雨と猫といくつかの嘘. 公演情報 雨と猫といくつかの嘘.」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.6
1-20件 / 48件中
  • 満足度★★★★★

    吉田さんの世界観を堪能
    大変失礼ながら初日にして完成度高し。事件らしい事件は特に起こりませんし、地味なお話ですが、絶妙なループにより心の奥底が揺さぶられました。また藤川修二さんのかわいらしさがなんとも言えませんね。

  • 満足度★★★★★

    切なくも愛おしい感覚
    心の奥をじんわりと握られた感じがした。自分の感情のどの部分を掴まれたのかも分からないまま、自然と心に浸潤してきた。
    派手な出来事も奇異を衒ったような演出もないが、誠実に作り上げられた小宇宙に飲み込まれてしまった。60歳になったときにもう一度観てみたい。

  • 満足度★★★★★

    原典を知っているとより楽しい
    モチーフとした「百万回生きたねこ」のテーマに猫の死に関する俗説も絡ませた逆方向からの解釈に眼からウロコが落ちるよう。(=原典を知っていたのでより楽しめた)
    また、別の時空のシーンに移る時のモーフィングの如き滑らかさや、時空を超えて登場する共通のアイテムや2役に持たせた意味なども巧み。
    そんな内容に加えて ehon の葛木主宰を迎えての「女流劇作家対談」なアフタートーク(35分弱)も、本編をより深く掘り下げる内容で非常に有意義。

  • 満足度★★★★★

    やはり素晴らしい!!
    初演を観たときの記憶から消えていた部分に色々な要素があったことを改めて知りました。

    ネタバレBOX

    説明書きの「独身」には初演のとき引っかかりました。今回は熟年離婚した60歳男性と承知していたのでこの点でもやもやすることはありませんでした。

    エースで四番、そう聞くとそう思えてくるのが不思議です。鉄平も苦しんだことでしょう。

    風太郎のお母さんの立場、逆かと思っていただけにショックでした。

    「人が泣いていいのは3回。生まれたとき、親しい人が亡くなったとき、もう一つは生きていて良かったなと思えたとき。」、先日もOFFOFF劇場でこの台詞が出てきましたが、沁みますね。

    家族の絆が感じられた風太郎は幸せ者です。
  • 満足度★★★★★

    精緻な心風景のスケッチ
    そこには高い解像度で描かれた
    記憶と現実それぞれの風景がありました。

    観る側を浸潤するほどに
    切なく、
    すきとおって、
    でも豊かさにも満ちた感触にとらわれて
    ずっと舞台を見つめ続けてしまいました。

    ネタバレBOX

    中央に畳のスペースと座卓、
    後方に雨をイメージするオブジェが飾られて・・・。
    側面に役者が控える椅子が置かれる・・・。

    開演前から役者が脇に控えて・・・。
    少しずつ会場の時間が舞台にとりこまれていきます。

    始まりはちょっとわびしい風景、
    カップ麺をすする年老いた男・・・。
    がらんと寒々しい雰囲気漂うその部屋に
    傘をさした女性が訪れる。

    部屋の扉を叩くその仕草や音が凛としていて
    観る側の心にまで響くような力があって・・・。
    逡巡ののち男が扉を開けると
    雨の薫りが部屋に流れ込むような感じがして・・・。
    なにかにすっととりこまれるように
    世界が記憶の領域への踏み出していきます。

    母の記憶に始まって
    やがて幼い頃の思い出へと舞台が広がっていく。
    どこか削ぎ落とされたような質感のなかに
    いくつものエピソードの断片が高い解像度で浮かび上がって。
    母親の若い女性としての質感や
    父親の男としての横顔が
    ぶち猫が家に来るくだりから溢れ出す。

    時間は巡り、
    自らが築いた家庭の風景や
    さらには息子や娘とのエピソードへと
    シーンたちが広げられていきます。
    おかきや塩せんべい、
    その時々の猫たち、
    そして包みこむような雨の音が
    それぞれのシーンの
    どこか削ぎ落ちた感覚と息を呑むような生々しさを
    主人公の半生に縫い付けていく。

