞台があんなに広いのだから、老婆の立ち居地は中央が良いのだが、客席から観て右端に殆ど居たことが残念だった。彼女らの左に大きく空いた空間は更に広い空間となって客席から観てインパクトに欠けたように思う。

    それでもお互いを楽しくいぢり合う姿はほのぼのとした空気感を演出しながらも笑いどころもあり、セリフのセンスも良かった。

    演出と照明のタッグが素晴らしい。
  • 満足度★★★

    山梨県立甲府南高等学校「はたらけ喫茶」
    この高校も大会の常連校。いやに色っぽい喫茶店の店員が実に可愛くていい。高校生とは思えないほどの色気。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    3人のフリーターが溜まる喫茶店で元ヤンキーの店員から叱咤激励されながら徐々に一人前の大人になっていく過程を描く。全体的にアニメ的。どじっこメガネやジブリネタを盛りこみ、萌えネタが多い。

    主人公フリーターは頑張っても報われない現実が嫌で目を背けゲームの世界に逃げてしまう。現実逃避だ。しかし、眼の前の店員の育った環境や不幸な生い立ちを知り、環境でグレルのではなく自分自身の弱さからグレルことを知る。

    結局、」何事も自分自身の問題なんだと悟り、一転して初心に戻って教師を目指す物語に恋愛も盛り込む。

    高校生らしい演劇だったが物語の筋はありきたりなもの。
  • 満足度★★★★

    東京都立羽村高等学校「青い春」
    夏目漱石の「こころ」をモチーフに演劇部部室での普段の様子と恋愛を描いた物語。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    ここでの演劇部の部員は6人。「こころ」は一人の女性を好きになってしまった三角関係を描いた物語だが、ここでは四角関係を描く。

    時として人間というやつは良く解らない行動を起こすものだが、工藤愛は部員の佐野を好きなのに、クラスメイトの村松と付き合っている。これを知った桐島夢子はちょっと安心する。なぜなら工藤は佐野を好きだと思い込んでいたからだった。「それなら私は佐野君を好きになってもいいよね。愛、応援して。」と愛に協力を求める。

    愛は自分の本当の気持ちを隠したまま、苦悩し、ついに村松と一方的に別れてしまう。その後、佐野から愛を告られるも夢子の心を察して断ってしまう愛の心の葛藤を描いたもの。更に今回は高遠光という女子がどうやら愛を愛してしまった描写も加味され、大人ならぐちゃぐちゃになりそうな展開をわりに爽やかに描いていた。

    未熟でまだ大人になりきれない青春の青い恋愛を描いた物語だが、「こころ」もこういった「青い春」も相手を思うがゆえの自己犠牲的な愛だが、実は好きな人に好きと言えなくて他人に譲る愛は本物ではないと考えてるワタクシ。笑
    それでもあの頃、そんな未熟で幻想的な恋もしたな、と懐かしく観ていた。恋に恋していた日々を描写したもの。と断言しちゃってもいい?笑

    部室での練習風景や人間関係がリアルで素敵だった。
  • 満足度★★★★

    八千代松蔭高等学校「花まんま」
    朱川湊人の「花まんま」はあまりにも有名のなで、どなたも筋は解っていると思うが、加藤家の小さな妹がある日突然、誰かの生まれ変わりだと言い出し、彦根にいる家族に会いに行く。死んだ繁田喜代美は小さな妹・加藤ふみこに乗り移って拒食症になった父親に「花まんま」を作って励ますという筋。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    早くに父親を亡くして育った妹と、彼女を優しく見つめる兄を描いた話題作だが、ここに登場する父・加藤恭平のキャラクターが絶妙。彼のコミカルさで会場から笑いを取る。更に繁田仁(父)の年老いてガリガリになった様子も涙を誘う。ワタクシも号泣してしまったが、会場でもすすり泣きが聞こえた。

    愛娘が死んだ日に暢気にご飯を食べてた父親の後悔と懺悔の心から拒食症になった場面の描写はあまりにも悲しく、また「花まんま」で父親を何とか救おうとする娘の気持ちが痛々しく美しかった。

    父と娘の絆を描きながら生きている人たちへの希望の物語。
  • 満足度★★★★★

    松戸馬橋高等学校「山姥」
    昨年、 神隠し「八十八ものがたり」を観てすっかり荻野綾のファンになったワタクシは今日も彼女の演技を観ることができて嬉しかった。現在、2年生らしいから、来年も頑張って勝ち抜いて来て欲しいと切に願う。毎回の大会の常連校らしい骨太さ。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    山の神によって子供を授かった山姥は当初、子供なんかめんどくせぇ。と思っていたが、育てているうちに情が移ってしまう。しかし、山の掟は「子供を春に生んで冬に死す」という1年も生きられない運命だった。そこで村に捨てれば子供は生きられる、という特例を利用して山姥は自分の子供を泣く泣く山に捨てに行くのだった。

    拾ったムラオサは子供を大切に育て自分の仕事である水の門番の跡を継がせることにする。その間、山姥は夜な夜な息子・ヤマトの寝顔を見るために、毎日せっせと山から降ってきては登っていくのだった。そんなヤマトも成長するに従って人間特有のずるさを身につけていく。自分に不利なことが起こるたび、山姥を悪玉にすることで自分を有利にしていくヤマトに次第に失望してしまった山姥は、ついに郷に降りなくなってしまった。

    しかし、ある日、ヤマトの都合で水門を開けるのを怠ったことにより、水門は決壊し村に大きな被害をもたらしてしまったのだった。

    ヤマト一家を救うために自分の命を犠牲にした山姥の愛の物語。

    荻野の歌、ゴリラのようなダンス、赤子と子供の二重描写、太鼓を軸にした楽隊、それらはこの童話に相応しい彩だった。山姥の死の瞬間に叫ぶいたちの絶叫は物悲しい絶望の雄叫びだった。ワタクシは思わず泣いて、その美しい世界感にどっぷりと浸ったのだった。

    母親の犠牲愛を描いた物語。



このページのQRコードです。

拡大