    夫婦の生活や父親との同居の風景に織り込まれた
    猫が姿を消すシーンのリプライズも秀逸。
    有り体な時間の描写に
    主人公のウィットが織り込まれ、
    猫との離別の刹那が
    染め替えられて広がる。

    それは主人公が訪れた
    息子の同棲の風景にしても
    同じこと・・・。
    抱えきれないことは
    どこかで嘘にすり替えられて
    ためらいや気まずさや惜別の思いや寂しさも、
    主人公自らの世界に押し込まれて。

    終盤、いくつも開いた
    透き通った記憶の傘たちのなかを
    ひとり還暦の赤い傘をさして歩んでいく
    主人公の姿に息を呑みました。
    部屋でカップ麺を食べる中で、
    切なさと高揚のどちらにも沈み込まず
    坦懐にその道程をさらに生きる姿に隠された
    心風景のリアリティに深く心を奪われてしまう。

    役者達のお芝居が
    舞台全体としてのメリハリを醸すに留まらず
    小さな仕草やニュアンスまでを
    丁寧に作り上げているのもすごくよい。
    舞台に満ちる感情の細かな織り目までがくっきりと浮かんで。

    痛みとか寂寥もそこにはあるのですが、
    それに留まらない
    主人公の半生に緩やかに満ちたものと
    満たされないものや失われたものを覆う嘘たちのテイストから
    生きてきた道程の重さと軽さをそれぞれに湛えた
    人生の質感がしなやかに伝わってきて。

    この作品、できればもう一度観にいきたいとおもう。
    終わってみれば、そんなふうにとても深く、
    舞台に浸されてしまっておりました。











  • 満足度★★★★★

    雨の誕生日
    いろいろが 重なって、きれいで すてきだと 思いました。

    言葉たちも すてきだったので、
    思い出せるようにと 脚本を買ってしまいました。

  • 満足度★★★★★

    森の中で深呼吸をしたような気持ちになれる舞台
    青☆組はずっと観たくて、衝動的に当日券で入りました。開演ギリギリにも関わらず温かく迎えていただきありがとうございました。

    リアリティあふれる芝居なのに、ぜんぜん飽きないで観ることができました。
    素敵な俳優さんばかり出ていて、面白かったです。

    身を切るように共感する悲しい物語でもあるのに、なぜか観終わった後は、久しぶりにしっかりと深呼吸をしたような気分になることができました。

    観れて良かったです。ありがとうございました。

  • 満足度★★★★★

    見事だった
    再演で、初演も観ているが、実に優れた作品である。還暦を迎える風太郎の誕生日の記憶。誕生日はなぜかいつも雨、という風太郎と、常に飼っていた猫の物語と、記憶の中で微妙に美化される過去が、時間軸を何度も前後し、事実か幻想か判別し難い感触の、優しい抽象劇として終局に向かっていく。切ない面が強いが、人間の優しさを信じる吉田小夏の脚本が見事で、俳優陣も極めてタイトな演技で丁寧に表現する。安心できる緊張感、といようなものを楽しめる舞台だった。

  • 満足度★★★★★

    シンプルだけど、奥深い…感じ。
    複雑な家族模様のいくつもを見せられてるのだが、それでも最後には平凡の素敵さを噛みしめ思い知る、そんな心に染みて残るような作品。73分。

    ネタバレBOX

    話としての芝居のウソ加減も、想像力を使わせる見せ方の匙加減もちょうどよい感じの心地よさ。だからこそよい芝居を観たという満足感が残るんだと思う。

    この座組の役者さん達は安心して観られる。きっと主宰との関係性もかなり密になっているんだろう。みんなの方向性が一緒でブレてないからこそ作品の力として大きく作用している気がする。

    2/3は青☆組10周年のイベントとして『100万回生きたねこ』のミニリーディングが。主宰が読んで、本編より少しコミカルな寸劇を役者陣がして。なんとも楽しくも絵本の世界と舞台の世界を結びつけるような粋な企画でした。こういうお楽しみも公演毎にあるとよいですね^^;;
  • 満足度★★★★★

    愛しさと切なさと優しさに包まれました
    脚本も演出も役者も全て達者だなあと感服しました。何て言うか科学的根拠も無いんですが舞台上からマイナスイオンが出まくっている感じがする舞台でした。

  • 満足度★★★★★

    素敵
    無駄を殺ぎ落とした詩のような舞台。

  • 満足度★★★★★

    イベント回
    いい作品といい役者で幸せ。紡ぎ方が見事なこと。イベントは振る舞い酒と誕生月観客のお祝い、そして100万回生きた猫を吉田さんが朗読しての寸劇。心暖かなよい時間を過ごすことができた。

  • 満足度★★★★★

    猫の重要性
    「雨と猫といくつかの嘘」というタイトルと「100万回生きたねこ」をモチーフに。。。と聞いて、江国香織の小説のような優しい、エスプリの効いた話をイメージしていました。
    当たらずとも遠からず!
    ほんわか温かい大人のエッセイ、そんな感じです。

    ネタバレBOX

    ねこを人間がやる、その無茶な感じ、そして意外ときついこと言うんやね、いいわぁ。
  • 満足度★★★★★

    時空を織りなす、間合いの絶妙さを堪能
    初演の時よりも、小夏ワールドに少しついていけている自分がいた。何役もこなす役者さんに戸惑うのではなく、その技量を楽しませてもらえる位に成長できたのだと思うと嬉しい。感謝の気持ちをこめてカーテンコールの拍手を贈った。それにしても、暗転部分も織り込んだ、間合いの絶妙さには参った。再演を観て、改めて熟年層であるからこその味わいも得られる作品だと思った。小劇場を縁遠く思っている、時間だけはリッチな友人たちをもっともっと誘ってやりたい。

  • 満足度★★★★★

    良かった
    心温まるいい作品でした。ゆっくりとした時間の中で時の流れの速さを感じるような。小降りの雨の中での会話、記憶の中の生活、孤独死を迎えるご老人が増える世の中で、大切な人を大切に思い、最後までそばに居たいと思えた。

  • 満足度★★★★★

    雨の向こう側
    ふとしたきっかけで、甦る言葉や風景
    甘かっったり、苦かったり・・・
    いつまでも、忘れられない事だったり、、、
    自分で、作り上げてしまった事だったり、、、
    嘘という名の優しさを、あらためて感じました。離れていても、繋がっていける温もりと優しさもあり、満足な毎日でなくても、明日に繋がると思えました。

    ネタバレBOX

    雨音を聞くと、思い出してしまう風太郎の記憶は、楽しいことばかりではないが、私にとっては、風太郎の回想を通して、いろんな事の意味や価値を、見つめ直す空間でもありました。
    そこには、それぞれの、いろんな想いがあって良いんだよと、受け止めてくれる小夏さんの世界観が広がり、羽を休める事が、できる素敵な作品でした。

    全役者さん、達者でした。
    猫(林竜三さん)が帰ってきてからの動作だけで、猫の思いが想像ついてしまい、、、なんだか泣けてしまった。そのシーンが、リフレインした時に、しゃべる猫の言葉に、納得してしまい(風太郎の浮気は、意外でしたが)家を出ていく後ろ姿には、切ない潔ささえ感じた。
    そんな姿にも憧れるかのような風太郎(藤川修二さん)の優しさ弱さも良かったです。
    風太郎の母役(木下裕子さん)の凛とした母の姿であったり、女としての弱さの出し加減も良く、無表情の時の醸し出す空気感も、素敵でした。

    役者さんの登場時や消える時の歩き方や、舞台の端で佇んでいる姿は、風太郎の忘れられない記憶だったり、素敵な余韻として、とても効果的でした。

    タマ(猫)が消える時、風太郎の妻が妊娠していた事に、素敵な奇跡(輪廻転生)を期待しちゃいました。

    アイボリーやベージュの優しい色遣いの衣装、透明傘に赤の傘、映えてました。
    抽象的なセットに背景の雨粒の連鎖、そばに居られなくても、繋がっていられるような気になりました。

  • 満足度★★★★★

    個人的で大切な記憶
    アトリエ春風舎は遠い。都心よりも気温が確実に3度低い(笑)

    しかしその遠い道行きも、忘れ去った過去にさかのぼる時間と思えばこんなに楽しく愛おしい時間は無い。

    今回の作品、僕はなんとなく独りで観に行って欲しいと思う。

    もちろん誰かと連れだって観に行ってもいいが、独りで、自分の記憶をたどるようにしてあの世界にたどり着き、終演後はその世界をひっそりとカバンに詰めて持って帰る。

    そういう個人的で大切ななにかを思い出させる全てがそこにあったから。

    ネタバレBOX

    アフタートークでラストシーンの風太郎がどうなったかとの話があったが、僕は、映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のラストシーンを思い出しました。

    阿片窟でデ・ニーロが恍惚として幸福だった少年時代の夢を見る。

    あのシーンをぼんやり思い出しました。

    だから「僕の解釈」では、今回のお話し、つまり風太郎のまわりで起こるすべてはぜんぶ夢だと思うのです。

    老いて孤独な風太郎が見た美しいアルツハイマーの夢だと。

    皆さんはどう思ったでしょうか。
  • 満足度★★★★★

    また会えてよかった!
    久しぶり風太郎!また会えてとても嬉しかったよ。そして家族たちも!
    切ないのに、なぜか温かい空気に満たされた舞台。なんだろう…
    いつまでも離れたくない。

    作、演出の巧みさは言うまでもないが、それに応える役者たちの質の高さに、
    何度も拍手したい衝動に駆られた。
    小夏作品の中でも、大好きなものの一つだ。

  • 満足度★★★★★

    清々しいです
    主人公は不幸でもなく幸福でもない。でも、それでもよいと思える気持ちにさせてくれる。
    また、役者さんの所作が美しい。劇場の隅々まで凛とした空気が行き渡るようだった。

    ネタバレBOX

    最後のそれまでのセリフが繰り返される場面と雨音がシンクロしてアンビエント・ミュージックを聴いているような気持ちになれます。
  • 満足度★★★★★

    2008年12月の公演
    と殆ど変わらない今回の再演は、風太郎がなんだか哀れで仕方がなかった。二度観ということもあって余裕で観られた分、全体の構図が浮かび上がってきて、無性に物悲しく感じたのだった。

    それにしても、今回の「観たい」書き込みの人気ぶりは凄い。2008年は10人程度だったのにだ。素晴らしい!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    父親って、あれだね。晩年になって妻と離婚しちゃあいけないね。子供とも疎遠になってしまうのだから、孤独感が沸々と湧き上がってきちゃうわけよね。

    水野風太郎、60才、独身。一人暮らし。
    風太郎の母がノックするシーンから、彼の小さい頃の家族との記憶が蘇る。風太郎と母との関係。母とは結婚していない父との関係。 風太郎が大人になってからの妻との関係、子供達との関係は多少の問題はあったものの、温かくて賑やかな幸せの時だ。

    しかし60歳になった風太郎の誕生日を実際は誰も覚えていないという現実は、父親ってその程度なのだ。彼はそれなりに一生懸命に生きて来たはずなのに。

    家族と離れて暮らすアパートの片隅でカップラーメンをすする孤独な風太郎。生きるって、歳を重ねるって、楽しいばかりじゃないぞ。と思う。

    それでも人生の終盤では家族と笑って過ごしたいと思うのだ。めくるめく時代も、やがて、そのすべてをついえてゆく時が来る。もし自分の人生を好きになれたら、生まれて良かったと思えるのだ。

    そんなふうに思わせてくれる舞台だった。

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